レイジング野郎

特撮多めの不定期ブログ たま~に関係無いことも

『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』感想+考察

▼妥協する事に一切の妥協無し
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 仮面ライダー風魔/南雲影成よ…

 永夢も仮想現実に飛ばしておけばあんたの計画は邪魔されなかったのではないか…?

 聖徒病院にいなかった大我やニコも襲っておく徹底ぶりを見せておきながら、永夢の事は見逃す舐めプ…。…そっか、娘に見とれて手裏剣投げるの忘れちゃってたのか(←苦しい)

▼何故『エグゼイド』はご都合主義が目立つのか?

 答えは単純且つ明確。「やり過ぎてるから」である。顕著なのがクロノス/檀正宗。…て言うか何か知らないけど、『エグゼイド』のキャラって舐めプ多いよなぁ…!息子の黎斗だってやってたし。
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ゲンム「ドライバーを腐敗させた…。君はもう…変身出来ない…。君の水晶を砕くのは、他でもない私だ!助けてくれたお礼に、命は取らないでやるよ。

▲『エグゼイド』22話「仕組まれたmystery!」より

 これらの記事にも書いているが、『エグゼイド』は幾らなんでも「舐めプ」が多い!そりゃあパラドもクロノスに「舐めたプレーしやがって!」なんて怒る訳ですよ。「こうすれば良かったのに!」と言う案件があまりにも沢山なせいで自分達がピンチに陥るって最早自業自得じゃないですか…!灰化を使わないドラゴンオルフェノクかあんたらは。
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 ドラゴンオルフェノクと言えば、「一人で一年間まるまる執筆した脚本家(作品)」と言われてファンが思い浮かべるのは『仮面ライダー555』を書いた井上敏樹だろう。彼のその痕跡は偉業とも言えるかも知れないが、この『555』と言う作品もひじょ~~~~~に粗が多い。しかしそれを全部書き連ねるととても長くなってしまうので、今回は『エグゼイド』のホンを全て書ききったと言う高橋悠也と井上敏樹、二人の脚本家の相違点を書いていこうと思う。

▼共通点は"速筆"

 「スケジュールで困ったら井上敏樹!」と言うくらい井上敏樹が速筆なのは有名だが(『555』の最終回もほんの1時間半程で書き終えたのだとかw)、大森P曰く、高橋悠也もかなり筆が速い方だと言う。

篠宮 大森さん、今まで色んな脚本家の方とお仕事してきはったと思うんですが、どうですか、高橋さんの魅力と言うか、凄さみたいなんは…。

大森 高橋さんはよく性悪説の人間って言うのをよく自分で仰られていて、人間を悪い人として書いている所があって、そこが割と『仮面ライダー』に合っているのかな、と言うのはあって、それと、玩具が多い今の『仮面ライダー』で、それも話にまぶしながらも各キャラクターを上手く描きつつ、しかも速い。速いからこそ今まで全話書いて貰えて、速いからこそ我々にも考える時間を与えてくださってるので、一緒に『エグゼイド』を作っている感覚ですね。

『第二回 東映特撮ファンミーティング』より大森敬仁の談(原文ママ)

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 性悪説と言う部分はまた別の機会に触れようと思うのでお楽しみに。大森Pは高橋悠也の魅力は「玩具が多い昨今の『仮面ライダー』で、その玩具も上手く話に盛り込みつつ、更に速い」と言う。確かに『エグゼイド』は例年より玩具がフィーチャーされる事が多いよね。そこがオタクを楽しませる理由の一つなんだろうけど。(最近でもマイティブラザーズXXガシャットを使ったパラド救出に皆驚いてたな)
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 対して、井上敏樹はあまり玩具に興味がない。カイザポインターなんか天井から落ちてくるしな…!戦闘シーンなんかもその場の監督に丸投げするくらい、彼は玩具や戦いに興味がない。じゃあ何を書いているのかって?キャラクターですよ。

▼相違点は"キャラ描写"

 『エグゼイド』はギミックやそれの出し方が変わっている事はあっても、話の展開(キャラの行動)は「予想通り」であることが多い。
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視聴者「貴利矢、クロノス側にいるけどきっと裏切るんだろうなぁ~!」

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視聴者「飛彩、早姫と大我の命を天秤に掛けられたけど、きっとドクターとしての道を選ぶんだろうなぁ~!」

なんて予測を視聴者がして、実際、その通りになる。『エグゼイド』の話ってかなりベタよね。「王道」とも言い換えられるか。でもこれだと人に寄ってはそのキャラ描写が「薄く」感じてしまう事もあるかも知れない。
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 対して、井上敏樹作品は劇中のギミックよりもキャラクターを重視して書く事が多い。そう言えば井上敏樹のアニオタwikiにこんな事が書いてあった。

一応シナリオの骨子自体は王道ではあるのだが、それを彩る枝葉末節が非常に濃く、王道に疑問を投げ続けるのが特徴。
ヒーロー物としては異色のシナリオを書くことが多く、人格に問題を抱えたキャラを生み出すこともある。
友情や信頼について冷笑的、あるいは懐疑的な話を作ることが多いが、
声高に「友情」「友達」などといった単語を使うことに疑問を投げかけている、ということであり
ジェットマンの竜と凱を筆頭に、男の友情や絆といったものを濃く描く傾向が強い。
また、作中では馬鹿にされがちなアギトの氷川や555の啓太郎といった生真面目なキャラクターが最後には報われることも多く、
本人の言動もあいまって偽悪的な印象も強く与えるが、やはり着地は王道というよりオーソドックスな結論になる場合が多い。

一方でスラップスティックコメディも好み、アニメではギャラクシーエンジェル、特撮ではゴウライガンといったハチャメチャな作品も書いてる。

料理好きな為かほぼ毎回食事シーンを入れ、ギャグ回では丸々一話料理番組にしたことも。

ハードなシナリオやアンチ王道を好む視聴者の支持を集める一方、
ドロドロした昼ドラ展開
伏線ばら撒き→放置→消化不良のまま最終回を何度かやらかす
戦闘シーンにてヒーロー側がピンチに陥る→その後の余韻を描かず場面が唐突に変わる
などの作風から、特撮ファンの中には彼を毛嫌いする人もいる。
特に一部には親の仇のように氏を憎んでいる人間もいる。

 なんか敏鬼作品は「アンチ王道」を好む人に人気があるらしいw でも、敏鬼アンチのブログもちょこちょこ見掛けるんだけど、大半の言い分が「正義の味方がいない」とかそう言うのなんだよね。要するに、彼らは自身の中で「ヒーロー像」と言うのが確立されている、と言う事なのだろう。

 でもそう言われると、『エグゼイド』が批判される理由の一つにはそれもあるような気がする。永夢はダブスタだし飛彩は彼女の為に裏切るし貴利矢は嘘吐きだし黎斗はアレだし…
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 あれ?もしかして一番ヒーローしてるのって無免許医の大我じゃね…?

▼王道(シンプル)・イズ・ベスト

 しかし、人と言うのは時に「王道」を求める事もあるもので。例えば上記の「貴利矢さんは実は味方だったんだよ!」って展開も視聴者は「うおーっ!"やっぱり"か!俺は信じてたぜ!貴利矢さん最高ォーーーーッ!!」と言って喜ぶし、飛彩が彼女と決別し、ドクターとして歩みだすと「うおーっ!"やっぱり"か!俺は信じてたぜ!流石は世界で一番のドクターだ!神回ィーーーーーッ!」と言って持ち上げたりする。注目して欲しいのは「やっぱり」と言う部分。アニメ然り、ドラマ然り、特撮然り、「視聴者」とは自分の予想する展開が実際のものになる(そう言う展開になる)と問答無用に悦に浸る生き物である。でもって、上記の展開は比較的予測がし易いもので、大半の視聴者が「こうなるんだろうなぁ~!」と予め仮説を立てる事が出来、それがその通りになると「うおーっ!やっぱりか!俺の予想は当たった!気持ちィーーーーー!!」となる。「分かる!」と言う方もいるのではなかろうか?
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 例えば今も尚、名作と名高い『ドライブ』46話「彼らはなぜ戦わなければならなかったのか」を見てみよう。(以下、『ドライブ』のネタバレあり!未視聴者は注意!)チェイス蛮野天十郎/ゴルドドライブに粉々にされた。その事に怒りを見せる剛は、その時、初めてチェイスを「ダチ」と呼び、「一緒に戦ってくれ!」とシグナルチェイサーをマッハドライバーに差込み、チェイサーマッハへと進化を遂げる。そして、チェイサーマッハがゴルドドライブを葬った後、剛はボロボロになったバンノドライバーへシンゴウアックスを降り下ろし、木端微塵にする、と言うのが46話前半の流れ。
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 何故こう言った内容のこの回が人気なのか、それは『ドライブ』本編内で視聴者が「こうして欲しい!(こうなって欲しい!)」と願う展開を叶えているからに他ならない。「剛とチェイスにダチになって欲しい!」「デッドヒートしか強化フォームがないマッハに新しい形態を与えて欲しい!」「蛮野とは進兄さんではなく剛に決着をつけて欲しい!」「て言うか蛮野はクズだから盛大にぶっ壊して欲しい!」これらの視聴者の望む展開を『ドライブ』46話はやった。だから46話は大衆からの評判が高いのだ。
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 『エグゼイド』も最近は視聴者が求めているもの(こと)をやる傾向にある気がする。それ事態は良いのだが、『ドライブ』との違いは余りにも視聴者の求めるものに答えすぎて、話が破綻している所。例えば貴利矢の復活は「貴利矢さんに戻ってきて欲しい!」と言う視聴者の声に答えた結果だ。

― 今回、反響を受けて復活ということですが、いかがですか?

小野塚:消滅したあとに、もしかしたらまた戻ってくるかもね、という話が出たんですけど、1回花束をいただいてクランクアップしていたので、どうなるか分からない状態で。でも、視聴者の方からたくさんのご意見をいただいたみたいで、それがきっかけになり復活が決まったのはすごく嬉しかったです。すごく珍しい形で再登場ということなので、光栄でもあります。
▲モデルプラス『「仮面ライダーエグゼイド」反響受け異例の復活!劇団EXILEの“注目株”小野塚勇人を直撃「役者冥利につきる」<モデルプレスインタビュー> 』より、小野塚勇人のインタビュー

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 仮に『エグゼイド』製作に高橋悠也なりの「perfect puzzle(計画)」があったとしても、そこに「テコ入れ」を入れ込んでしまったが為にそのパズルが崩れてしまっているのはいけない事だね。「生きてた頃の貴利矢さんの方が好きだった…」って人、意外と多いんじゃない?

 かなり話が逸れたな…。要するに何が言いたいのかと言うと、『トゥルー・エンディング』は本編よりも丁寧さが伺えたな、と言う事です(冒頭で「永夢にも手裏剣投げとけよ!」なんて言っといてなんだけど!)今回の映画は特別盛り上がる展開や一風変わった要素等は無いものの、かなり「無難」に作られていた印象。「ガチの最終回の後日談を描きます!」と言うコンセプト事態はインパクトあるのだけれど。
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 …まあそれでも他にも「!?」な事はあって、例えばまどかちゃんの手術シーン。オペの途中、彼女はゲーム病を発症してしまったけど、黎斗神のプロトマイティアクションXガシャットオリジン(←長い!)を起動させただけでなんか普通に治ったね…!「レベル0の能力でウイルスを抑制した」んだろうけど、だったら本編でもそれやれよ…!ニコちゃんがゲムデウスウイルスに苦しんでたのが馬鹿みたいじゃん…!(貴利矢さん、あんたその場にいたなら治してやれよ!?)

…と、言いたい事は色々あるものの、

▼ハッピーエンドの大団円

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 『トゥルー・エンディング』、もとい『エグゼイド』のエンディングが「ハッピーエンド」だったのは素直に良かったと思う。結局、バグスター勢もドクター勢も誰も死なずに終わったね。永夢の「誰も死なせたくない」と言う思いを尊重するならばこの「誰も死なない」と言うエンドはある意味アリなのかもしれないね(こんな締め方で宜しいでしょうか…!)

 

ではこれにて。