レイジング野郎

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『アナザー・エンディング 仮面ライダーゲンムVSレーザー』感想+考察

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 『仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング 仮面ライダーゲンムVSレーザー』の感想です。筆者は前作(『ブレイブ&スナイプ』、『パラドクスwithポッピー』)を鑑賞済です。以下はそれらのネタバレにも気を付けて下さい。それではどうぞ。

▼因縁のCOMBI?

──貴利矢と黎斗の二人がメインタイトルで1本の作品になるのも感慨深いものがあるのでは?

小野塚 何回やるんだって話ですよ!

──あぁ、感慨ではなく、憤りに似た感情が(笑)。

小野塚 俺も大我&ニコ的な可愛い女の子の助手が欲しかったです。なんで俺は、コンビを組むのがいつも黎斗なんだろう?黎斗はデカいし、何考えてるかよくわかんないし、こんな狂ったヤツとずっと一緒にいなきゃいけないのかって……(笑)。

仮面ライダーエグゼイド公式完全読本』より、小野塚勇人のインタビュー

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 マジでいつからこの二人は「コンビ」になったんだ…!?

 檀黎斗と九条貴利矢は「因縁の関係」だった筈では…?貴利矢は黎斗を許す気はないし、黎斗も許しを乞うつもりもない。なのに二人が一緒に映るシーンはコントばかりだし、それを観た視聴者は「この二人最高www」とか言って持ち上げる訳ですよ。まぁそれはさておき、そんな二人が遂に決着を付ける『ゲンムVSレーザー』。果たしてどんな物語になったのか?

▼『ゲンムVSレーザー』は「否定」の物語?

 『ゲンムVSレーザー』では、二つのあることが「否定」された。良い意味でも悪い意味でも。それは何か?

1.命

 厳密には『パラドクスwithポッピー』からだが、黎斗は父・檀正宗に放たれた衝撃的な言葉、それは、
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「黎斗よ、お前はこの世界に生まれるべきじゃなかった。」

 命に優劣を付けないスタンスである筈の『エグゼイド』でまさかこんな言葉が飛び出るとは…!(ドクターの台詞ではないけど)黎斗、めちょっくな反応してましたね~!(それは『hugプリ』)黎斗は「生まれる時代を間違えた」と言っていたけれど、この時代にはまだ、黎斗を理解出来る人間はいなかったんだな。…当たり前か。

高橋 黎斗の所業はお子さんたちにまねしてほしくないもの。岩永くんの無軌道な芝居が、"共感されないゲームクリエイター・黎斗"を確立しました。

▲『仮面ライダーエグゼイド キャラクターブック LEVEL.2 ~SELECT▶PARADOX~』より、高橋悠也のインタビュー。

大森●最後の敵はやっぱり黎斗でしょ!アイツが残っている世の中というのは、ヒーロー作品の世界として正しくないですから。

高橋●番組後半で黎斗は永夢たちに協力していましたが、ゲームマスターの哲学はブレず、改心だけは絶対にさせませんでした。誰にも理解されない信念を貫いて、もう一度悪い黎斗に暴れてもらいたいですね。

▲『宇宙船 vol.158』より、大森敬仁、高橋悠也の対談

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 とは言え、やはり黎斗も一つの「命」だった訳で、それを「否定」してしまう(そして結局やられる)、と言うのは何とも悲しいね。

2.ドクター

 今回、貴利矢は黎斗を止めるべく、ドクターとしての自分を捨てた。どういう事かと言うと、『ゲンムVSレーザー』の予告編でもこんなやりとりがあったが、
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永夢 「黎斗さんを止めるにはムテキで対抗しないと…!」
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貴利矢「ドクターであるお前にあいつの命は奪えない。」

貴利矢は「ドクター」と言う自分を「否定」してもなお、黎斗(ゲンム)と戦った。全てが終わり、黎斗は消滅。貴利矢も静かに眠った…

と思ったら別にそんな事は無かったですね…!

 でも、貴利矢は死なないで正解だったのかも知れない。

▼犠牲はいらない。

──ハッピーエンドは、創り手のみなさんのこだわりですか?
高橋 (中略)ライダーたちが命を落とすというような展開についても、今回は考えていませんでした。犠牲の上に成り立つ救命というのも違うと思いましたし、テレビシリーズのほうでも、いろいろやりましたからね。

▲『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』パンフレットより、高橋悠也のインタビュー

 パラドも、ポッピーも、貴利矢も、『エグゼイド』では皆が生き残ったね(黎斗は消滅したけど)。まぁ、テレビ本編で皆が消滅しなかった理由は「先に『トゥルー・エンディング』を作ってしまったから(全員を出演させてしまったから)」なのだが、高橋悠也のこの考えに乗っかるならば、『アナザー・エンディング』でも誰も死ななかったのは、ある意味必然だったのかも知れない。それにしても、貴利矢が人間に戻る可能性が示唆されるとは…!

──今回の劇場版(注:『トゥルー・エンディング』)では、医療とゲームを扱っていた『エグゼイド』の総決算的な要素が詰まっています。とりわけ医療のパートについては、かなりデリケートな問題に踏み込んでると感じたのですが。

中澤 (中略)ともすれば、難病を扱った作品というのは、悲しいラストで終わりがちなところがあるんですが、『エグゼイド』としてはラストで希望を提示したかった。劇中でも南雲影成のセリフで触れているんですが、実際にはもちろん簡単なことじゃなく、この病気(注:小児脳腫瘍)は家族が一生、関わっていかなくちゃいけない可能性があるんです。それくらい治療は困難なのですが、そういう現状も踏まえたうえで、今後の医学の進歩に懸けるラストにしました。そこに『仮面ライダー』と医療と言うテーマを扱った意味があると思ったので。

▲『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』パンフレットより、中澤祥次郎のインタビュー。

──ゲーム病で亡くなった人の扱いは、どういった経緯でああなったのでしょう?
高橋 (中略)やはりクロニクル編で被害者となった人たちについては、何らかの決着をつけなくてはならないだろうと。でも、安易に「生き返りました!」というのは絶対に違うし、かといって永夢たちが「救えませんでした、ごめんなさい」というのもヒーローとしてどうなんだというのはあったので、悩んだ結果、「今は無理かもしれないけど、未来でなら救えるかもしれない」という描き方にしました。それはまさに、現実の医療がそうですからね。
▲『仮面ライダーエグゼイド公式完全読本』より、高橋悠也のインタビュー。

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 本編のラストは「ぶん投げエンド」と言ってしまえばそれまでだけど、「希望がある」と言うオチは結構「ポジティブ」な考え方よね。『エグゼイド』は「ポジティブ」が目立った作品だったので、貴利矢復活の可能性が提示されたのも、良いのではないのかな、とは思います。そういや、黎斗が「檀黎斗神」から「檀黎斗」に改名したね。『ゲンムVSレーザー』は、バグスターとして蘇った二人が、再び人間に戻るまでの物語だったのかも知れないね。

▼なんて訳で
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 『ゲンムVSレーザー』の感想でした。そう言えば、『トゥルー・エンディング』の最後のシーンでポッピーに「ハッピーエンドだね。」と言う台詞を付け加えた(元々は台本に無かった)のは中澤祥次郎なのだとか。『アナザー・エンディング』が「ハッピーエンド」だったのかどうかは各人の判断に任せるが、少なくとも、「未来に希望を感じる」エンドではあったね。『ブレイブ&スナイプ』の小姫と言い、『ゲンムVSレーザー』の貴利矢と言い。これからも、ドクター達は再生医療の確立を成し得る為に奮闘していくのだろうが、やっぱり、いつかはそれを成功させて大団円を迎えてほしいね。『ゲンムVSレーザー』、楽しかったです。ありがとうございました。4月11日には、『アナザー・エンディング』感想の纏め記事の下に三部作の総括を追記するので、楽しみに待っててください。

▼「ちなみに、楽しい黎斗を見ることができる最後の作品でもあります。」

 これは鈴村展弘の『てれびくん超バトルDVD 仮面ライダーエグゼイド【裏技】仮面ライダーパラドクス』についての発言である。楽しい黎斗を見られるのは『【裏技】パラドクス』が最後か…。
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 『アナザー・エンディング』でも非常に楽しかったです。本当にありがとうございました。

▼2018.04.25 追記

 ここで一つ、『エグゼイド』ファン達の考えを正しておく。『アナザー・エンディング』が一気に三部制作する事が出来た理由は「『エグゼイド』が人気だったから」ではなく(そういう側面もあるが)、「『エグゼイド』本編の終了が1ヶ月早まったから(本編1ヶ月分の予算が余ったから)」であり、これが最たる理由だと言う事は大森敬仁自身が幾つかの媒体で公言している。けれど…

― 今回、反響を受けて復活ということですが、いかがですか?

小野塚:消滅したあとに、もしかしたらまた戻ってくるかもね、という話が出たんですけど、1回花束をいただいてクランクアップしていたので、どうなるか分からない状態で。でも、視聴者の方からたくさんのご意見をいただいたみたいで、それがきっかけになり復活が決まったのはすごく嬉しかったです。すごく珍しい形で再登場ということなので、光栄でもあります。

「仮面ライダーエグゼイド」反響受け異例の復活!劇団EXILEの“注目株”小野塚勇人を直撃「役者冥利につきる」<モデルプレスインタビュー> - モデルプレスより。

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 12話(クリスマス)の消滅後、復活の予定は未定だった貴利矢が復活を遂げたきっかけは「ファンの声(キャラ人気)」なので、こと『ゲンムVSレーザー』に関しては、「『エグゼイド』(貴利矢)ファンの賜物」と言っても過言では無いのかも知れない。因みに、檀黎斗も復活の予定こそあったものの、当初は「40話ぐらい」で復活させるつもりだったのが、これまた「ファンの声(キャラ人気)」が理由で復活が早まったりもしてる。何にせよ、改めてこの二人の人気度は凄まじいものだったんだな、と感じました。

ではこれにて。