『仮面ライダーアマゾンズ season2』Episode6「SCHOOL DEYS」感想+考察
▼人間と怪人は共存出来るのか?
怪人とは、どの作品でも人間に忌み嫌われる存在である。しかし、世の中には2種類のライダー作品が存在する。人間と怪人が共存する作品とそうでない作品だ。現在、放送されている『仮面ライダーエグゼイド』と同時期にamazonプライムビデオにて配信されている『仮面ライダーアマゾンズ』には共通点がある。それは、2つの種族の共存の可能性を破棄している点である。
▼『エグゼイド』のバグスターなら
鮫島「先生、どうっすか?俺、ゲーム病っすか?」
(ボーっとしている永夢)
鮫島「先生!」
永夢「あ、あぁ、はい、ポッピーの…」
鮫島「さっきの女キャラのウイルスに感染したって事っすよね~…!」
永夢「もしゲームオーバーになれば消滅する、危険なゲームなんですよ。これは。」
鮫島「解ってるっすけど、俺のサバゲー好きの血が騒いじゃってつい…!でも、ポッピーってバグスターを倒せば俺の身体を治療出来るんすよね!?」
永夢「あの、鮫島さん、ポッピーは悪いバグスターじゃないんです。」
鮫島「何言ってんすか先生…、俺は患者っすよ!患者よりウイルスの方を庇うんすか!?」
永夢「いえ…、そう言うことじゃないんですけど!」
鮫島「良いから早くアイツをブッ潰して下さいよ!」
▲『エグゼイド』28話「identityを越えて」より
この鮫島さんの「患者よりウイルスの方を庇うんすか!?」と言う返しはどちゃんこド正論。そりゃあそうだ。バグスターは意思こそあるものの、紛れもなく病原体である。患者からすりゃあ、「俺、インフルエンザウイルス大好きなんで、患者さん、そのままずっとインフルでいてください!」と医者に宣告されるようなものだ。勿論、永夢にそんな考えは毛頭無いが。
余談だけど、自分はバグスターに良い奴は出してほしくなかった、と思っていた事が一時期ありまして。理由は至って単純で、バグスターはウイルスだから。風邪やインフルと同じ、人体に害を及ぼす存在を「良い奴」だからと言ってドクターがそれを庇う展開はタブーでは、と思っていたのです。
▼『アマゾンズ』のアマゾンなら
遥「良いよ!食べても良いよ!だってそれがアマゾンでしょ!?正直、人を食べちゃいけない理由なんて解んない!そのせいで、アマゾンが生きてちゃいけない理由だって解んない!だって、生きるとは、他の誰かを食べるって事だよ!?」
▲『アマゾンズ』Last Episode「M」より
人工生命体、アマゾンは蛋白質を喰らう事でその命を留める。そして、「生きる為に何を喰らう?」と問われた時、彼等は人間を食の対象に選ぶのだ。その為、野座間製薬(人類)は駆除班を放ち、彼等はアマゾンの駆除に勤しむ事となる。しかし…、
マモル「これ以上邪魔しないでくれるかな。志藤君。」
志藤 「邪魔って、何の邪魔だ。」
マモル「僕達の新しいアマゾンが生まれる事の。」
志藤 「僕達…?」
三崎 「まさかとは思うけど、ウォーターサーバーに溶原性細胞混ぜてたのって…、マモちゃん…?」
マモル「だったら?」
望 「何でそんな事!」
マモル「戦う為だよ。人間と。僕達は5年前から殺され続けてる。ずっと、逃げても隠れても、ずっと。だから今度は僕達の番だ。僕達が人間を狩る。でも仲間がかなり減っちゃったからね。返してもらってるんだ、人間から。」
▲『アマゾンズ season2』Episode5「RAMBLING ROSES」より
マモル率いるアマゾン群は人間に牙を向けた。理由は単純、生きる為である。互いの生き残りを懸けた戦いは次第に種族戦争へと発展していく。マモル(とアマゾン達)は人間をアマゾン化させる事で自分達の仲間を増やそうとしているけれど、三崎君の腕を食べた後でも人間の事は食べないようにして生きてきたらしく。「殺さなければ良い」なんて考えなのかしら?何にせよ、その様な所業は勿論、人類サイドは黙っちゃいられない訳で。
志藤「マモル、お前があれからどんだけ酷いモン見てきたのか、お前を見りゃ解る。けどな、人を、アマゾンにするのは許せねぇ。人間の理屈だってのは解ってる。しょうがねぇだろ。俺達は人間だ。」
▲『アマゾンズ season2』Episode5「RAMBLING ROSES」より
嘗ての仲間と言えど、それが一度(ひとたび)人に危害を加えれば、それは止めるしかなくなる。そう、仕様がないのだ。彼等は戦うしかない。悲しいね。黒崎が「人間の命は特別だから殺したらダメだがアマゾンは何もしてなくても殺しても良い。それが人間が定めたルール。覆したきゃ、アマゾンが世界征服でもするしかない。」なんて事を言っていたが、マモルがやろうとしてるのは要はそう言う事である。果たして駆除班達はそれを止める事が出来るのか…?
そんなバグスターやアマゾンだが、それでも中には人間と共存している(していた)者もいる。『エグゼイド』ならポッピーピポパポやバガモン、『アマゾンズ』では『season1』ならマモル、『season2』ならイユ/カラスアマゾンがアマゾン退治に協力している。…まあ上記の通り、マモルは今はアマゾンサイドに入ってしまっているけれど。しかし、この二種類の怪人に共通しているのはどちらも人間によって良いように作られたと言う点である。ポッピーは檀黎斗によって開発された『ドレミファビート』のキャラクターで、立ち位置としては味方側である。1度は仮面ライダーポッピーとなってエグゼイド達と戦ったものの、マキシマムゲーマーのリプログラミングや永夢の巧みな攻略により、ポッピーは真に良性のバグスターとなった。バガモンは、敵キャラと言えど、悪い奴ではない。心優しい小星作が製作した『ジュージューバーガー』と言うゲームの仕様と言うか、バガモンは"そう言うキャラクター"なのである。マモルは人間と共に生活出来るように育てられ、イユは元が人間(死体)である為、謂わば傀儡の状態である。結局、バグスターもアマゾンも人間と共存している者は、そう言う風に学習されただけの話なのである。ペットですよ、ペット。要は。まあアマゾンの中には人々の中で日曽利と生きていきたい、と願って世間に紛れていた者もいたが。
けれど、さっきの「良いバグスターは出てきて欲しくなかった」って話の続きだけど、ウイルスの場合、病気を治したり予防接種をする為にその病気のウイルスを投与したりする事もあるし、実際『エグゼイド』でも、ゲーマドライバーの適合手術の為に微量のバグスターウイルスを投与して体内に抗体を作ったりしてる訳で、それを考えれば一人や二人くらい人間に味方するバグスターがいてもそこまで不自然じゃないのかな、とも思ったりしたりもしましたです(ぇ)
5、6話に登場したアマゾンはバラアマゾン。5話のサブタイトル「RAMBLING ROSES」は「蔓薔薇(達)」と言う意味だね。『season2』に登場アマゾンは人が突然変異した存在故、人だった頃の心が残っている事も多い。だからバラアマゾン/周也は婚約相手であるエミリと同姓していた。が、彼は彼女の事を一番大切にしていた故、彼女には特に食人衝動が強かった(相手への思いが強い程、その人を食べたくなってしまうのかしら?そんな設定あったっけ?)為、それを彼女に受け入れられた周也はエミリを喰らってしまう。
2016年、日本初となる Amazon プライム・ビデオオリジナル作品として、凄絶なデビューを飾った『仮面ライダーアマゾンズ』。
バトルはよりハードに、ドラマはよりハートフルに。さらにパワーアップしたシーズン2は、ヒーロー番組の枠を超え、世界の誰もまだ見ぬ地平へと飛翔する!
▲『アマゾンズ』公式サイト introductionより
婚約相手の残骸に添えられたバラと言う構図は正にハートフルゥ…!
因みに「ハートフル(heartful)」と言う英語は存在しないらしく。よく「ハートフル」は「心暖まる」とかそう言う意味で使われるが、英語圏の人間にこの言葉を使うと、「苦痛を与える」と言う意味の「hurtful」に聞こえてしまうらしい。欲求を抑えられず、挙げ句の果てに彼女を食してしまう。その死体の上に置かれる赤い薔薇の花言葉は「貴女を愛しています」である。「心暖まる」と言う意味でも「苦痛を与える」と言う意味でもこのシーンはこう…ハートフルゥ…!
▼人間と怪人は共存出来ないのか?
それにしてもやっぱり人と怪人との共存は所詮、人間のエゴなのかね。そう言う作品は多々ある。
▼例えば、『剣』
金居「俺を封印したいのか?あの女のように。」
睦月「俺は、君と話したい。」
金居「話すだと?」
睦月「もう戦うのは止めないか。」
金居「フッ…ハッハッハッハ…!情けをかけてくれるってか。」
睦月「違う!」
(中略)
睦月「俺は最近、封印したアンデッド達の声が聞こえてくるんです。「戦いをやめろ…。」アンデッドもジョーカーも、封印されることがなければ、もう何も起こらないって。」
金居「戦いをやめて、それでどうする?仲間の鍬形虫達と森に暮らせって言うのかい?」
睦月「人間と共存すれば…。」
金居「俺は、俺達の世界を造る。人間など一人もいない素晴らしい世界だ。…共存だと?」
▲『剣』45話「運命のカード」より
▼例えば、『ウィザード』
凛子「今回の事で、ファントムが本当に恐ろしい相手だって事が、改めて解った。もうこれからは迷わない。ファントムから人を護る為に、また一生懸命頑張るわ。」
▲『ウィザード』23話「決戦」より
しかし、これらの作品もまた、最終的には味方サイドの怪人が生き残っている。『剣』なら相川始/ジョーカーが、『ウィザード』ならウィザードラゴンやビーストキマイラが。人間に危害を加えない怪人は生き残るんだね。所詮、この世は人間中心なんだね。いや、解りきってるけれども。
だからバグスター達やアマゾン達はそのルールを壊そうとする。自身等が自由な世界を作る為に。結局、人間が一番上に立つ存在だから。もうこの感じだと『エグゼイド』と『アマゾンズ』に共存エンドは無さそうね。果たしてどんな結末を迎えるのか…!
あ、因みに自分が書こうとしていた共存がテーマの記事はこちらの記事と合体させました。なんか組み合わせられそうだったので。単発の記事にするつもりだったんだけど…。まあ許して下せぇ…!
ではこれにて。