レイジング野郎

特撮多めの不定期ブログ たま~に関係無いことも

佐藤健と言う「奇跡」が導いた『電王』の「軌跡」

▼『電王』が輩出した一人の「天才」

 以下は、『仮面ライダー電王』のチーフP、白倉伸一郎の談。

──1年間、取材も含めて佐藤くんを見てきて思うのは、職業=俳優というより、存在自体が"俳優"という名前の生き物なんじゃないかと。

白倉 生き物ですよ。でも、彼の一番すごいところは、そこにあぐらを掻いていないこと。「こうやればいいんでしょ」という自分の引き出しの中だけでやることはできるんだけど、彼はそうしようとはしてませんから。現場ごとに監督が違えば、それぞれ別のことを言われることもあるけど、彼は彼なりにそれに応えようとするし、自分の考えるところを全うしようとする。そういうせめぎ合いをいつもやってるんですよ。

▲『仮面ライダー電王公式読本』より、白倉伸一郎のインタビュー。

 続いて、『電王』のパイロット(1、2話)を勤めた監督、田崎竜太の談。

──一方、「イマジンの憑依」というギミックゆえに、主人公に求められる演技スキルのハードルが、例年に比べてかなり高いですよね。

田崎 そうですよね。主人公は確かにハードルが高い。だから、佐藤健がいたことが奇跡ですよ。佐藤健は本当にすごいと思います。彼がいなかったらここまで多重人格的なことが出来たかどうか。まあ、彼を見つける前に企画の形は決まってましたけど。でも彼がいなかったらああいうことは成功しなかったし、どこかで軌道修正が入ったかもしれない。最初のまま突っ走れたのは彼がいたからですね。

▲『仮面ライダー電王公式読本』より、田崎竜太のインタビュー。

 続いて、『電王』のメインライターを担当した脚本家、小林靖子の談。

──そこで、モモタロスを筆頭とする憑依イマジンが生まれてくるわけですが、基本的にライダーの強さはイマジンの強さで、本体であるところの主人公はメチャメチャ弱い。そこも従来にはない『電王』の特徴でした。

小林 それは、モモタロスの強さを際立たせるためにも良太郎は弱いキャラにしよう、ということになったんです。それと、若い俳優さんにさまざまなキャラクターを演じてもらうわけだから、イマジンたちの性格も極端なものにしようと。

──そのときは当然まだ、良太郎役が佐藤健くんになると決まってなかったわけですよね。

小林 ですね。だから、そこは一抹の不安材料ではあったんですけど、佐藤くんの良太郎を見てからは、あそこまで極端なキャラを演じ分けられることがわかったので、いろいろやっても大丈夫だなと思いました。台詞にしても、演じるのが彼じゃなかったら、もっとわかりやすく、さらに極端なものにしなきゃいけなかったかもしれない。

▲『仮面ライダーディケイド平成ライダー10周年記念公式読本』より、小林靖子のインタビュー。

 続いて、ウラタロスを演じた声優、遊佐浩二リュウタロス演じた声優、鈴村健一の談。

──良太郎役を演じた佐藤健さんの印象はいかがでしたか。

遊佐 当時17歳ですよね。デビューしてそんなに間がない時期だったはず。それぞれのイマジンが憑依すると、メイクから衣装から全部変えなきゃいけないでしょう。その間にモチベーションというか、集中力を保つだけでもたいへんなのに、ひとりで4役、場合によってはそれ以上の役もこなしたわけですから……。

鈴村 良太郎がワンカットでいろんなイマジンに憑依されるシーンを後ろから見学していたんですが、健くんの芝居があまりにもすごいので、感想を監督に伝えたんです。そうしたら監督が「本当にすごいんだよ。マジ天才だと思う」って……。こんなに難しい役どころをシナリオの小林(靖子)さんがよく書いたなと思うし、よく演じられる人と巡り合えたなって感心しました。

▲『俺たちの仮面ライダーシリーズ 電王10TH ANNIVERSARY』より、遊佐浩二鈴村健一の対談。

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 俳優、佐藤健は「天才」である。

 『電王』を作ってきた者達(プロデューサー、監督、脚本家、人気声優)に口を揃えて「天才」と言わしめる男、佐藤健。彼が各人にそう呼ばれる理由は単純に「演技が上手いから」だけではない。じゃあ佐藤健のどんなところが天才なのか、今回はそれを書いていこうと思います。

▼核心を捉える「眼」

田崎 (中略)その中でも僕が佐藤くんに感心したのは、2話の変身。1話の変身って突発的に変身しちゃうけど、2話の変身って一応自分で変身って言うんですよね。で、わりと上擦った声で弱々しく喋る良太郎が、変身のとこだけやや佐藤健の地に近い声なんです。 それがたぶん正解なんだろうなって僕も思うんだけど、よく2話の中でそれを掴んでたなって。別にこちらからそういうふうに注文したわけじゃないにも関わらず、彼は99パーセント弱いかもしれない良太郎の残り1パーセントの強さがそこに出るということを的確に捉えてやってたんですね。それを2話で出来たのは彼のすごさだと思います。

▲『仮面ライダー電王公式読本』より、田崎竜太のインタビュー。

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 仮面ライダー電王に変身する本作の主人公、野上良太郎はこれまで(『ビルド』放送当時現在)のライダー主人公の中でもダントツに「弱い」。だが、良太郎の1パーセントの「強さ」は良太郎自身の「心(しん)」にあり、それは本編を観ればよく分かる。その「キャラの本質」とも言える部分を佐藤健はたったの2話で捉えて魅せたのだ。このあと、良太郎の「強い部分」って言うのは本編内でも幾度となく描かれるのだが、2話なんてまだ何も始まっていないような時期に、彼は野上良太郎「核」を掴み取り、演じた。上の画像はその2話の変身シーンなんだけど、何と言うか…「覚悟の顔」をしてるよね(なんじゃそりゃ)。

▼万業を熟す「體」

宮崎 撮影当日、足をひっかけて後ろに転ぶというシーンがあったんですが、やってもらった瞬間、「あ!これは運動神経がいいな」というのがすぐわかるくらい身のこなしがよかったんです。芝居でやってるのに、本当にコケたように転がってましたから。

▲『仮面ライダー電王公式読本』より、宮崎剛のインタビュー。

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 リュウタロスが憑依した状態の良太郎(R良太郎)はダンスが得意な設定なのだが、台本を見た佐藤健ブレイクダンスなら踊れますよ」とさらっと言い放ち、スタッフ陣を「!?」と驚かせた、と言うのはライダーファン内では有名な話。『るろうに剣心(2012)』等でその見事な振舞は世間一般からも認知されているが、どうやら佐藤健ブレイクダンスは元々は中3の頃に興味本意で始めたものらしく(夢中になりすぎて、授業中は寝てばかりだったとかw)。何処で何が役に立つか、分からないもんだね。

▼芝居を愉しむ「情」

──あと、佐藤健さんが主役に決定する経緯もお聞きしておきたいのですが。

白倉 武部(直美/プロデューサー)と最初に言ってたのは、「この役は新人には絶対に無理!」ということでした。なので当初はいわゆる「一本釣り」という形で直接オファーをかける動きもあったんですが、あまり期待を持てないと思っていたオーディションで佐藤健くんとの出会いがありまして、今でもそのときのことは忘れられないですね。オーディションというのは言わば"試験"ですから、ほとんどの人はそれをこなそうとし、こちらも試験官のように採点するのが普通なんですが、彼だけは全然違っていた。テスト用のシナリオを楽しそうに演じていて、こちらも採点とかではなく、ずっと見ていたいって気分になったんです。よく「数千人から選ばれたラッキーボーイ」なんて言い方がありますけど、ラッキーなのは彼じゃなくて、佐藤健くんに出会えた我々のほうですよ。だって彼は何がどうあっても、いずれは世に名が出ることになるであろう魅力があったわけですからね。

▲『俺たちの仮面ライダーシリーズ 電王10TH ANNIVERSARY』より、白倉伸一郎のインタビュー。

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 佐藤健はキャラクターを演じる事を悦とする人間らしく、それが『電王』の主役を勝ち取った決め手である。彼は「演じる」と言う事柄にとても真剣よね。

 「仮面ライダー電王」出演後は、ドレッドヘアを披露した「ROOKIES」や、岡田以蔵を演じたNHK大河ドラマ龍馬伝」などに出演。俳優の中には自身のイメージを保ちたいタイプもいるが、佐藤は「イメージをどんどん変えていきたいタイプ」だといい、「無理にでも髪型は変えようと頑張ってやりました。むしろ180度変えて、目の前のイメージをどんどんぶち壊していこうという感じ。何色にでもすぐになれる状態が理想です」と自身を分析した。

佐藤健、「仮面ライダー」から6年半…俳優人生を振り返る - シネマトゥデイより。

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▼曇りの無い「愛」

 ここまで、「眼(め)」、「體(からだ)」、「情(こころ)」と書いてきたが、でもやっぱり、佐藤健の一番凄い、且つ魅力的な所は、「作品に対する愛」なのかなぁ、なんて思ったりもする訳ですよ。

そして最後にもう1つのサプライズが。中村は「僕の大切な大切な相方に電話したいなと思います」と言って壇上で電話をかけ始める。電話越しに「もしもーし、お名前をお願いします」と尋ねると、その相手から「佐藤健です」と返事が。ファンが大歓声を上げる中、佐藤はマイペースに「声を大にして言いたいのは……(俺もイベントに)呼んで?」と言って笑いを起こす。佐藤から「優一さん、変わらないっすね、本当に」と言われた中村は、涙をこらえきれず「ちょっと泣きそうになってきた……今、俺泣いちゃってるから、良ちゃん話してくれ!」と懇願。佐藤は会場のファンに「10年も前の作品なのに、皆さん集まってくれてありがとうございます。今後も引き続き電王のことを好きでいてくれたら、僕は幸せです」と言葉を贈る。観客が声をそろえて「良太郎ー!」と呼びかけると、佐藤は「はーい」と優しい声で答えた。

電話を切ったあと、中村は目を潤ませたまま「(先日)健くんから僕に直接電話がかかってきて、『皆さんに声を届けたい』って言ってくれました。健くんはみんなの良太郎ですし、仮面ライダー電王ですし、永遠にみんなのヒーローだと思います」と語る。そして「記念すべき10周年を、皆様とお祝いすることができて幸せでした。この言葉で締めくくらせてください。……“いつか、未来で”」とまとめ、最後までファンに「ありがとうー!」と叫びながら会場をあとにした。

「仮面ライダー電王」祝10周年、佐藤健の生電話に中村優一が涙 - 映画ナタリーより。

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 クソッ!クソッ!!こんな事なら俺もバイト休んでチケット買うんだった!!!…なんて冗談はさておき(冗談でもないけどね!?)、佐藤健は作品を「愛せる」からこそ、全力で芝居に挑む事が出来るんだろうな。「人気になった俳優が今もライダーを大事にしてくれている」と言うのは我々ファンとしても涙が出る話だけど、佐藤健にとって、やっぱり『電王』の経験は宝物だっただろうし、これからもそこから得た物は彼の中にずっと残り続けるんだろうな。

──ついに最終回を迎える今、良太郎と共に過ごした1年を振り返って思うことは?

佐藤 いろんなキャラを演じられて、普通、役者としてはできないだろう、いい経験をさせていただいたし、とても勉強をさせていただきました。ずっと良太郎をやってきたから、このあと普通に芝居をしようと思っても、その普通が良太郎みたいになっちゃうことがあると思うんです。それぐらい良太郎のこと、『電王』のことは今の僕にとって切り離すことはできないし、今は本当に終わることが考えられないですね。(中略)最初の頃、僕は何も知らなかったわけで、スタッフさんからいろいろと教えていただいて、そして現場で見て学んで、ここまでやってこれました。まず何よりもお世話になりました。ありがとうございましたと言いたいです。そしてキャストのみなさんとは1年間仲良くやってこれてよかったです。芝居はもちろん一人ではできないわけで、そこでお互い助け合えてるなと感じられた。それだけでホントにいい仲間だと思えました。『電王』は終わってしまいますが、これからもずっと仲間でいたいと思います。1年間ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします(笑)。

仮面ライダー電王公式読本』より、佐藤健のインタビュー。

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 『仮面ライダー電王』と言う作品が成功した最たる理由は、佐藤健と言う「天才」の存在のお蔭だね。

▼と言う訳で

 今回の記事では何が言いたかったのかと言うと、
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「映画『亜人』の佐藤健のアクションが素晴らしかった!」と言う事です。楽しかったです。

 (今回の記事、引用が大半を占めたな…!)

 

ではこれにて。