レイジング野郎

特撮多めの不定期ブログ たま~に関係無いことも

『ジオウ』夏映画に思う事

 『劇場版仮面ライダージオウ Over Quartzer』の予告が解禁されましたね。「『ジオウ』は本編内で完結させてはならない」と以前言ったけど、成程、『トゥルー・エンディング』方式でいくのね。

 「ドライブ編」を夏映画元い、真の最終回に持ってくると言う事は即ち、ソウゴは本編内では全ての平成ライダーの力を継承せずに終わると言う事を示しており、「電王編」以降はスウォルツ(乃至タイムジャッカー)との戦いと諸々の謎に重きを置いて進め感じかな?(予告にタイムジャッカーいなかったし) それにしても、まさか「ドライブ編」を映画に持ってくるとは…!正直、夏映画は『ジオウ』単体でやって欲しかったけど…!そして、詩島剛/仮面ライダーマッハ(演:稲葉友)、クリム・スタインベルト(演:クリス・ペプラー)が出演!オォー!!嬉しィーーー!!!だけど、ファンの皆が気にしてる所はもっと別にあるみたいね。

竹内涼真は出演するのか?

 『平成ジェネレーションズFOREVER』の佐藤健のサプライズ出演の一件と、夏映画が事実上の「ドライブ編」である事から、仮面ライダードライブ/泊進ノ介を演じた竹内涼真の出演を期待している人が多いね。個人的な予想だと、竹内涼真「出ない」と思う…!何故かと言うと、理由は二つある。一つ目は白倉伸一郎のこのツイート。

 一つ目の驚きが詩島剛とクリム・スタインベルトの登場だろう。そうなると二つ目は?と、考えた時に、竹内涼真、まさかの出演か!?」となりそうだが、そうではないと予想する理由の二つ目は、東映特撮ファンクラブで配信された『ドライブサーガ 仮面ライダーブレン』。f:id:kro12218116h:20190625234636j:image

 ここでまさかのチェイス復活の兆し!!と言う事で、白倉伸一郎の言う驚きの二つ目はチェイス復活」と自分は予測してみる。

 これでやっぱり竹内涼真がサプライズ出演したらこの記事の事は盛大に叩いて戴いて構いません…!

  や、結局どっちやねん!?!?

▼2019.08.06. 追記f:id:kro12218116h:20190806202405j:image

 そ、そっちのパターンかぁ~~~!!!当たらずとも遠からず…と言った所だろうか…。

 

ではこれにて。

ブログのスタンスを変更します。

 と言う訳で、先程の記事は御覧頂けましたでしょうか。久し振りの記事更新だった訳だけど、ここで、ブログの方針を変えます、と言う話を。

 先ず、放送中の『仮面ライダー』の毎週感想を止めます。もうとっくに止めてるだろ、と言うツッコミは置いといて。じゃあこれから何を書いていくかと言うと、書きたい事を書いていきます。最初っからそう言うブログだろ、と言うツッコミは置いといて。最近、と言うより結構前から、ブログに手付かずな日々が続いておりまして…。況してや、自分の記事は引用なんかも多用するので、執筆に結構な時間が掛かるんですよ。なので、毎週感想を更新するのに無理が出てきてしまって。と言う事で、先程の『ジオウ』「剣編」の感想(と言うより考察?)記事のように、自分が書きたいと思った事を書くような感じにしていこうかなと。まぁ、それで更新頻度が上がるかと言われると、そんな事は有るかも知れないし、無いかも知れない(多分、無いかな…)。そんな感じで、今も尚、記事を読んでくださっている方は、今後ともよろしくお願いします。

 

ではこれにて。

「過去作を整理する」を明確に見せたかも知れない『ジオウ』「剣編」

▼my first masked riderf:id:kro12218116h:20190511214013j:image

 ちょっと自分語りから。自分の初『仮面ライダー』は実は仮面ライダー剣。当時は年長くらいだったので、周りの友達は『龍騎』や『555』、早い子は『アギト』なんかも観ていたのだが、どうしてか自分は少し『仮面ライダー』に目覚めるのが遅かった(と言うか、親は『龍騎』も『555』も魅せてくれた事はあったらしいんだけど、全然興味を示さなかったらしい。何で『剣』はハマったんだろう…?)。で、そこから毎週『仮面ライダー』シリーズを追って来て、今に至る…と言う事で『剣』には結構な思い入れがあるのだ。CSMに今まで手を出さなかった自分が、「CSMブレイバックル」を買っちゃったくらい(笑)。そんな『剣』がまさかのサプライズで登場となった時にはもう大興奮。や、だって剣崎と始と天音ちゃんだよ…?嬉しくない訳無いじゃん!!!とは言え、また剣崎と始が出会ってしまうと言うのには少し心も痛くなりつつ…いけない、自分の世界に入ってしまった。そんな訳で、複雑な気持ちを抱きながら、『ジオウ』「剣編」に臨んだのである。本題に入ろう。

▼『ジオウ』と『ディケイド』の違いは

 と言う訳で、話は変わるが、『ジオウ』と『ディケイド』の違いについて。『ジオウ』1話感想の最後に、「『ジオウ』が本編で完結を迎えれば、『仮面ライダー』の未来はない」的な事を書いたんだけど、

kro12218116h.hatenablog.com

 『ディケイド』は過去作を「纏める」(別称、「カタログ化」)事で次作たる『W』にバトンを繋げたのに対し、『ジオウ』は過去作を「片付ける」事で新たな仮面ライダー、即ち、「令和仮面ライダーへと繋げようと試みている。

白倉 (中略)物量もそうですが、スタッフ一同の勉強量も大変なものがあります。一つ新しい番組をやるだけでも大変なのに、今回は10年分ですから。だから、みなさんには申し訳ないけど「10年分の苦労が押し寄せると思ってくれ」と(笑)。まあ実際、本当にそういう次元の話だったりするので、そのお祭りを最後で新番組につなげて「仮面ライダー」という放送枠そのものを変革していく。それが今回のゴールなんです。本当の成果というのは、さらに来年以降出てくるか、それとも出てこないのか……って、出てこないと困るんだけど(一同笑)。

▲『東映ヒーローMAX vol.28』より、白倉伸一郎のインタビュー

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 『ディケイド』の「放送枠の変革」と言うミッションは『W』のヒットで果たされる事となる。実際、『ディケイド』があったからこそ、後続の『W』が成功したと言っても過言ではない。これは『W』メインライター、三条陸もそう公言している。

──ド派手な『ディケイド』のあとだったからこそ、『W』の生まじめな作風が際立ったという部分も。

三条 それはありますね。たぶん、『キバ』の直後に始まってたら、まったく感じが違ってたでしょう。あと、夏映画に新ライダーが殴り込んでくるスタイルも、秋開始になった『W』からですよね。子どもが夏休みに映画を観て、それが新しいライダーの予告編にもなってて、新学期は新ライダーのことで話題騒然という理想的なスタイル(笑)。その初っ端だったわけですから、本当に『W』は華々しく新スタイルで登場したふうに見えたんだろうなと。正直、こんなにうまいピースのハマり方をしちゃってラッキーなこともあるもんだなって客観的に思ってましたよ。とにかく、『W』という作品を離陸させること自体が無理なんじゃないかというくらい追いつめられてたので、ちゃんと離陸できただけで御の字というか。

──結果、『W』は大ヒット。思いのほか高く飛んでいきましたね。

三条 まぁ、気流がよかったんでしょうね。「どうです、すごいでしょう!」とはとても思えない(笑)。

▲『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!』より、三条陸のインタビュー

 元々、『キバ』の後番組だった予定だった『W』だが、間に『ディケイド』が放送された事により、企画を練る期間に猶予が出来、難航していた企画も上手く纏まり、『W』チーフP、塚田英明もそれに関してはラッキーだったと話している(それはそれとして、『ディケイド』が横槍で入ってきた事に関しては納得してないみたいだけどw)。と言う風に、『ディケイド』の協力もあり、めでたく爆誕した『W』。対して、『ジオウ』は過去の平成ライダー作品を「片付ける」事で、今後「令和仮面ライダー(乃至は「令和ライダー」)と呼ばれ語られるであろう作品群にバトンを託そうとしている。

 (中略)さらに9年経っている2018年現在においては、仮面ライダーブランドもある程度定着しましたので、『ジオウ』の使命というのは、逆にこれだけ多くなった平成仮面ライダーたちというものを、次の時代を迎えるために片付けていくことなのかなという気がしてます。もちろん、個々のキャラクターを愛してほしいし、ファンの方々を増やしていきたいという思いはあります。それでも、一度整理した上で次の時代に道をつなげていくこと。そしてこの延長線上に1号から数えて何人目の仮面ライダー誕生とするのではなく、次は明確にひとり目にすること、というのが『ジオウ』に与えられた使命のような気がしてるんです。

▲『平成仮面ライダーぴあ』より、白倉伸一郎のインタビュー

 この「片付ける」が自分は今一ピンときてなかったのだが、「剣編」を観て、何となくそれが見えた気がする。
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アナザーブレイド「ウゥ…アアアアアァァァァ!!!!」

(剣崎と始のジョーカーの力を吸いとるアナザーブレイド。)

白ウォズ「ジョーカーの力が今、一つになった。バトルファイトは終わり、滅びが始まる。」

▲『仮面ライダージオウ』30話「2019:トリニティはじめました!」より

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ゲイツ「それは…。」

ソウゴ「あんた達の力だ。」

剣崎「君が持っていてくれ。俺達の力がそれに移ったんなら、ジョーカーの力も封印出来たのかもな。俺も漸く未来へと進める。始達も…。」

▲『仮面ライダージオウ』30話「2019:トリニティはじめました!」より

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 まさか15年越しに『仮面ライダー剣』にこんな結末が用意されるとは…!

 剣崎が人間に戻るのは兎も角、アンデッド(ジョーカー)である始までも人間になってしまうのは「!!?!?」って感じだけど…!バトルファイトは終了し、剣崎と始は闘う運命に勝った、と言う解釈で良いのかな。まぁ事態を解決させたのはジオウトリニティだけど…。しかしやはり、自分が始めて触れた作品が、年月を経てこんな結末を迎えたとなると、何処か感慨深いモノがある。自分はこの結末、「賛」です。

 過去作が残した出来事に決着を付ける、これが『ジオウ』の目論む「平成仮面ライダーを片付ける」と言うことなのかも知れない。未来の話をすると、『響鬼編』では桐矢京介が遂に響鬼に変身を果たしたり(因みに、白倉伸一郎曰く、ヒビキさんは死んでいないらしいぞ!)、TTFCオリジナルドラマ、『仮面ライダーブレン』ではチェイス復活の兆しを見せている(『ジオウ』に繋がるのかどうかはまだ謎だが…)。とは言え、『剣』のあの終幕が好きな人にとっては望まない展開だっただろうし、このやり方は諸刃之剣だろうけど、『ジオウ』はそう言う選択を取った、と言う事なのかな。そうなると、前半に消化したレジェンド達がどうなるのかが気になる所だが、まぁ、今後に期待するとしますか。

▼余談(新元号ライダーについて)

 本記事では自分は「令和仮面ライダーと言うワードを使用したが、白倉伸一郎「○○(元号)ライダー」と言う括りはもうやめて欲しい、と語る。

白倉 僕は、平成ライダーの次は元号が付かないでほしいと思っています。そもそも平成ライダーって、昭和ライダーに対するカウンターとしての呼称なので。これだけ作品が続いてくると、結局すべて枠の中でものを語ってしまうんです。語れることは素晴らしいんだけれども、結局「前の番組と比較して、ここは同じでここが違う」とか、ライダーの内側ばかり見て会話してしまう。そうではなく、きちんと今の時代や子供たちに即したヒーローであってほしい。つまり、“昭和”とか“平成”でくくられている仮面ライダーという歴史自体から解放されないといけないんです。だって、“平成スーパー戦隊”とか“昭和スーパー戦隊”っていう呼び方はないわけですから。

武部 そうですね。「平成ライダー」という名前を付けなければ、平成ライダーが終わることもなかったのに。

白倉 名乗ったから終わる。だから“元号ライダー”はもう終わってほしいんですよね。まあどうせ東映さんのことだから、新しい元号が発表されたら“◯◯ライダー”と呼ぶんですよ。

武部 昭和 VS 平成 VS ◯◯!みたいな。

白倉 たぶんやるし、自分がやるかもしれない(笑)。でも精神的な部分では、そういうつもりじゃいかんな、と思います。新番組でも「◯◯シリーズ第1弾!」と銘打つと、第2弾や第3弾でもとを取ればいいやと思って甘えてしまいますからね。つまり元号に頼らず、仮面ライダーシリーズなんて終わってもいいくらいの気持ちでやってほしいですね。そのあとまた、11年くらいブランクを空けて始めればいいじゃないですか(笑)。

「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」仮面ライダージオウ座談会 / 仮面ライダービルド座談会 / レジェンドプロデューサー座談会 (6/6) - 映画ナタリー 特集・インタビューより。

 まぁ東映が呼ぶ前にライダーファンがそう呼んでるから、もう手遅れな感じはあるけどな…!

 

ではこれにて。

NINEN

 経ってた。おめでとうございます。いつも支えてくださり、ありがとうございます。
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 支えられている…のかな…?や、まだ見てくれてる人はいるし、支えてくれているんだと思う…。そう思っとこう…。この記事、要は生存報告です。でもはてなブログのアプリすら開いてない日もあったりするので、息してるのかは割と危ういのよね…。でもちゃんとニチアサは毎週観てるし、頭の中では色々考察したりもしてます。感想記事も近々更新します…なんて無責任な事は言わないようにしよう…!更新出来てないのが現状だもん…!兎に角、いつも見ていただいてる方には申し訳無いんですが、もう少し付き合ってやってください。

 

ではこれにて。

『仮面ライダージオウ』13、14話(ゴースト編)(+『小説 ゴースト』)感想+考察

 『仮面ライダージオウ』13、14話「ゴースト編」の感想です。

・13話「ゴーストハンター2018」

・14話「GO!GO!ゴースト2015」

 また、本記事では今までずっと投稿出来ていなかった『小説 仮面ライダーゴースト ~未来への記憶~』の感想も抱き合せにしていますので、未読の方は閲覧注意。それではどうぞ。

▼本編でやれ!!!

 『小説 ゴースト』は大衆からそんな感想をよく耳(目)にする(後は『スペクター』とかも)。「何故そう言われる(言われてしまう)のか?」のアンサーの殆どは「『小説 ゴースト』に『ゴースト』の全ての設定が書き連ねられているから」である。なんだけど…、チーフP高橋一浩が「設定に拘る」スタンスでありながらも『ゴースト』本編で設定の全てが明かされなかったのは、彼自身がその「設定」を「わざと」本編では明かさなかったから、なんだよな。

高橋 一応、2クール目から徐々に眼魔の設定を見せてはいったんですが、情報の出し方は少なくて遅いというのはあったかもしれません。だから、眼魔世界のことがわかりづらいのはしょうがないなと。逆にいえば、別にわからなくてもいいかというつもりでした

──変身ヒーロー番組は、仮に敵の設定が漠然としていても成立しますからね。

高橋 もちろん、ちゃんと設定そのものは考えてあって、多少はそういうところを説明してるくだりもあるんですけど、きっちり時間をかけて描いてるわけではないから、そのせいで入り込めないという人がいらっしゃっても不思議ではないと思います。(中略)弥生時代モノリスを信仰してた人々が迫害を受けて、モノリスを通って眼魔世界に渡っていった。そして、そのモノリスが現在どこにいったのかというと、大天空寺の地下にあるんだと。一応、そんなことを考えていて、特に裏設定ということにしてるつもりもないんですけど、同じ世界の人間でしたとは明言してないので、ほとんどの人がわからなかったと思います。まぁ、きちんとそこを描こうと思ったら、ライダーの出てこないエピソードができちゃうので(笑)。要するに彼らが軍服を着る前、眼魔になる前は普通の人間だったのねと。お母さんのアリシアが死んでしまったから、彼らは人の死なない世界を望んだのねと。そこさえわかっていただければ全然いいんじゃないかというふうに思ってます。たぶん、どんな作品も背景は細かく設定されていて、そこの見せ方はそれぞれですから。

▲『仮面ライダーゴースト公式完全読本』より、高橋一浩のインタビュー

 実際、第一章「ガンマ世界創世」では仮面ライダーが出てこなかったしね。「敢えて設定描写を省く」事のメリットは小林靖子小林雄次の「小林姉弟」(←勝手に命名)が語っている。

雄次 靖子さんは「特撮に詳しくないから」という理由で下山健人さんや毛利亘宏さんを東映に紹介されたんですよね。それ、大事だなって思いました。「特撮、大好きです」って言う人が脚本を書きたがることも多いけど、それはただのマニアである場合が多くて。

靖子 そういう人って、えてして設定ばかりにこだわりすぎますよね。東映にもよくライター志望者が書いたものが送られてくるらしいんですけど、送られてくるのはシナリオじゃなくて設定が多いんですって。個人的には、内容が設定よりも面白ければいいと思いますが。(中略)やっぱり基本は小さい子が見るものじゃないですか、特撮って。あとは、あんまり設定に凝りすぎると「そこ説明してもつまんないでしょ」って思います。確かにライダーは戦隊との棲み分け上、少しドラマが複雑だし、主人公たちも大人っぽいですけど、それでも「この設定は大人が突っ込みそうだから」みたいな意識では書いていないです。むしろライダーもどんどん魔法チックになってきているので、戦隊との差は少なくなってきてるかも。

▲『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』より、小林靖子小林雄次の対談。

 そうか、『ジオウ』に参加している下山健人や毛利亘宏はどちらも小林靖子の紹介で東映に来たのよね。書いてる途中で気付いた。

▼『ゴースト』は「猫なで声」

 ここで、「子供を意識して書いたこと?ないよ、一度もない」と言う発言で有名(?)な脚本家、井上敏樹のインタビューを見てみよう。

──でも、オダギリジョーさんも心配されていたというように、『アギト』はもちろん『クウガ』も『龍騎』も、大人でも考えさせられるシリアスで奥深いドラマでしたから、子供が見ても陽わかるのかなって気にはなってたんですよ。井上さんは「子供番組」であるという意識はどのくらいあったんですか?

井上 ないね。

──あっ、ない?

井上 うん。ない。それはプロデューサーが決めることさ、俺の脚本を読んで。

──そこまで断言していただけると、なんか爽やかですね(笑)。

井上 そりゃさ、セックスシーンとかさ、そんな変なのは書かないよ(笑)。俺だって当然、無意識のうちにストッパーはあるよ。でも、もう長年やってきてればさ、大体わかる。子供ってね、結構背伸びしたがるんだよ。だから、やや難しい方がいいの。

──ああ、たしかにそうですね。自分が子供の頃も、明らかに子供向けにつくられた作品に対しては「この番組、なんかガキくせえな」とか生意気に思ってましたもんね。

井上 そうそう。子供ってそうなんだよ。そう思うんだよ。それはさ、つくり手の姿勢が見えるからだよ。大人がつくると、子供に媚びたようなものになっちゃうわけよ。

 そうするとね、子供はわかるんだよ。敏感にそれを感じるよ。そういうのがいちばんよくない。だからさ、子供番組をつくろうと思ったら、子供のためにつくっちゃいけないんだよ。

……今、ちょっといいこと言っただろ?(笑)

▲『永遠の仮面ライダーシリーズ 語ろう!クウガ・アギト・龍騎』より、井上敏樹のインタビュー

 要するに「猫なで声で話す作品は子供には信用されない」と言う事を言っており、これは『鎧武』を執筆した虚淵玄もその発言に同意している。『ゴースト』は…「猫なで声」だったかも知れない。ここで言う「猫なで声」とは、子供にとって「分り易い」「受け入れ易い」、そして、製作陣の子供への「メッセージ」と言うニュアンスで使おうと思う。因みに、「猫なで声」と言う表現は虚淵玄由来である。

 …でも、井上敏樹はこう言ってるけど、その「猫なで声」な『ゴースト』は明確に子供にウケたよね。

高橋 確かに今回は子供に向けて作ろうという意識がこれまでより強くて、実際にファイナルステージの客層を見ても家族連れがほとんどでした。だから正しく子供にウケてたということなんですが、逆に言えば大人のお客さんが少なかったんですよね。女性ファンも、磯村(勇斗)と山本(涼介)に少しいるのかなという印象で。眼魂の玩具はすごく売れたものの、大人の層が薄いのでイベントとかプレミアム商品は思ったようにはいきませんでした。だから、そこは良し悪しなんでしょうね。

▲『仮面ライダーゴースト 公式完全読本』より、高橋一浩のインタビュー

 うち「kids」がどの程度いるのかは定かでは無いので恐縮だが、今回の「ゴースト編」はこれまでの回と比べても視聴率が高いのよね。13話「ゴーストハンター2018」の視聴率は「3.2%」。これは当時で言うと、4番目に視聴率が高かった回である。この週は裏番組である『ゲゲゲの鬼太郎』が休止していた事もあり、この結果に至ったと思われていたが、次回たる14話「GO!GO!ゴースト2015」は「3.8%」を記録し、2番目に視聴率が高い2話「ベストマッチ2017」に並ぶ結果となった。こう言うと、仮面ライダーディケイド/門矢士の登場と人気でここまで視聴率を上げたんじゃないの?」と思う人もいるかも知れないが、ディケイドは16話まで続投だったにも関わらず、15話「バック・トゥ・2068」は「2.8%」まで数字を落としている為、ゴースト単体の力でここまで視聴率を上げたと言っても、信憑性はあるように思われる。

『ジオウ』視聴率top5(16話時点)

1位、、、1話「キングダム2068」 4.0%

2位、、、2話「ベストマッチ2017」、15話「GO!GO!ゴースト2015」 3.8%

3位、、、8話「ビューティー&ビースト2012」 3.6%

4位、、、16話「フォーエバー・キング2018」 3.3%

5位、、、14話「ゴーストハンター2018」 3.2%

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 「説明不足」と「猫なで声」、この二つを筆頭にネット上でこそかなり叩かれていたように見えた『ゴースト』だが、見えないところ(kids、非ネット民)ではちゃんと評価されていたって事なのかもね。嬉しいですたい!

 とは言え、最初は高橋一浩自身も、井上敏樹と似た考えをもっていたらしく。

──「おばけ」「偉人」というモチーフ、「眼魂」「パーカー」といったアイテムなど、非常に斬新な仮面ライダー像を打ち出されましたが、これらのビジュアル、ギミックに至った経緯や意図をご説明ください。

高橋 放送中に45周年を迎えるということがあり、「原点回帰」を意識しました。1971年の『仮面ライダー』放送開始当初は「怪奇シリーズ」というコンセプトがあり、ちょっと怖いイメージがありました。自分の小さい頃の記憶を掘り起こしてみると、能天気に明るい番組よりはちょっと怖さというか、毒を持った番組のほうが印象に残っています。怖いもの見たさではないですが、子どもがちょっと背伸びをして観るのが「仮面ライダー」かと思い、ヒーローらしからぬモチーフで、かつ子どもが聞いてすぐにイメージできる「幽霊」というわかりやすいコンセプトになりました。「ヒーローは一度死んで甦る」というコピーにあるように「主人公は一度死んでゴーストになった青年です」と。ただ、自分が予想してた以上に、幽霊=怖いという直接的なイメージが強く、各所からのご意見があり、作劇上は明るい雰囲気にして、子どもに怖がられないように配慮することになりましたが……。

▲『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!』より、高橋一浩のインタビュー。

 紆余曲折あり明るい作風になった『ゴースト』。だが、上のインタビューでも言っていた「原点回帰」は為せたように思えるよね。

▼ライダーの本質は同族争い

高橋 平成ライダーシリーズって、スーパー戦隊シリーズと違ってフォーマットがあるようでないじゃないですか。実際、その年々のモチーフも自由だし、ドラマも自由みたいなところがあるんですが、敵も味方も同じテクノロジーから生まれていて、お互いの主義主張の違いから戦うという一種の同族争い……ここだけは昭和の仮面ライダー1号の頃からずっと変わってない部分なんじゃないかなというふうに思っていて、今回も踏襲しています。

▲『仮面ライダーゴースト公式完全読本』より、高橋一浩のインタビュー。

 それが『ゴースト』チーフP、高橋一浩の思う『仮面ライダー』である。『ゴースト』の場合、仮面ライダーも眼魔も「眼魂」を使い、そのシステム自体は同じよね。しかし、今回の『小説 ゴースト』ではそれとはまた違う形で同族争いが描かれる。それが第一章「ガンマ世界創世」にて書かれた「ガンマ百年戦争である。

【紀元前一七五年~】

 アドニスはイーディスの考案した眼魂システムを本格採用し、グレートアイの力も使い現在に至るシステムを構築する。眼魂システム時代の幕開け──人が死なない世界の実現。反対していたダントンたちも強制的に眼魂システムに組み込まれることになる。

(中略)

 一方のダントンは、アドニスとイーディスが構築した眼魂システムを否定し、秘密裏に強化人間の研究を進める。眼魂システム、アバターを利用した数百年にわたる研究を経て、保存された自らの肉体で実験し環境適応だけでなく人間を超えた強靭な肉体と高い身体能力などを手にいれアバターを捨てる。

(中略)

【数百年前・ガンマ百年戦争開始】

 アドニスとイーディスは禁止したはずの強化人間の研究をダントンが続けていたことを知り、追及する。ダントンが逆に眼魂システムが人間の尊厳を奪っていると反発し、二つのシステムにより民衆が割れて、眼魂システムを利用した人間と強化人間の戦争が起こる。

▲『小説 仮面ライダーゴースト ~未来への記憶~(著・福田卓郎)』より。

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  これもまた、ガンマ(眼魔)世界の民による同族争いのそれだね。…「それとはまた違う形で同族争いが描かれる」と前述したけど、それもちょっと違うな。要は『ゴースト』は「人間」と言う種族同士(同族)の争いを描いていた訳だからね。

 仮面ライダーゴーストが戦う眼魔も「ゴースト」と言う点では同種族よね。また、『ゴースト』本編が進んでいくにつれて、眼魔の正体は眼魂に人間の魂を入れた存在、即ち、人間の仮想分身だった事が明らかになる(宛ら、ショッカーによる改造手術のそれである)ので、2015、6年現在の仮面ライダーと怪人との戦いも「同族争い」だった事になるのだ。これは白倉伸一郎が掲げるライダー三大要素(同族争い、親殺し、自己否定)の1つにも当てはまる(こう見ると、『ゴースト』の中でこの三大要素を全て満たしているのはスペクターなのかも知れないね)(『ジオウ』の「同族争い」ってなんだろう?…あぁ、アナザーライダーが「仮面ライダーの同族」としてそれに該当するのか)。

▼人生は誰も皆一度きりさ

 「ヒーローは一度死んで甦る」が、コンセプトである『ゴースト』の妙且つ面白い所は、そんなキャッチコピーを掲げていながら作品の根幹は「人は死んだら甦らない」と言うところである。実際のところ、『ゴースト』と言う作品は割とメインキャラが多く亡くなっているのだが、その者達は決して甦らないのである。こんな事を書くと「じゃあタケルはどうなの?」と言われそうだが、それは「グレートアイ」と言うシステムがそう言う物なのだから仕方が無い。それにまぁ、タケルは死んでなかったみたいだけどね。これに関してはちょっと苦し紛れっぽいので、自分はあまり口には出さないのだけれど。

高橋●実は第1話でタケルは死んでいなかったんですよ。眼魔世界の技術は科学の延長線上にあるので、本当に死んでしまった人間は生き返らすことができないんです。仙人は瀕死のタケルの魂を眼魂に入れて、肉体は別の場所に保管していたんですよ。第34話に「最初から眼魂にタケルの魂を入れるはずだった」という台詞がありましたよね。だから本当は第12話でタケルが一度消える前に、仙人がタケルの魂を眼魂から肉体に戻していればマコトやアランのように復活できたんですよ。

▲『宇宙船 vol.154』より、高橋一浩のインタビュー。

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 只、やっぱそれだけに「ゴースト編」の「ソウゴとタケルが過去の事故を無かったことにする」のはちょっとモヤったかな。まぁ、「人は死んだら甦らない」と言うのは『ゴースト』と言う作品そのもののコンセプトであって、『ゴースト』のキャラクターの心情で考えれば「故人の再生」には好意的だし、タケルとしても誰にも死んでほしくないだろうし、あの行動も間違っていたとまで言うつもりは無いけれど、『ジオウ』は「フォーゼ&555編」で山吹カリンの死の歴史を変えない選択を取っているだけに、やっぱちょっとね。『ゴースト』らしい展開ではあったけど、『ジオウ』らしい展開ではなかったな。ちょっと皆さんにとっては未来の話になるんだけど、19話の「クイズ編」前編(脚本:下山健人)では、「歴史を変えるなんて後ろ向きの人間がする事だ」と言う台詞を主水に言わせ、父親の死を顧みらせないキャラクターに仕上げているので、この辺は毛利さんとは少しズレがあるように見えるね。何かフォローが入れば良いところ。入んなそうだけど。

 う~ん…、取り敢えず書きたかった事は書いたかなぁ…?まぁ、他にも色々書きたいけど、時間が無ェ!!!!実は、小説『ゴースト』の感想は書きたい事が纏まらず断念してしまっていたのだけれど、『ジオウ』と絡めた事で余計にとっちらかった感想記事になってしまったような気がする…!要するに、自分が小説『ゴースト』に感じた事は、
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 凄く『ゴースト』らしかった。

 と言う事。で、『ジオウ』でも『ゴースト』らしさはかなり出せていたと思う。ディケイド登場にも関わらず、あそこまで「らしさ」を魅せてくれて非常に嬉しかったです。ありがとうございました!

▼余談(『リュウソウジャー』について)
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 『騎士龍戦隊リュウソウジャー』のプロデューサーは高橋一浩みたいですね。

 当初「ゴースト」という作品に感じていた僕のイメージとはまったく違い、明るい台本で、「これ、スーパー戦隊みたいじゃないですか?」と言ったのですが、高橋プロデューサーは「いいんです、今回はファンタジーで行きます」と。ですからスーパー戦隊みたいにならないように気をつけたつもりですが、これはそういう意味でも難しいホンでしたね。

▲『仮面ライダーゴースト公式完全読本』より、渡辺勝也のインタビュー。

 そんな「スーパー戦隊みたいな」作品を排出した高橋一浩の新プロジェクト、『騎士龍戦隊リュウソウジャー』、果たしてどうなる!?(記者会見観たけど、レッドの人どっっっちゃんこ固いな…!)

 

ではこれにて。

またSINNEN

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 明けました。三ヶ日過ぎたけど…。今年も沢山楽しい記事を書きたいと思っています。え?未だに書けていない感想記事も沢山あるのに何を言っているんだって?最近多忙でして…。ちゃんと全部書ききる(多分)ので気長にお待ち下さい!

 そう言えば、『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』を観ました。最っ高だ!素晴らしい映画でした。本当はちゃんと感想記事を書きたいんだけど、他に書かなきゃならん記事が溜まりすぎて手が付けられん…!まぁ、毎週(?)感想の中に少しずつ入れ込めれれば良いかな、って感じで(ちゃんと書く時には「『平ジェネFOREVER』のネタバレ注意」って書きます!)。そんな訳で、開けるときは目茶苦茶日にち開けて投稿すると思いますが、まだこのブログを閉めるつもりはないので、今年もよろしくお願い致します。

 

ではこれにて。

『仮面ライダージオウ』11、12話(鎧武編)感想+考察

 『仮面ライダージオウ』11、12話(鎧武編)の感想です。それではどうぞ。

・11話「ジオウ・オン・パレード2018」

・12話「オレ×オレのステージ2013」

▼引き続き毛利さん脚本です

 オーズ編、鎧武編、そして次のゴースト編は、当時それらのサブライターを務めていた毛利亘宏の担当回。何気に複数人で執筆する作品って2年ぶりなのな…!(『エグゼイド』『ビルド』はメインライター一人で書ききってるからね)まぁ、サブライターを務めていたと言っても、オーズ編には檀黎斗が出てくるし、ゴースト編には門矢士/ディケイドが出てくるしで、毛利さんが書いた事がない作品のキャラクターも結構出てきてるけど。鎧武編だけだね。鎧武"だけ"なの。それはそうと、

 (中略)「誰か」を主役にして『外伝』を作る噂は前々から耳にしていて、企画自体、ボンヤリとしていた時期もあったみたいですが、僕が入る段階では『斬月編』の脚本は鋼屋ジンさんで、僕には「『バロン編』をお願いします」といった形でお話をいただきました。僕が担当した回では貴虎よりも戒斗を多く書いていたし、そういう意味ではわりと自分向きだったのかな。

▲『鎧武外伝 仮面ライダー斬月/仮面ライダーバロン 公式ヴィジュアルブック』より、毛利亘宏のインタビュー。

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 『鎧武』の毛利さんは何かと「チームバロン」を多く描いている。合同ダンス回(ナックル初登場回)とかサッカー回とか(w)。『鎧武外伝』でも「バロン編」と「ナックル編」を書いているね。チームバロンは毛利亘宏に形付けられていったと言っても過言ではないのだ。そんな毛利さんが書いた『ジオウ』鎧武編。オリジナルキャストに葛葉紘汰/佐野岳と駆紋戒斗/小林豊を迎えた当回だが、どちらかと言えば紘汰より戒斗の方が目立ってた印象ね。

 『鎧武』本編では紘汰と戒斗は考えの違いで衝突し、最終的に戒斗は敗れる訳なのだが、そんな戒斗の理論に救われているキャラクターも多いのよね。2話の木から降りれなくなった子供や、『鎧武外伝 仮面ライダーバロン』の小林豊…ではなく、シャプール。『ジオウ』でもゲイツが覚悟を決めた要因として戒斗が大きく関与したね。『鎧武』は其々のキャラクターが其々の正義を胸に争う作品だったけれど、どの正義も共感出来るし、正しいものばかりだったのよね(全面的に「悪」の奴もいるけど。まぁ、この辺は「善悪を決めるのは誰?」的なヤツかな?)。だからこそ、それに心を揺さぶられる者もいる。戒斗の影響により、ジオウを倒す覚悟を決めたゲイツどうなるソウゴ!?
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 なれ合うつもりはない(だが鶏肉は買ってくる)。
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 なれ合うつもりはない(だが鎧武ウォッチは返す)。

 そういや、鎧武ウォッチと言えば…
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 そういう事、出来たんですね、タイムジャッカー。

 これアレじゃん…、「最初からやれ」案件じゃん…!

kro12218116h.hatenablog.com

 

ではこれにて。