『仮面ライダービルド』3話「正義のボーダーライン」感想+考察
▼一番難しいのは3・4話
田崎 (中略)そこで僕はもう一つ、長石多可男監督にすごく感謝していて。本当は1~4話ってワンセットなんだけど、僕は1・2話までしか出来ないじゃないですか。これは前々から何回も言ってることだけど、1年でシリーズ50本あるうちのどこが難しいかって、3・4話が一番難しいんです。なんでかと言うと、1・2話が完成しないうちに撮り始めなきゃいけないから。つまり1話でどんなキャラクターになってるかを見ないで、言わば目隠しで作らなきゃいけない。でも1・2話とまるっきり違ってしまうと駄目だし。かと言って1・2話のままいけるわけでもなくて、すごく難しい。だけど、長石さんはやっぱりそこがすごく上手かった。そこはさすがというか、3・4話はすごい名作だと思います。
田崎 『鎧武/ガイム』のときで言うと、ヘルヘイムの森の見え方などはこちらで決めていったところですね。なんにせよ、そういった世界観を1から形にしていく作業はすごく楽しいですよ。僕からすれば、むしろ3・4話のほうが大変だなって思うんですけど。
──それ、いつもおっしゃられてますよね。
田崎 僕のウィキペディアの項にも書かれていますからね(笑)。3・4話の何が大変かって、1・2話の完成した映像を見ることができない状態で、その続きを作らなければならないんです。それゆえに非常に職人的なスキルを要求されるわけで、長石(多可男)さんや坂本太郎さんといった「3・4話の名手」として名の挙がる監督はみなさん経験豊富で力のある方ばかりですよね。僕もついに『仮面ライダーアマゾンズ』で3・4話を担当することになったんですけど、どうもどこかで割り切っちゃうというか、「(1・2話と)違ったら違ったでいいや」みたいに思っちゃって(笑)。
と言う訳で、『平成ライダー新世紀!』で取材を担当した大黒秀一に「それ、いつもおっしゃられてますよね。」と言われるくらいには彼が何度も鬼門と評するのが、セカンドパイロット版(3、4話)。曰く、「パイロット版(1・2話)が完成しないうちに撮り始めなければならない為、構成が非常に難しい」のだと言う。平成一期ではキャリアのある監督陣がそれに挑んできた。
『クウガ』:渡辺勝也(EPISODE 3「東京」、EPISODE 4「疾走」)
『アギト』:長石多可男(3話「俺の変身!」、4話「パズル解読」)
『龍騎』:石田秀範(3話「学校の怪談」、4話「学校の怪談2」)
『555』:長石多可男(3話「王の眠り」、4話「おれの名前」)
『剣』:鈴村展弘(3話「彼らの秘密…」、4話「永遠の命の謎」)
『響鬼』:諸田敏(三之巻「落ちる声」、四之巻「駆ける勢地郎」)
『カブト』:田村直己(3話「俺が正義‼」、4話「愛を説く‼」)
『電王』:長石多可男(3話「アウトロー・モモタロー」、4話「鬼は外!僕はマジ」)
『キバ』:石田秀範(3話「英雄・パーフェクトハンター」、4話「夢想・ワイルドブルー」)
『ディケイド』:金田治(4話「第二楽章♪キバの王子」、5話「かみつき王の資格」)※
長石多可男ばっかりやね(笑)(もう一人の「3・4話の名手」こと坂本太郎がいないだと…!)しかし、平成二期ではそんなセカンドパイロット版を比較的若い(又は「平成ライダー」の監督歴が浅い)監督が手掛ける事も多い。最も、長石多可男は2013年にこの世を去り、坂本太郎は『ゴーカイジャー』を最後に監督業を引退したのだが。
『W』:諸田敏(3話「Mに手を出すな/天国への行き方」、4話「Mに手を出すな/ジョーカーで勝負」)
『OOO』:柴崎貴行(3話「ネコと進化と食いしん坊」、4話「疑いと写メと救いの手」)
『フォーゼ』:坂本浩一(3話「女・王・選・挙」、4話「変・幻・暗・躍」)※1
『ウィザード』:諸田敏(4話「人形とピアニスト」、5話「決戦のコンクール」)※2
『鎧武』:柴崎貴行(3話「衝撃!ライバルがバナナ変身!?」、4話「誕生!3人目のぶどうライダー!」)
『ドライブ』:柴崎貴行(3話「だれが彼女の笑顔を奪ったのか」、4話「誇り高き追跡者はなにを思うのか」)
『ゴースト』:山口恭平(3話「必中!正義の弓矢!」、4話「驚愕!空の城!」)
『エグゼイド』:坂本浩一(3話「BANしたあいつがやってくる!」、4話「オペレーションの名はDash!」)※3
※1…『フォーゼ』は坂本浩一が1話~4話までを担当。
※2…『ウィザード』は1話~3話までを中澤祥次郎が担当。
※3…『エグゼイド』の坂本浩一担当回は3・4話のみ。
柴崎貴行ばっかりやね(笑)(因みに、柴崎監督の初ライダー作品は『剣』の超バトルビデオ。何気に『剣』から『ディケイド』まで、6年連続でてれびくん超バトルビデオ(DVD)を撮っているのだ。)(テレビ本編の初担当は『カブト』の43・44話。)
そして『ビルド』3話。担当するのは何と、上堀内佳寿也!『ゴースト』の山口恭平のセカンドパイロット版担当も驚いたが、彼の初ライダー作品は『W』超バトルDVD(何気に『W』から『鎧武』まで、5年連続で超バトルDVDを撮っているのだ。)である。カミホリさんの初担当は『ゴースト』の先行PVなので、平成ライダー監督史上最速でセカンドパイロット版を担当した事になる。
──今回は、田崎さん曰く「一番難しい」第3・4話が上堀内(佳寿也)監督なんですね。『エグゼイド』でローテーション入りされたばかりですから、この布陣は抜擢といえば抜擢な気もするんですが。
大森 そこはもう「できるでしょ!」と。『エグゼイド』をでやってみて、芝居というか感情線を大事に撮る印象が強かったので、そこは『ビルド』向きな気がしたんです。説明が多くなりがちな3・4話ですけど、そこで感情が跳ねないとどうしようもないので。
▲『東映ヒーローMAX 2017 AUTUMN』より、大森敬仁のインタビュー。
そんなカミホリさんは今回の『ビルド』3話をどう撮ったのか!?
なんてーか、派手さが増したねw(まあ田崎監督が地味なんだけど…!)『エグゼイド』40話感想で、カミホリさんは「演出がオーバー」「ハッタリを効かせてる」と書いたけど、『ビルド』でもそれは健在だったね。
↑このシーンとか「カミホリさんっぽいなぁ~!」とか思ってしまったw
↑何故か思い出したシーン。実は結構好き。
まだ序盤と言う事で、沢山のフォームが出てきてない故に、その辺りの見せ方はまだ限られてるけど、今回のゴリラ掃除機フォームのように、「ビルドアップ」と言うアイデアはこれからもどんどん使っていってほしいね(どうやってスーツ着替えてるんだ…?)『エグゼイド』はフォームチェンジが「レベルアップ」だったので、セカンドパイロット版は折角坂本(浩一の方ね)監督が撮ってたのにフォームチェンジラッシュが観れなくて若干残念だったのですよ。自分。まあ要するに、「多彩なフォームチェンジは大好き!」と言う事です(笑)次回も頑張れ。カミホリさん。
▼それは必要なのか
今回も本編内で気になったところが。それは…
万丈「なあ、前から気になってたんだけど、それなんだよ?」
惣一「そいつはな、ベストマッチだ。もう一度言おう。ベストマッチだ。」
万丈「いや、何回言われても分かんねぇし。」
惣一「ボトルには相性があるんだ。例えば、ラビットとタンク。この二本を入れると、相性の良い組み合わせが見つかれば、こうして光る。全組ベストマッチになったらとんでもない事が起こるらしい。けど、これが中々揃わない。」
戦兎「だから、こいつ(ビルドドライバー)が必要なんだよ。これは元々ビルドの変身機能しか無かったのを、俺がベストマッチを探せる検査機にもなるよう改良したんだ。どうよ、俺の発明品。」
▲『ビルド』3話「正義のボーダーライン」より。
ならもうそのパネルは必要無いのでは…?
何で態々、そのパネルを使って実験してたんだ…?ビルドドライバーがあるならそれを使えば良いのに。て言うか「(パネルでベストマッチを探せるが)これが中々揃わない。」→「だから、(ベストマッチ検査機能が付いてる)こいつが必要なんだよ。」って明らかに流れ可笑しくないですかぁ~!?もうそのパネルは御払い箱で良いですやん…!何?それだとパネルが可哀想だから?いやいやいやいや…!…と、ここまで書いてきたが、皆さんお気づきだろうか?ビルドドライバーがある今、パネルは必要無い。これはつまり、
その設定、必要無いのでは…?
となってしまうのである。ベストマッチの説明をしたかったのなら「このビルドドライバーがあれば、ベストマッチを見つけ出す事が出来るのさ!」で済むんよな…!今後、話に絡んでくるような設定にも見えないし…何だったんだろう?これ。
▼武藤将吾の「正義」
成程、武藤将吾の思う「正義」とは「人を助ける事に見返りを求めない」と言うものなんだな。これについて誰がどう思うのかは知らない。「これぞヒーローの鑑!泣けるわぁ…!」と感動するか、「正義って言葉を軽く使うんじゃねぇ!」と憤怒する者もいるかもしれない。取り敢えず自分が思う事は「ブレずに突っ走って欲しい」と言う事なので、作中ではある程度完成されてる人間(に見える)な戦兎なのでそこは大丈夫そうな気もするけど。
ではこれにて。