レイジング野郎

特撮多めの不定期ブログ たま~に関係無いことも

「過去作を整理する」を明確に見せたかも知れない『ジオウ』「剣編」

▼my first masked riderf:id:kro12218116h:20190511214013j:image

 ちょっと自分語りから。自分の初『仮面ライダー』は実は仮面ライダー剣。当時は年長くらいだったので、周りの友達は『龍騎』や『555』、早い子は『アギト』なんかも観ていたのだが、どうしてか自分は少し『仮面ライダー』に目覚めるのが遅かった(と言うか、親は『龍騎』も『555』も魅せてくれた事はあったらしいんだけど、全然興味を示さなかったらしい。何で『剣』はハマったんだろう…?)。で、そこから毎週『仮面ライダー』シリーズを追って来て、今に至る…と言う事で『剣』には結構な思い入れがあるのだ。CSMに今まで手を出さなかった自分が、「CSMブレイバックル」を買っちゃったくらい(笑)。そんな『剣』がまさかのサプライズで登場となった時にはもう大興奮。や、だって剣崎と始と天音ちゃんだよ…?嬉しくない訳無いじゃん!!!とは言え、また剣崎と始が出会ってしまうと言うのには少し心も痛くなりつつ…いけない、自分の世界に入ってしまった。そんな訳で、複雑な気持ちを抱きながら、『ジオウ』「剣編」に臨んだのである。本題に入ろう。

▼『ジオウ』と『ディケイド』の違いは

 と言う訳で、話は変わるが、『ジオウ』と『ディケイド』の違いについて。『ジオウ』1話感想の最後に、「『ジオウ』が本編で完結を迎えれば、『仮面ライダー』の未来はない」的な事を書いたんだけど、

kro12218116h.hatenablog.com

 『ディケイド』は過去作を「纏める」(別称、「カタログ化」)事で次作たる『W』にバトンを繋げたのに対し、『ジオウ』は過去作を「片付ける」事で新たな仮面ライダー、即ち、「令和仮面ライダーへと繋げようと試みている。

白倉 (中略)物量もそうですが、スタッフ一同の勉強量も大変なものがあります。一つ新しい番組をやるだけでも大変なのに、今回は10年分ですから。だから、みなさんには申し訳ないけど「10年分の苦労が押し寄せると思ってくれ」と(笑)。まあ実際、本当にそういう次元の話だったりするので、そのお祭りを最後で新番組につなげて「仮面ライダー」という放送枠そのものを変革していく。それが今回のゴールなんです。本当の成果というのは、さらに来年以降出てくるか、それとも出てこないのか……って、出てこないと困るんだけど(一同笑)。

▲『東映ヒーローMAX vol.28』より、白倉伸一郎のインタビュー

f:id:kro12218116h:20190511213850j:image

 『ディケイド』の「放送枠の変革」と言うミッションは『W』のヒットで果たされる事となる。実際、『ディケイド』があったからこそ、後続の『W』が成功したと言っても過言ではない。これは『W』メインライター、三条陸もそう公言している。

──ド派手な『ディケイド』のあとだったからこそ、『W』の生まじめな作風が際立ったという部分も。

三条 それはありますね。たぶん、『キバ』の直後に始まってたら、まったく感じが違ってたでしょう。あと、夏映画に新ライダーが殴り込んでくるスタイルも、秋開始になった『W』からですよね。子どもが夏休みに映画を観て、それが新しいライダーの予告編にもなってて、新学期は新ライダーのことで話題騒然という理想的なスタイル(笑)。その初っ端だったわけですから、本当に『W』は華々しく新スタイルで登場したふうに見えたんだろうなと。正直、こんなにうまいピースのハマり方をしちゃってラッキーなこともあるもんだなって客観的に思ってましたよ。とにかく、『W』という作品を離陸させること自体が無理なんじゃないかというくらい追いつめられてたので、ちゃんと離陸できただけで御の字というか。

──結果、『W』は大ヒット。思いのほか高く飛んでいきましたね。

三条 まぁ、気流がよかったんでしょうね。「どうです、すごいでしょう!」とはとても思えない(笑)。

▲『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!』より、三条陸のインタビュー

 元々、『キバ』の後番組だった予定だった『W』だが、間に『ディケイド』が放送された事により、企画を練る期間に猶予が出来、難航していた企画も上手く纏まり、『W』チーフP、塚田英明もそれに関してはラッキーだったと話している(それはそれとして、『ディケイド』が横槍で入ってきた事に関しては納得してないみたいだけどw)。と言う風に、『ディケイド』の協力もあり、めでたく爆誕した『W』。対して、『ジオウ』は過去の平成ライダー作品を「片付ける」事で、今後「令和仮面ライダー(乃至は「令和ライダー」)と呼ばれ語られるであろう作品群にバトンを託そうとしている。

 (中略)さらに9年経っている2018年現在においては、仮面ライダーブランドもある程度定着しましたので、『ジオウ』の使命というのは、逆にこれだけ多くなった平成仮面ライダーたちというものを、次の時代を迎えるために片付けていくことなのかなという気がしてます。もちろん、個々のキャラクターを愛してほしいし、ファンの方々を増やしていきたいという思いはあります。それでも、一度整理した上で次の時代に道をつなげていくこと。そしてこの延長線上に1号から数えて何人目の仮面ライダー誕生とするのではなく、次は明確にひとり目にすること、というのが『ジオウ』に与えられた使命のような気がしてるんです。

▲『平成仮面ライダーぴあ』より、白倉伸一郎のインタビュー

 この「片付ける」が自分は今一ピンときてなかったのだが、「剣編」を観て、何となくそれが見えた気がする。
f:id:kro12218116h:20190514205146j:image

アナザーブレイド「ウゥ…アアアアアァァァァ!!!!」

(剣崎と始のジョーカーの力を吸いとるアナザーブレイド。)

白ウォズ「ジョーカーの力が今、一つになった。バトルファイトは終わり、滅びが始まる。」

▲『仮面ライダージオウ』30話「2019:トリニティはじめました!」より

f:id:kro12218116h:20190514205200j:image

ゲイツ「それは…。」

ソウゴ「あんた達の力だ。」

剣崎「君が持っていてくれ。俺達の力がそれに移ったんなら、ジョーカーの力も封印出来たのかもな。俺も漸く未来へと進める。始達も…。」

▲『仮面ライダージオウ』30話「2019:トリニティはじめました!」より

f:id:kro12218116h:20190511214055j:image
f:id:kro12218116h:20190511214105j:image

 まさか15年越しに『仮面ライダー剣』にこんな結末が用意されるとは…!

 剣崎が人間に戻るのは兎も角、アンデッド(ジョーカー)である始までも人間になってしまうのは「!!?!?」って感じだけど…!バトルファイトは終了し、剣崎と始は闘う運命に勝った、と言う解釈で良いのかな。まぁ事態を解決させたのはジオウトリニティだけど…。しかしやはり、自分が始めて触れた作品が、年月を経てこんな結末を迎えたとなると、何処か感慨深いモノがある。自分はこの結末、「賛」です。

 過去作が残した出来事に決着を付ける、これが『ジオウ』の目論む「平成仮面ライダーを片付ける」と言うことなのかも知れない。未来の話をすると、『響鬼編』では桐矢京介が遂に響鬼に変身を果たしたり(因みに、白倉伸一郎曰く、ヒビキさんは死んでいないらしいぞ!)、TTFCオリジナルドラマ、『仮面ライダーブレン』ではチェイス復活の兆しを見せている(『ジオウ』に繋がるのかどうかはまだ謎だが…)。とは言え、『剣』のあの終幕が好きな人にとっては望まない展開だっただろうし、このやり方は諸刃之剣だろうけど、『ジオウ』はそう言う選択を取った、と言う事なのかな。そうなると、前半に消化したレジェンド達がどうなるのかが気になる所だが、まぁ、今後に期待するとしますか。

▼余談(新元号ライダーについて)

 本記事では自分は「令和仮面ライダーと言うワードを使用したが、白倉伸一郎「○○(元号)ライダー」と言う括りはもうやめて欲しい、と語る。

白倉 僕は、平成ライダーの次は元号が付かないでほしいと思っています。そもそも平成ライダーって、昭和ライダーに対するカウンターとしての呼称なので。これだけ作品が続いてくると、結局すべて枠の中でものを語ってしまうんです。語れることは素晴らしいんだけれども、結局「前の番組と比較して、ここは同じでここが違う」とか、ライダーの内側ばかり見て会話してしまう。そうではなく、きちんと今の時代や子供たちに即したヒーローであってほしい。つまり、“昭和”とか“平成”でくくられている仮面ライダーという歴史自体から解放されないといけないんです。だって、“平成スーパー戦隊”とか“昭和スーパー戦隊”っていう呼び方はないわけですから。

武部 そうですね。「平成ライダー」という名前を付けなければ、平成ライダーが終わることもなかったのに。

白倉 名乗ったから終わる。だから“元号ライダー”はもう終わってほしいんですよね。まあどうせ東映さんのことだから、新しい元号が発表されたら“◯◯ライダー”と呼ぶんですよ。

武部 昭和 VS 平成 VS ◯◯!みたいな。

白倉 たぶんやるし、自分がやるかもしれない(笑)。でも精神的な部分では、そういうつもりじゃいかんな、と思います。新番組でも「◯◯シリーズ第1弾!」と銘打つと、第2弾や第3弾でもとを取ればいいやと思って甘えてしまいますからね。つまり元号に頼らず、仮面ライダーシリーズなんて終わってもいいくらいの気持ちでやってほしいですね。そのあとまた、11年くらいブランクを空けて始めればいいじゃないですか(笑)。

「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」仮面ライダージオウ座談会 / 仮面ライダービルド座談会 / レジェンドプロデューサー座談会 (6/6) - 映画ナタリー 特集・インタビューより。

 まぁ東映が呼ぶ前にライダーファンがそう呼んでるから、もう手遅れな感じはあるけどな…!

 

ではこれにて。