レイジング野郎

特撮多めの不定期ブログ たま~に関係無いことも

『仮面ライダージオウ』2話「ベストマッチ2017」感想+考察

▼『ビルド』編、(一先ず)完結!

 まさか歴史が元に戻らないで終わるとは…!とても不穏な終わり方だったね。て事で、1話感想で「『ビルド』については思う所がある」と言ったが、2話でもその思う所は変わらなかったので書く。一言で言うと、

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 『ビルド』の世界は武藤将吾にしか書けないんだな。

 と言う事です。あのね、『ジオウ』の戦兎と万丈、と言うか、下山健人の書く戦兎と万丈、全然戦兎と万丈っぽくないんよな…!万丈は「2017年11月30日」と日付をちゃんと言えたり「謙遜」なんて難しい言葉知ってたりと、変に賢くなってるし、戦兎も「ちょっと妬けるな」なんて言わないだろ…!ツナ義ーズの下りだけだったよ、『ビルド』っぽかったの…!しかもあのシーン、絶対役者のアドリブ満載だよね。『ビルド』の台詞回しはとても独特で引き込まれるものがある。武藤将吾の手腕と役者陣の演技でそれが成り立っている(と、自分は思っている)のだけれど、脚本家が変わるだけでこうも変わるかと結構驚いたな。これ、犬飼君と赤楚君の演技力が無かったら(後、監督が『ビルド』のパイロットを務めた田崎さんじゃなかったら)もっと悲惨な事になってたと思う…!

 そういや、結局スカイウォールがあった事や、新世界どうこうに関しては何にも説明無かったね。まぁ、これについては、

──そもそもそれ以外の作品も、同じ時間軸を遡っていくだけで繋がるわけではありませんよね?

白倉 かろうじて地続きかなと思えるのは『クウガ』と『アギト』ぐらいで、あとは新しい作品が始まるたびにリセットされた世界ですからね。最終的にループされるのも困るし、主人公がどこか遠くへ行ってしまうのもそれはそれで非常に困ったもので(笑)。しかしそこをどう繋げるかというのは、自己満足かもしれないですが、それなりに理屈がつけられたんじゃないかと思っています。具体的にはストーリーの中で明かされていきますが、そこも楽しみにしておいていただきたいですね。

▲『東映ヒーローMAX VOLUME58』より、白倉伸一郎のインタビュー

 白倉伸一郎がこう言っているので当面はまだ見送りかな。今週の『補完計画』でその一端(?)が語られたけど。…て言うか、界隈では「『補完計画』(有料サイトの動画)でそんな重要な設定を補完するな!」って批判の嵐が絶えないね…!多分、3話で『補完計画』のそれらについては説明されると思うので、観れない人は次回を待ちましょう(「多分」だから期待しないで待つくらいが丁度良いかも…?)。 

 『ジオウ』2話、1話よりも観易かったし面白かった。…それでも色々言いたい事はあるけど(笑)。次回は『エグゼイド』編!「ドクターゲーマー2018」と言うタイトルだったし、先ずは現代の永夢と飛彩と出会うのかな?(飛彩が永夢を「小児科医」と呼んでたし)兎に角、来週も楽しみですね!

▼余談(「大人の事情」の件について)

 『補完計画』にて語られた『ジオウ』世界の3つのルール。TTFCに入っていない人の為に一応それについて書いておく。

1……同じライダーの力は同じ時間には共存できない

2……アナザーライダーは同じライダーの力でしか倒せない

3……オトナの事情にツッコむヤツは馬に蹴られる

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 特に取沙汰されたのは最後の第3のルール。つまりこう言う事か。

白倉 言ってしまえば実は正義とはなにかを考える必要もなければ、"正義"のヒーローである必要はなく、お客さんが楽しみにしているのは仮面ライダー的なものが怪人的なものをやっつけるというところなんですね。それが必ずしも正義と悪に色付けされている必要はない。ただ、二〇〇一年のように世間的にも正義とはなにかという議論の出ている時代背景において番組も槍玉に上がれば、話題にもなりやすいので、そういう問いかけを多少は扱わなければいけない、あるいは考えている振りをしなければいけなかった。いまは世情も変わったので、正直に言えばお客さんに考えさせるのでも、製作者が考えるのでもなく、正義といえば正義だし、そうじゃないと言われればそうかもしれないというくらいの感覚が強くなっているし、それで受け入れられている。國分さんが『暇と退屈の論理学』でも引いていらしたドゥールズの「ひとはなるべく考えたくない」という方向に向かっているのがテレビ番組なので(笑)、なるべく考えずに作られ、考えずに見られるほうが理想的なんですよ。

國分 なかなか衝撃的な発言ですが(笑)、それは人間の真理ではありますね。とはいえ、平成仮面ライダーを見ているとやはり正義についてなにか考えてしまうところはあって、それに関して哲学からひとつ論点を持ってくると、ジャック・デリダが晩年、正義についておもしろいことを言っていたんです。デリダによれば、正義(justice)と法(droit)は違う、と。どういうことかと言うと、合法的であることと正義であることは違う、と。これは当たり前のことのように思えるんですが、デリダはそこにパラドックスを見出します。そして、「この行為は合法的である」と現在形で述べることはできても、「この行為は正義にかなっている」とは現在形で述べることはできないと言うんです。なんらかのあらかじめ決められたルールに従っているだけなら、それは単に合法的であって、正義ではない。つまり正義は現在形では言明できない。正義の行使を現在形で名指すことはできない。しかしそれにも関わらず、やはり、正義が為されねばならない。それは不可能です。あらかじめ分からないのだから。でも、この不可能なことを為すのが正義なのだとデリダは言うんです。

 デリダは哲学者なので、こんなややこしい言い方をしてますが、簡単に言えばそのたびごとに一人ひとりが考えて事に望まなければならないということですよね。正義をこういうふうに考えてくると、先ほど述べた論理に近くなってきます。先ほどは「正義」という言葉よりも「論理」のほうが平成仮面ライダーに合うかもしれないと言ったのですが、更にその上で、もうひと回りして"正義"を考えることができるかもしれないとも思うんです。

▲『ユリイカ2014年9月臨時増刊号 総特集=平成仮面ライダー』より、白倉伸一郎國分功一郎の対談

 長いし分かり辛いかな…!これは「正義」について語り合ってるからな…!まぁ要するに何が言いたいかと言うと、第3のルールを飲み込める人は「白倉タイプ」、鼻に付く人は「國分タイプ」と言う事ですね。貴方はどちらでしょうか?

 最後に『補完計画』の戦兎(巧)の台詞を白倉Pに言わせてみる。

白倉「万丈君。本当に理屈通りやって欲しい?歴史が変わった万丈にはエボルトの力が無い弱っちぃし、メインキャラでもないおまけにエビフライも無いし台本も逆に持ってる。そんな万丈をお客さんに観て貰いたかったか?」

 い、言いそう~~~www

 

ではこれにて。