レイジング野郎

特撮多めの不定期ブログ たま~に関係無いことも

『仮面ライダー 平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー』感想+考察

▼『平成ジェネレーションズFINAL』!それは!

 平成最後の集大成!約20年の長い歴史を締め括る最後の映画を作った精鋭達の名は!

 大森敬仁!プロデューサー!『ドライブ』にて初チーフプロデューサーを担当!『平ジェネFINAL』の主役である、『エグゼイド』、そして現行の『ビルド』も現在プロデュース中!

 高橋一浩!プロデューサー!『W』よりサブプロデューサーとして作品達を支え、『ゴースト』にてチーフプロデューサーに昇格!『平ジェネFINAL』にも登場する『オーズ』、『フォーゼ』のサブプロデューサーも担当!

 高橋悠也!脚本家!『ドライブ』よりライダー脚本初参戦!『エグゼイド』では『555』以来の「全話執筆」を完遂!多くの視聴者を虜にした!

 武藤将吾!脚本家!現行作品『ビルド』より初参戦!自称ライダーオタクの筆は視聴者からの指事も熱く、今もなお執筆中!

 上堀内佳寿也!監督!『ゴースト』始動PVより始まり、『アラン英雄伝』、『ゴライダー』、『スペクター』を経て、『エグゼイド』30話で遂にTV本編に参戦!『ビルド』でもセカンドパイロットを担当!

 『平成ジェネレーションズFINAL』!それは、「今」を今も作り続けている新生達によって制作された、ニュージェネレーションムービーなのである!!

(因みに「平成」の元号は2019年に終了するみたいですね(オイイイイイィィィィ!!!!))

▼『平成ライダー』を知る者達
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 とは言うものの、彼らはこれまでの『平成仮面ライダー』を知る者達でもある。プロデューサー陣は言わずもがなだが、高橋悠也武藤将吾「ライダーオタク」(とは言え、高橋悠也は全作は観ていないのだとか)であり、上堀内佳寿也も助監督として過去作を支えてきた。

──不思議なもので、まだみなさん若いのに、貫禄さえ感じさせるというか。

上堀内 そうですよね。何より、変身がカッコいいんですよ。いちばん最近までやっていた西銘(駿)も「やっぱりゴーストは西銘しか考えられないな」と思わせてくれたし、佐野(岳)に久しぶりに神様じゃない紘汰をやってもらったのも楽しかった。福士蒼汰も、あの笑顔は当時と全く変わらないんですけど、現場の空気を自然と引っ張っていく姿はさすがだなと思いました。そして渡部秀三浦涼介は、映司とアンクということじゃなくても、「この2人で作品を撮りたい」と思わせてくれる役者ですね。台詞にしなくても思いをしっかり表現できる力があるんです。今回は、彼ら歴代の主役たちにもすごく助けられながら、現役キャストも全力でがんばった映画になっています。ぜひ、楽しんでください。

▲『仮面ライダー 平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー』パンフレットより、上堀内佳寿也のインタビュー。

 因みに、「この2人で作品を撮りたい」と思わせた渡部秀三浦涼介だが、三浦涼介の方はスタッフ陣ではなく、渡部秀本人から声を掛けたのだとか。
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──(中略)この「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー」で、渡部さん演じる仮面ライダーオーズ / 火野映司と、三浦さん扮するアンクが復活するに至った経緯を伺えればと思います。レジェンドライダーキャストの復活は、各プロデューサーからのオファーで実現したのでしょうか?

渡部 もちろん僕やほかの方々はプロデューサーさんからお話が来てると思うんですけど、りょんくんに対しては僕から直接お願いしました。先日、共通の知人の結婚式用のビデオを撮るために、僕とりょんくんと高橋(一浩)プロデューサーが焼肉屋に集まったんです。そのときにオーズ復活の話をいただいたので、「りょんくんも出ちゃいなよ」って言って。その場ではまだ本格的な話ではなかったんですが、その晩にりょんくんに本気でメールしました。

──やはりお一人で出演するよりは2人一緒に、という思いが強かったのでしょうか。

渡部 単純な話、りょんくんがいないとオーズじゃないので。それだけですね。僕1人で映画に出ることはもちろん可能なんですけど、ファンの方はやっぱり2人で並ぶ姿を一番楽しみにしてくださっていると思うんです。僕もそれに応えたかった。映司の横にはいつもアンクがいたので、自然な流れでした。考えることもなく、当たり前のように僕からお誘いしました。

三浦 そういう思いでいてくれたのは、純粋にすごくうれしかったですね。このご時世ですから、自分たちがやりたいと思ってもそううまく進んでいくものばかりではないと思いますし。メールをもらってからも、まあ期待はしつつ、半分は「いつかはできればいいな」っていう思いでもあって。ただそれからはわりと速いスピードで話が進んで、制作側から正式にオファーもいただきました。

「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL」特集 「仮面ライダーオーズ / OOO」渡部秀×三浦涼介インタビュー - 映画ナタリー 特集・インタビューより。

 …話が逸れた。

▼ぼくらのかんがえるさいきょうのかめんらいだー

 スタッフ陣が「平成仮面ライダー(『オーズ』、『フォーゼ』、『鎧武』、『ゴースト』、『エグゼイド』、『ビルド』)」を知っており、その話を拡げていくと言う作り方は、謂わば「ファンの二次創作」的サムシングを感じる。しかし、そんな『平ジェネFINAL』の中にも確りとプロデューサー陣の思う「『仮面ライダー』の何たるか」が込められているように感じた。
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 大森敬仁の場合↓

――最後に、大森さんが考える「仮面ライダー」像とは? また、仮面ライダーでもスーパー戦隊でもない、新しいヒーロー番組、ヒーロー映画を作る構想などはありますか。

ようやく僕自身が仮面ライダーとは何かっていうのをようやく理解しはじめたくらいのタイミングだと思うので、新しいヒーロー番組までは至っていないですね。最初に「仮面ライダー」を担当した『ドライブ』は、やっぱり「仮面ライダーってなんなんだろう」と模索しながら作って、完成したときにその意味を知ったという感じでした。

少しずつやっていくと、悪と善が表裏一体というか、切り取り方によっては悪にもなるし善にもなるというところがたぶんテーマなんだろうなというふうに感じてきました。そこは本当に現実世界もそうだなと思うのですが、そういうところを描いていければいいんじゃないか。一方で、やっぱり子どもがたくさん見る番組なので、最終的に人として正しいことは描かざるを得ないとも思いますが、悪も善になりうるというか、自分が善だと思っていることが必ずしも善じゃないということが表現できればいいのかなと思っています。

さあ、新しい「仮面ライダー」を始めようか - 東映・大森Pが語るエグゼイドとビルドの"二か年計画" (5) いま、この社会で仮面ライダーを作るということ | マイナビニュースより。

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 高橋一浩の場合↓

高橋 平成ライダーシリーズって、スーパー戦隊シリーズと違ってフォーマットがあるようでないじゃないですか。実際、その年々のモチーフも自由だし、ドラマも自由みたいなところがあるんですが、敵も味方も同じテクノロジーから生まれていて、お互いの主義主張の違いから戦うという一種の同族争い……ここだけは昭和の仮面ライダー1号の頃からずっと変わってない部分なんじゃないかなというふうに思っていて、今回も踏襲しています。

▲『仮面ライダーゴースト公式完全読本』より、高橋一浩のインタビュー。

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 本作の敵、カイザー/最上魁星の真の目的は、平行世界移動装置「エニグマ」を使い、永遠の命を手に入れる事。「永遠の命」と聞くと、ライダーファンとしてはやはり仮面ライダーゾルダを思い浮かべない訳にはいかないね(笑)。『龍騎』の場合、仮面ライダー達は其々の思う「正義」の為に戦うんだけど、最上魁星もまた、「永遠の命」と言う自身の「正義」の為に行動していたのだろう。しかし、だからと言って二つの世界を合体させ、消滅させる事は「悪」である。この辺は「大森敬仁的仮面ライダーだね。
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 そして、そんなカイザーを攻略する鍵となったのは、カイザー自身が開発した「エニグマ」だ。戦兎は「エニグマ」のシステムを弄る事でカイザーの目的を阻止する。また、最上魁星は「財団X」の偽コアメダルにより、グリード達を復活させるのだが、その中の一人、アンクは味方と化し、映司と再び共闘する事となる。「敵と同じ力を使い戦う」。この辺は「高橋一浩的仮面ライダーを感じる。

 大森敬仁と高橋一浩は『鎧武』以外のライダー作品全てに関わっている(そういや、「『鎧武』の佐野岳を呼んだのは誰なんだろう?」と思っていたら、エンドロールに武部直美の名前があったね。)。即ち、『平ジェネFINAL』はこの二人のプロデューサーの思い出が籠った作品って事だね。
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 脚本家の二人は、『仮面ライダー』視聴者と言うだけあって、我々のようなオタク的思考で脚本を書いていたんだろうな(レジェンドライダー達を担当した高橋悠也みたいだけど)
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 意外にも、今作品の軸となったキャラクターは万丈龍我/仮面ライダークローズ。ビルドは本編1話以前から仮面ライダーをやっていたので、今作に登場する仮面ライダーの中で、まだそれになりたてのキャラクターというのは万丈だけなので、レジェンドライダーと絡んでいく中で、万丈が「戦う意味(理由)」を探していく、と言う構造になっている。「あなたのその拳で、多くの人の力になってあげてください」と言う香澄のメッセージから、仮面ライダーに変身する覚悟を決めた万丈だが、そりゃあいきなりそんな事言われてもよく分からない訳で。今回はそこを確り固めてくれたのが良かったね。(そういや、『アマゾンズ』映画化するのね~。長瀬の登場は果たして…?)

武藤 万丈はTV本編第1話から登場して仮面ライダーになるまでのストロークが長いので、なぜ仮面ライダーにならなければいけないのか、そのストーリーをしっかり描けるというのがありました。その答えがこの映画ですね。本当はTV本編でやりたいことではあるんですが、レジェンドライダーも登場するこれ以上の舞台はないというか。それぞれの仮面ライダーの価値観を知って、自分なりの答えを出すというのは、桐生戦兎の仮面ライダービルドだけでは多分もう少しいろいろなことが必要でしょうから。そういう意味では万丈が一人前になったという完結感を持たせたつもりです。

▲『HYPER HOBBY ハイパーホビー vol.6』より、武藤将吾のインタビュー。

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 上堀内監督に関してはやっぱり、「愛」が凄かったね。流石は今までレジェンドライダーを支えてきた人なだけある。正直、もうちょっとフォームチェンジや生身アクションを観たかった気もするけど、全然満足でした。ありがとうございました。 

上堀内 いざ彼らを迎えて撮るとなると、いろいろな思いがこみ上げてきました。ライダー時代を経て、多くの現場で揉まれてきた彼らは、すごく成長していましたね。みんな忙しいから、スケジュールに余裕はなかったけど、彼らと共演する機会が多かった赤楚(衛二)あたりには、特に刺激になったんじゃないでしょうか。

▲『仮面ライダー 平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド withレジェンドライダー』パンフレットより、上堀内佳寿也のインタビュー。

 

▼結論

雄次 靖子さんは「特撮に詳しくないから」という理由で下山健人さんや毛利亘宏さんを東映に紹介されたんですよね。それ、大事だなって思いました。「特撮、大好きです」って言う人が脚本を書きたがることも多いけど、それはただのマニアである場合が多くて。

靖子 そういう人って、えてして設定ばかりにこだわりすぎますよね。東映にもよくライター志望者が書いたものが送られてくるらしいんですけど、送られてくるのはシナリオじゃなくて設定が多いんですって。個人的には、内容が設定よりも面白ければいいと思いますが。(中略)やっぱり基本は小さい子が見るものじゃないですか、特撮って。あとは、あんまり設定に凝りすぎると「そこ説明してもつまんないでしょ」って思います。確かにライダーは戦隊との棲み分け上、少しドラマが複雑だし、主人公たちも大人っぽいですけど、それでも「この設定は大人が突っ込みそうだから」みたいな意識では書いていないです。むしろライダーもどんどん魔法チックになってきているので、戦隊との差は少なくなってきてるかも。

▲『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』より、小林靖子小林雄次の対談。

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 自分は「そこ」を『ビルド』本編の「問題(不安)点」と考えているのだけれど、こと『平成ジェネレーションズ』と言う舞台は、「そこ」が許される世界観よね。兎に角、製作陣の「熱」「愛」が痛いほど伝わってきた作品だった。キャスト陣も楽しそうだったな。もっと色々言いたい事はあるけど、一先ず、自分は『平成ジェネレーションズFINAL』と言う作品をこう評そうと思います。
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 『平成ジェネレーションズFINAL』!それは、数々のクリエイターとキャストの主張と愛慕が聯合し誕生した、壮大なる「二次創作」である!!!

 

ではこれにて。