レイジング野郎

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『仮面ライダーエグゼイド』38話「涙のperiod」感想+考察

▼皆で覚える診療講座
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 今週の話は言ってしまえば予想通りの展開だったので、今回は少し趣向を変えて、今回、飛彩が行った手術についてや、大我がどれだけ酷い状態だったのかを皆でお勉強していこうと思います。それではどうぞ。

▼心嚢ドレナージ術、及び上行大動脈人工血管置換術

 今回、飛彩が行った手術は、「心嚢ドレナージ術、及び上行大動脈人工血管置換術」グラファイトの攻撃に寄って心臓をやられた大我。損傷した心臓と上行大動脈をどうにかする、と言う手術です。因みに、14話で膵臓癌の患者に飛彩が行った手術は「幽門輪温存膵頭十二指腸切除術、門脈合併切除術」だね。

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 心臓は心膜と呼ばれる膜に覆われている。心膜と心筋との間を心膜腔と呼ぶが、その場所に溜まる液体を心嚢液と言う。正常な状態でも15ml~50mlの心嚢液を認めるらしい。この心嚢液が心筋梗塞、大動脈解離からの出血、心不全、腎不全、心膜炎、悪性腫瘍からの心膜転移などの様々な病態により心嚢液が増加すると心臓が外から圧迫される状態になる為、心臓の拡張を妨げている状態になる。その結果、心臓が十分に広がることが出来ずポンプとしての能力を失い、血液を全身に送ることが出来なくなり、心拍出量が低下し血圧が低下する。この状態を38話内でも台詞で出てきた心タンポナーデと言う状態である。心停止に至る可能性がある非常に危険な病状だ。心嚢ドレナージ術、別名、心嚢穿刺術は溜まった心嚢液を採取、排液する事により、心嚢液貯留に伴う心タンポナーデの解除を目的とする。また、待機的処置の場合は心嚢液を採取、精査し心嚢液貯留の原因検索を行う。また緊急の心破裂、大動脈解離、冠動脈破裂などの出血による急性心タンポナーデの場合は、心嚢穿刺(心嚢ドレナージ)術は緊急手術までの救命的処置となる。
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 大我の場合、外傷性上行大動脈破裂心タンポナーデの原因。上行大動脈は、ヒトでは左心室にある大動脈口より起始し、上行したのちに胸骨角または第2肋軟骨の高さで大動脈弓に移行する。長さは約5cmであり、体循環における最初の血管である。大動脈に外傷が起こる原因としては刺傷や銃創、爆傷などの創傷、また交通事故や高所転落といった高エネルギー外傷が多い。胸部よりも腹部に受傷することが多く、約2倍の頻度とされている。好発部位としては、胸部においては左鎖骨下動脈分岐部、上行大動脈、大動脈峡部、腹部においては腹部大動脈、腸骨動脈、腹腔動脈、肝動脈などがある。急死の例も多いらしく、(特に下行大動脈破裂の場合、現場死亡率はなんと85%!)仮にそれを逃れても、来院事死亡や心肺停止になるのが殆どなのだとか。大我の場合、上行大動脈破裂の為、そこに心タンポナーデが重なる。まさに首の皮一枚がなんとか繋がったいた状態だね。タフ過ぎる。
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 因みに、大動脈弓と言う名前は、この曲がった形がまるでの様な見た目な事からついた名前なんだとか(言いたかっただけ)要するに上行大動脈含む、この画像の部分は人間の核となる部位に位置し、それの損傷は極めて危ない状態なのだ。と言う訳で、それに伴い行われる治療が、損傷した上行大動脈の切除、及び、切除した大動脈の代わりとなる人工血管の置換。上行大動脈人工血管置換術である。
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 ↑要はこう言う状態。ここまで読んで戴いて解る通り、院長の言う通り、極めて難しい手術である。それを成し遂げる飛彩の実力はまさに天才、だね。

▼余談(ゲンムの変身シーンについて)

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 『第二回東映特撮ファンミーティング』にて大森Pが「黎斗は変身の時、すっごい動きしてるんだけど、ゾンビの画面が出てくるせいで全部隠れちゃうんですよwww」みたいな事を言ってたけど、今回、諸田監督の優しさか、なんとゲンムの変身シーンを後ろからのアングルで魅せてくれた。
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 すっごい事してる!めっちゃくねらせてる!岩永氏の影の頑張りが漸く視聴者に解って貰えた瞬間なのでした。

 

ではこれにて。