レイジング野郎

特撮多めの不定期ブログ たま~に関係無いことも

『仮面ライダーエグゼイド』25話「New game起動!」感想+考察

▼"君も変身出来る!"系ライダー作品

▼例えば『ゴースト』

 「人間の可能性は無限大だ!」幾度その言葉を耳にしたことか。実はこの「人間の無限の可能性」というワードは序盤である2話から既に使われており、これほどか、と言うまでに『ゴースト』はこの教訓を推してきていた(ムゲン魂登場からそれが増えてきたが)そして、タケルは49話にて、それを体現する事となる。
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一同「タケル(君(殿))は、俺(僕(私(拙僧)))にとって、"英雄"だ(です(よ))!!」

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 タケルは自身が憧れた命を燃やし続けた偉人達のような"英雄"になった。と言うより「誰かにとっての"英雄"」かな。タケルにとっての"英雄"が父親である天空寺龍であるように、タケルはアカリや御成、マコトやアランといった仲間達にとっての"英雄"になったのだ。ここで『ゴースト』が視聴者(子供達)に伝えたメッセージは「誰もが"英雄"になれる」という事だ。タケルは所謂その辺の兄ちゃん系の主人公だが、そんなタケルが他人の為に戦い、仲間達に"英雄"と認められるシーンは「どんな人でも"英雄"になれる」と言うメッセージに説得力を乗せる事が出来る。「君も"英雄"に変身出来る!」そしてそんな『ゴースト』の最終回はまさかのまさかで第3の壁を通り越して視聴者(子供達)にメッセージを送るのだ。
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タケル「未来はどうなるか決まっていない。思いが未来を作る。だから、今度は君だ!君の思いを未来へ繋げ!

 タケルは自身が一年間(劇中では半年)でやり遂げた事を「今度は視聴者(子供達)の番だ。君たちにも出来る!」と伝え、幕を閉じる。つまり、「人間の無限の可能性を信じろ!」ってことさね。『ゴースト』は何と言うか視聴者向けの作品だったね。いや、視聴者に向けない番組って何?って感じだけどね。自分の語彙力を許してくれ…!

▼例えば、『響鬼

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 「そっちかよ!?」って思った?w『響鬼』は超(ハイパー)バトルDVD『明日夢変身!君も鬼になれる』で「鍛えれば(8つの鬼の心得を学べば)君も鬼になれる!」と言う話をやったことがある。それを習得した時、明日夢は鬼(響鬼)に変身するのだ。懐かしいね。こんなのもあったなぁ。

▼"お前は変身するな"系ライダー作品

▼例えば、『ウィザード』

 仮面ライダーウィザード/操真晴人は魔法使いである。『ウィザード』2、3話「魔法使いになりたい」「変身!生中継」のゲートはチンプイこと奈良瞬平。彼は小さい頃、魔法使いになる事が夢で、大人になり、それを諦めていた頃、自分を襲ってくるファントムから助けてくれる魔法使いが現れ、魔法使いは本当に存在すると確信し、瞬平は晴人に弟子入りを志願するも晴人はそれを断る。「魔法使いは俺一人で十分だ。」と。
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瞬平「僕、小さい時に、魔法使いになるのが夢だったんです。」

晴人「夢?」

瞬平「はい。大好きだった絵本に出てくる魔法使いが、「チチンプイプイ!」って唱えると、色んな魔法が使えちゃうんです。それ見て僕、ずーっと憧れていたんです。魔法で皆を助けられたら絶対に楽しいって。大きくなって、そんなの無理だって、魔法なんて無いんだって思って諦めてたんですけど、でも今日解ったんです!やっぱり魔法はあったんだ、魔法使いはいたんだって!だから!」

晴人「別に楽しいだけじゃないさ。魔法使いなんて俺一人で十分だ。

瞬平「え?」

晴人「話だけは聞いた。夢は夢のままにしときな。」

 一方その頃、大門凛子は晴人を尋ねるべく面影堂を訪れていた。しかしファントム退治に出掛けており、晴人はいなかった。この頃のコヨミはまだ凛子に心を開いていない為、警戒した様子である。凛子はふと、「魔法使いだったら良かったのに」と口にし、コヨミは怒りを見せる。
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凛子 「今日、彼は?」

コヨミ「いない。」

凛子 「またファントム退治?」

コヨミ「そうだけど。」

凛子 「そっかぁ…。何だか羨ましい。あ~あ、私も魔法使いだったら良かったのに。」

コヨミ「それ、晴人の前で言わないでね。

(中略)

コヨミ「私と晴人はゲートだったの。何者かに誘拐された私たちは半年前、あの日蝕の日、ファントムを生み出す為の儀式に使われたの。沢山の人々が強制的に絶望されられて、ファントムを生み出して死んだの。でも、晴人だけは自分のファントムを体の中に押さえ込むことが出来た。生き残ったのは、私と晴人だけ。私は記憶を失い、晴人は魔法使いになった。人々がファントムの犠牲になるのを二度と見たくないから、晴人は自分の命を懸けて戦う事を決めたの。だから、魔法使いだったら良かったなんて簡単に言わないで!

▼例えば、『龍騎

 秋山蓮/仮面ライダーナイトは自分が変身する所を子供に目撃されてしまい、子供(伊藤拓也)はそれに惚れ込み、「俺も仮面ライダー(ヒーロー)になりたい!」と、蓮に着いていく、と言う展開のお話がある。27話「13号ライダー」だね。
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拓也「ていうか、あんたほんとにライダー?」

信司「まあね。」

拓也「証拠は?」

信司「ん?証拠?ほれ。」

(カードデッキを見せる信司)

信司「ふふん。」

拓也「なんか弱そう。まあいいや、どうやってライダーになれるか、教えてよ。」

信司「子供には無理だよ。」

拓也「やってみなきゃ解んないじゃん!」

信司「なんでライダーになりたいんだよ?」

拓也「モンスターと戦うんだろ?格好いいじゃん!俺、アクションゲーム得意なんだ。」

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 蓮はそんな拓也の目の前(ミラーワールドだけど)で自分が怪人(ミラーモンスター)と戦う姿を見せる。しかし、ナイトはそのミラーモンスターに苦戦してしまう。…と言うのは演技で、実際はわざとやられることで、拓也に「別に仮面ライダーはかっこよくもなんともない」と言う事を見せていたのだ。「ほ~らよく見ろ、ライダーなんてちっともかっこよくなんかないだろ?」と信司に言われ、少し不満げな拓也。すると…
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 そこにゾルダや王蛇といった他の仮面ライダーも参戦し、戦いは次第にエスカレートしていく。そして、それを見ている拓也はその光景に怖れを示すのだ。仮面ライダーとは、戦いとは、決して格好いいだけの存在ではないのだ。
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拓也「なんだよこれ…。」

(逃げようとする拓也を止める信司)

信司「見ろ。これが、これがライダーの戦いなんだ。面白くなんかない。痛くて、苦しくて、それでもゲームみたいにスイッチを切れない。ずっと戦うしかないんだ。

吾郎「俺…、先生が戦ってるところ…、初めて見ました…。うぅ…。」

拓也「俺…。」

信司「デッキ、返してくれるかな。俺も行かなきゃ。」

(デッキを返す拓也)

信司「お前は、絶体誰とも戦ったりすんなよ。」

拓也「ごめんなさい!」

(走り去っていく拓也)

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 「悪いやつと戦い、皆を救う正義のヒーロー」、それに憧れる子供達の心を裏切ったのが『龍騎』27話である。仮面ライダー達は、仮面ライダーに変身する人間達は、自分の命を懸けて、同じ人間と戦っているのだ。そこに拓也は恐怖を示し、吾郎はそんな戦いに自身の慕う先生が参しているのを目の当たりにし、涙を流す。戦うと言う事は恐ろしい事なのだ。

 つまり、これらの作品は子供達の夢である「ヒーローになって戦いたい」と言う夢を否定したのだ。
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 そして『エグゼイド』もそんなライダー作品の一つである。16話「打倒Mのparadox」では天才ゲーマーたる永夢をぶっ倒し、黒歴史を塗り替える為に、ニコは大我のゲーマドライバーとガシャットを使って仮面ライダーに変身しようと目論む。しかし、それに憤怒する大我はニコを叱責する。「このゲームは遊びではない。」と。
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ニコ「ねぇ、どうやったらゲーマドライバーで変身出来るようになるの?」

大我「あ?」

ニコ「私、仮面ライダーになって、永夢をぶっ倒したい!

大我「変身だと?自分が何言ってるのか解ってんのか!」

(ニコからゲーマドライバーを取り返す大我)

大我「そんな馬鹿な事考えてるからゲーム病になったんだろうが!これは只のゲームじゃない。俺たちは遊びでやってるんじゃねぇんだよ!俺もアイツも、一つしかない命張って必至に戦ってんだ。変身したいなんて二度と口にするな。

 『エグゼイド』の大我は『龍騎』と『ウィザード』の境遇を足して2で割ったような感じのキャラクターだね。『龍騎』のような命懸けのゲームをするのは自分一人だけで良い。それで『ウィザード』のファントム生成のように他人が傷つくなら。
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 New game仮面ライダークロニクル』は一般人が仮面ライダーに変身し、現実の世界でモンスターと戦う命懸けのサバイバルゲーム。箱にはCERO A」と対象年齢が書いてあるのが地味に芸コマ(ゲームオーバーになれば死ぬゲームが全年齢対象ってお前…!)仮面ライダークロニクル』にはこれまでに登場した10種類のゲームの其々のボスキャラが参戦している。成程、任天堂のオールスター大戦ゲームが大乱闘スマッシュブラザーズなら仮面ライダークロニクル』は幻夢コーポレーションから発売されたゲームのオールスター大戦ゲームなのか。ライドプレイヤー(一般人)が『マイティアクションX』のボスキャラであるソルティを認知していたシーンは『エグゼイド』世界では幻夢コーポレーションのゲームが世の中に浸透していると言う設定を再提示している。要は『スーパーマリオブラザーズ』に於けるボスキャラのクッパを誰もが知っているのと同じである。

 そして、今回から新しくなったop映像からも確認出来るが、全ての人間が仮面ライダーに変身出来ると言う事は即ち、
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 そう、ニコも仮面ライダーに変身出来る(出来てしまう)と言う事だ。これは中々ショッキングな展開だね。視聴者にとっても、大我にとっても。常に大我は仮面ライダーは俺一人で十分だ。」と言ってきたのに、始動したゲームは全人類が仮面ライダーに変身してしまうゲームと言うのだからかなり辛い。大我はこのゲームに、そしてニコが変身する展開にどう向き合っていくか、ここが『エグゼイド』のキーになってくる気がする。

▼人間>バグスター or バグスター>人間

パラド「どうだ永夢、こんなエキサイティングなゲーム、他に無いだろ?」

永夢 「酷い…。なんでこんな事を…。」

パラド「許せないんだよ。この世界で一番偉いと思い込んでいる人間共がな。

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 成程、何処と無く『アマゾンズ』的サムシングを感じるね。現状、この世界で一番上のカーストに立っている生物は人間で、それらに反逆を起こそう、と言うのがパラドの思惑。バグスターとはゲームキャラで、パラド達は敵キャラとしてゲーム内の主人公に倒される為に作られた存在。故にそれが許せないパラドは自分達が攻略される側だったのに対し、今度はバグスターが人間を攻略する(し返す)べく、黎斗から『仮面ライダークロニクル』を奪った、と。『アマゾンズ』のアマゾン達は人間によって作られたが、その者共が人間を襲えば自分達を作った人間に駆除される、と言う境遇だけど、『エグゼイド』のバグスター達もそれと似た何かを感じる。要するにあれか。「なんでアマゾンは人間喰っちゃいけないの?」と言うようにバグスターとしては「なんで人間殺しちゃいけないの?」みたいな感じなのかな。何故なら、それまでの人間達は常に自分達よりもカーストが低い生き物達を殺してきたから。パラド的には子供が蟻を踏み潰して喜んでるのと同じ様な感覚なんだろうね。このシーンは地味に人間の残虐さも暗に見せていたのか。

 さて、第3章「仮面ライダークロニクル編」に突入し、益々ダークな雰囲気を魅せてきた『エグゼイド』。ゲームを使って人類を滅亡させるのがバグスター側の計画なら、例えばプレイヤー消滅の目撃情報を流通したり、最近のエグゼイドならリプログラミングと言うチートが使えるので割と色んな形で対処出来そう感じなんだけど、このゲームをどうやって食い止めるか、楽しみにするとしますか。

 

ではこれにて。