レイジング野郎

特撮多めの不定期ブログ たま~に関係無いことも

まさかあれを踏襲するとは!映画『ハルチカ』感想

 観に行きました。ネタバレ満載なので御注意を(←ていうかこれ全記事に書いておけよ…!)今回限りは特撮全く関係無いです。それではどうぞ。

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 ちょっぴり頼りないけど気の優しい美男子のハルタ佐藤勝利)と、真っ直ぐな性格で負けん気の強いチカ(橋本環奈)。小学校3年生の時にハルタが引っ越してしまうまで幼なじみだった二人は、高校入学式の日に運命的な再会を果たす。入学後、ずっと憧れていた吹奏楽部に入ろうと心に決めていたチカ。しかし、吹奏楽部はなんと廃部寸前の危機だった!大好きなフルートを諦めきれず、チカはホルン経験者のハルタを巻き込んで部員集めに走り回る。音楽一家に育った芦澤(恒松祐里)、部員をまとめようと奔走する部長の片桐(前田航基)とその彼女・わかば(二階堂姫瑠)、野球部で肩を痛めた宮本(平岡拓真)、チューバソロコンサート入賞の実力を持つ妙子(上白石萌歌)、登校拒否中のカイユ(清水尋也)などワケありのメンバーたち。それでもなんとか部の復活に漕ぎ着けたチカたちは、かつては将来を嘱望される指揮者だった顧問の草壁(小出恵介)による指導のもと、コンクール出場という一つの目標に向かってひたむきに突き進む。しかしフルート初心者のチカはなかなかみんなに追いつけず、ハルタもまたホルンを続けることに悩んでいた。それぞれにすれ違う思い。部員たちの不満が爆発しそうになる中、チカの後ろに隠れがちだったハルタに変化の時が訪れる。さらに二人の関係も動き始め……?(映画『ハルチカ』ストーリーより引用)

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 前から気になっていた映画『ハルチカ』を鑑賞した。観終わった後の感想としては「ブッ飛んだ事してんなぁ…!」と言った感じ。受け付けない人は受け付けなそう。それともこの手の学園ものの映画ならありがちな演出なのかしら?自分はこの『ハルチカ』は「アニメを観ていたから」と言う理由で観に行ったので所謂「胸キュン♥」な映画は詳しくないしそもそも観ないのです。

 でもこのブッ飛んだ展開も観ていくと段々と心地好いものとなっていき、自分も知らず知らずの内に心が昂っていた。これが音楽の力なのか。何にせよ、自分の中ではこの作品は「良作」と感じました。

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  前情報からある程度解っていた通り、アニメ(原作)と実写版はかなりガッツリと設定が変わっていた。ハルタはノンケだしカイユは元部長だし芹澤は眼鏡かけてないし片桐はデブだし(←見た目は設定関係無ェだろうがァ!)何よりこの作品は「吹奏楽×青春×ミステリー」が特徴だったのだが、この三つからミステリーを取り除いた事で、アニメでも散々突っ込まれていた「申し訳程度の吹奏楽要素」と言う部分を解消出来たのは大きい。ハルタの明晰な頭脳と言う設定は捨てなかったものの、アニメ以上に吹奏楽をしていた。

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 ハルタのホモ設定が消えたのも大分影響を与えていたね。「お、ホモに目覚めるのか…?」と思わせるシーンはあったが別にそんなことはなかった。大半の原作ファンが「ここ」について沢山苦言を漏らしていたけど、自分は寧ろ「ここ」に感銘を受けたから観賞を決意したと言っても過言ではなくて。原作のハルタとチカは恋敵だった訳で、自分はこの設定が所々のシーンに若干の支障を来していた様な気がしていた部分もあり(でもコイツホモじゃん?みたいに思ってしまう場面があったり)今回はその設定が破棄されたことで、ハルタとチカが助け合うと言う場面を一切の邪な心を表さずに観ることが出来たというのは非常に良いと感じた。

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 チカのキャラは最初、「これはやりすぎではないか…?」と少し引いてしまった。いや、今でもちょっと「どうなの!?」って感じではあるんだけどね。暴力キャラと言う設定は原作からあるんだけどその描写がクド過ぎればお客さんは嫌いになっていきますよ。実際、客席から「アイツ何なの…?」って声が漏れてたぐらいだしな…!意図的なのかそうでないのかは知らないけど、ああいう話の流れにするんだったら「チカちゃんは僕のヒーローだった」なんて展開に繋げるにしてももう少し控えても良かった気もする。「いじめっこよりも殴る事でハルタを救った」という理論はちょっとよくわかんないです。でもチカに関しては自分が常々「見たい!」と思っていたことをこの実写版でやってくれたのでそれだけで大分満足してる。本当にありがとうございました。詳しくは後述。

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 主役の二人以外のキャラクターは原作から芹澤、カイユ、片桐、草壁先生を残し、他の全ては新キャラという事を知ったときは驚愕した。芹澤とカイユに関してはまあまあ原作に忠実だったかな。カイユを元部長にした事でアニメでそれといった活躍が無かった片桐部長にドラマを作ったのはグッド。というよりアニメ以上に主役二人以外のキャラクターにスポットが当たっていて良かったと思います。因みに新キャラで自分が好きなのは宮本です(一番上の画像のちょっとグレてそうな男) 

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 映画『ハルチカ』の物語は二つに分けると「廃部寸前!部員集め編」と「目指せ!コンクール編」って感じかな。部員集めに積極的なチカだがその肝心のチカはフルートド初心者で部員が集まった後も皆の練習に着いていけないでいた。チカはアニメ(原作)と実写で状況は少し違えど、素晴らしい吹奏楽の演奏を見て(聞いて)自分もこうなりたいと思った事が切っ掛け吹奏楽部への入部を決意するのだけれど、これって言ってしまえばとても軽い気持ちで吹奏楽に臨んだという事なのよね。原作でも実写でもチカはフルートが全然吹けなかったんだけど意外にもそれによる挫折が原作では描かれなかった。アニメ(原作)でも普通に練習して普通にコンクールに出たからね(まず演奏の練習シーンが少ないんだけど…!)

 幾ら練習しても自分(フルート)のソロパートが中々吹けず、それが原因で皆の練習も止まってしまう。それに耐えられないチカは一人で涙を流す。そこに現れるのがハルタだ。

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 この作品は原作の設定を大きく変えた故に基本的にアニメ(原作)をリスペクトしたシーンが無い。自分がこの映画を観て思ったのは「これは原作ファンは怒るな」と言う事。だって違いすぎるんだもん。「こんなの『ハルチカ』じゃない!」って人、相当いると思うよ。しかし、この実写版『ハルチカ』はあるものをガッツリとリスペクトしている。

 上の画像はハルタがチカを慰めるシーン。「チカちゃんは僕のヒーローだった。だから今度は、僕がチカちゃんを救う番だ。」実際はこんな台詞無いけどね。でも要するにハルタがチカにしてやりたかった事はそう言う事だ。ここで見てもらいたい文がある。

 以下、アニメ『ハルチカハルタとチカは青春する~』opテーマ「虹を編めたら」の歌詞より一部抜粋。

「闇の中見つけてよ」

「ほら君ずっとずっとそこにいた」

「どこにもね 混じれずに」

「僕ならきっと君救えるよ」

「その手ほら差し伸べて」

「今からずっと遠い世界へと

飛び立って行こう おいでよ」

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 暗い暗い夜、チカを救ったのは今まで彼女に助けられてばかりだったハルタ。「今度は僕が救う番」と言わんばかりにハルタはチカに手を差し伸べ、コンクールという遠い世界へと飛び立ってゆく。

 もう一つ、今作品のラストシーン。チカは練習の中でフルートのソロパートをようやっと吹けるようにはなったものの、舞台の上での演奏というプレッシャーに耐えられなかったか、本番でまさかのミスをしてしまう。そう言えばコンクールの結果、解らずに終わったね。察しろって事か。
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 ある日の授業中、聞いたことのあるホルンの音が聞こえてきた。吹いていたのはハルタだった。ハルタはコンクールにて演奏した「春の光、夏の風」をもう一度演奏し、それに吊られて部員達も楽器を手に取り、演奏を始める。あ、因みに最初に言ったブッ飛んだ展開ってこれね。その演奏を聞き、チカもフルートを取り、外へと駆け出していく。ハルタはコンクールで失敗をしてしまったチカにもう一度成功させるチャンスを与えたのだ。しかも学業に励むスタンスの彼が授業の真っ直中に。皆に見せ付けるようなやり方で。

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 チカはそのソロパートを1度で成功することは出来なかったものの、ハルタは演奏を何度も再開し、チカが成功するまでやめなかった。そして遂に、チカのソロパートが成功したとき、部員のみならず、生徒や先生、学校中の全ての人間達が声を上げて喜んだ。演奏は学校中の人々の声を乗せながら流れていく。これはこの学校にしかない、った一つの音楽。

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 流れに乗って、唇を交わし合う者もいれば、嬉しさのあまりに踊り出す者もいる。アクロバットし出す男子には流石に驚いたけど。今まで「廃部!廃部!」を言ってきた校長ですら変なダンスをかます程。一人一人の"色"が重なり、ハーモニーが生まれた。君(チカ)と僕(ハルタ)の不思議な歌が遠く響き、橋をかけたのだ。

いくつもの色たち(重なり)溶け合い(一つに)

ハーモニー 突然に生まれる

君と(僕の)不思議な歌が(それが)

遠く響き橋をかけるのさ

 

辿り着いたこの場所から 僕らの虹を編めたなら

それはきっと誰でもない たくさんの光放つよ

名前のない色が作る果てないグラデーション

それは僕らのことさ

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 なんと映画『ハルチカ』は原作小説の一文でも漫画の一コマでもアニメのワンシーンでもなく、"アニメのopテーマ"を踏襲して魅せたのだ。

 この歌ね、とってもいい歌なんだけどね。正直「アニメと歌詞があんまり合ってないなぁ~」感が否めなかったのよね。実写は吹奏楽と青春に要素を絞りこんだ事でこの歌がとてもハマるのだ。製作陣が本当にこの歌を意識して今作品を作ったのかどうかは知らない。偶然かもしれないしね。でも…映画観た後にこれ聴くと…涙が出、出ますよ…!

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 と言うわけで、『ハルチカ』感想でした。これ、原作ファン・アニメ視聴者はどういう評価をしてるんだろうね。多分「まずもってこんなん観ねぇよ!」か「こんなんのどこがハルチカだ!馬鹿にすんのも大概にしろ!」なんて声が多いと思うんだけどね(笑)でも自分はこの作品をアニメ視聴者として楽しむ事が出来ました。勿論、突っ込みどころも結構ある。きっとこの映画は原作を知ってる知らない関係無く、万人受けする作品ではないと思う。けど、これは完全に自分の勝手な注文だったんだけどその注文に応えてくれたと言う事で自分の中では映画『ハルチカ』は良作にカウントしたいのです。 とても良い映画でした。

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 最後に前述したアニメ『ハルチカ』opの動画のリンクを歌詞と一緒に貼っておくので映画『ハルチカ』の鑑賞が済んでいる方は是非1度聴いてみてください。映画ととても合っているので。

https://youtu.be/9PT_m92yFf8

虹を編めたら

fhana

アニメ『ハルチカ~ハルタとチカは青春する~』OP主題歌

作曲:佐藤純一

作詞︰林英樹

 

雨の匂いにまぎれ息を切らした (その視線の先)

彼方の虹を掴みたくて走った (いつか届くのか)

 

いくつもの色たち(重なり)溶け合い(一つに)

ハーモニー 突然に生まれる

君と(僕の)不思議な歌が(それが)

遠く響き橋をかけるのさ

 

辿り着いたこの場所から 僕らの虹を編めたなら

それはきっと誰でもない たくさんの光放つよ

名前のない色が作る果てないグラデーション

それは僕らのことさ

今痛みを怖れず扉を開けよう

若き日に捧ぐ

 

青や緑に光る行き先を見た (その眩しさに)

不安はずっとこのポケットに隠した (丘を越えるまで)

 

あきらめない心と(心が)伝わり(瞬間)

繋がる それはアンサンブル

君と(僕の)不思議な歌が(それが)

共鳴する きっと虹みたく

 

空の向こうあのスコアで 高らかに鳴らすよメロディ

それはきっと誰でもない たくさんの音に満ちてく

名前のない色だってさ ありのままでいいよ

それは僕らを示す模様を 複雑にするだろう

 

「闇の中見つけてよ」

「ほら君ずっとずっとそこにいた」

「どこにもね 混じれずに」

「僕ならきっと君救えるよ」

「その手ほら差し伸べて」

「今からずっと遠い世界へと

飛び立って行こう おいでよ」

 

いくつも(色たち)重なり(溶け合い)

ハーモニー 突然に生まれる

君と(僕の)不思議な歌が(それが)

遠く響き橋をかけるのさ それを信じれば

 

辿り着いたこの場所から 僕らの虹を編めたなら

たとえそれは幻でも 瞬間心重ねた

名前のない色が作る果てないグラデーション

それは僕らのことさ

今痛みを怖れず扉を開けよう

思い出紡ぎ 振り返るなら

若き日に捧ぐ

 

ではこれにて。