レイジング野郎

特撮多めの不定期ブログ たま~に関係無いことも

『仮面ライダービルド』3話「正義のボーダーライン」感想+考察

▼一番難しいのは3・4話

田崎 (中略)そこで僕はもう一つ、長石多可男監督にすごく感謝していて。本当は1~4話ってワンセットなんだけど、僕は1・2話までしか出来ないじゃないですか。これは前々から何回も言ってることだけど、1年でシリーズ50本あるうちのどこが難しいかって、3・4話が一番難しいんです。なんでかと言うと、1・2話が完成しないうちに撮り始めなきゃいけないから。つまり1話でどんなキャラクターになってるかを見ないで、言わば目隠しで作らなきゃいけない。でも1・2話とまるっきり違ってしまうと駄目だし。かと言って1・2話のままいけるわけでもなくて、すごく難しい。だけど、長石さんはやっぱりそこがすごく上手かった。そこはさすがというか、3・4話はすごい名作だと思います。

▲『仮面ライダー電王公式読本』より、田崎竜太のインタビュー。

田崎 『鎧武/ガイム』のときで言うと、ヘルヘイムの森の見え方などはこちらで決めていったところですね。なんにせよ、そういった世界観を1から形にしていく作業はすごく楽しいですよ。僕からすれば、むしろ3・4話のほうが大変だなって思うんですけど。

──それ、いつもおっしゃられてますよね。

田崎 僕のウィキペディアの項にも書かれていますからね(笑)。3・4話の何が大変かって、1・2話の完成した映像を見ることができない状態で、その続きを作らなければならないんです。それゆえに非常に職人的なスキルを要求されるわけで、長石(多可男)さんや坂本太郎さんといった「3・4話の名手」として名の挙がる監督はみなさん経験豊富で力のある方ばかりですよね。僕もついに『仮面ライダーアマゾンズ』で3・4話を担当することになったんですけど、どうもどこかで割り切っちゃうというか、「(1・2話と)違ったら違ったでいいや」みたいに思っちゃって(笑)。

▲『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!』より、田崎竜太のインタビュー。

 と言う訳で、『平成ライダー新世紀!』で取材を担当した大黒秀一に「それ、いつもおっしゃられてますよね。」と言われるくらいには彼が何度も鬼門と評するのが、セカンドパイロット版(3、4話)。曰く、「パイロット版(1・2話)が完成しないうちに撮り始めなければならない為、構成が非常に難しい」のだと言う。平成一期ではキャリアのある監督陣がそれに挑んできた。

クウガ』:渡辺勝也(EPISODE 3「東京」、EPISODE 4「疾走」)

『アギト』:長石多可男(3話「俺の変身!」、4話「パズル解読」)

龍騎』:石田秀範(3話「学校の怪談」、4話「学校の怪談2」)

『555』:長石多可男(3話「王の眠り」、4話「おれの名前」)

『剣』:鈴村展弘(3話「彼らの秘密…」、4話「永遠の命の謎」)

響鬼』:諸田敏(三之巻「落ちる声」、四之巻「駆ける勢地郎」)

『カブト』:田村直己(3話「俺が正義‼」、4話「愛を説く‼」)

『電王』:長石多可男(3話「アウトロー・モモタロー」、4話「鬼は外!僕はマジ」)

『キバ』:石田秀範(3話「英雄・パーフェクトハンター」、4話「夢想・ワイルドブルー」)

『ディケイド』:金田治(4話「第二楽章♪キバの王子」、5話「かみつき王の資格」)※

※『ディケイド』は1話~3話(クウガの世界編)を田崎竜太が担当。

 長石多可男ばっかりやね(笑)(もう一人の「3・4話の名手」こと坂本太郎がいないだと…!)しかし、平成二期ではそんなセカンドパイロット版を比較的若い(又は「平成ライダー」の監督歴が浅い)監督が手掛ける事も多い。最も、長石多可男は2013年にこの世を去り、坂本太郎は『ゴーカイジャー』を最後に監督業を引退したのだが。

『W』:諸田敏(3話「Mに手を出すな/天国への行き方」、4話「Mに手を出すな/ジョーカーで勝負」)

OOO』:柴崎貴行(3話「ネコと進化と食いしん坊」、4話「疑いと写メと救いの手」)

『フォーゼ』:坂本浩一(3話「女・王・選・挙」、4話「変・幻・暗・躍」)※1

『ウィザード』:諸田敏(4話「人形とピアニスト」、5話「決戦のコンクール」)※2

『鎧武』:柴崎貴行(3話「衝撃!ライバルがバナナ変身!?」、4話「誕生!3人目のぶどうライダー!」)

『ドライブ』:柴崎貴行(3話「だれが彼女の笑顔を奪ったのか」、4話「誇り高き追跡者はなにを思うのか」)

『ゴースト』:山口恭平(3話「必中!正義の弓矢!」、4話「驚愕!空の城!」)

『エグゼイド』:坂本浩一(3話「BANしたあいつがやってくる!」、4話「オペレーションの名はDash!」)※3

※1…『フォーゼ』は坂本浩一が1話~4話までを担当。

※2…『ウィザード』は1話~3話までを中澤祥次郎が担当。

※3…『エグゼイド』の坂本浩一担当回は3・4話のみ。

 柴崎貴行ばっかりやね(笑)(因みに、柴崎監督の初ライダー作品は『剣』の超バトルビデオ。何気に『剣』から『ディケイド』まで、6年連続でてれびくん超バトルビデオ(DVD)を撮っているのだ。)(テレビ本編の初担当は『カブト』の43・44話。)
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 そして『ビルド』3話。担当するのは何と、上堀内佳寿也!『ゴースト』の山口恭平のセカンドパイロット版担当も驚いたが、彼の初ライダー作品は『W』超バトルDVD(何気に『W』から『鎧武』まで、5年連続で超バトルDVDを撮っているのだ。)である。カミホリさんの初担当は『ゴースト』の先行PVなので、平成ライダー監督史上最速でセカンドパイロット版を担当した事になる。

 

 ──今回は、田崎さん曰く「一番難しい」第3・4話が上堀内(佳寿也)監督なんですね。『エグゼイド』でローテーション入りされたばかりですから、この布陣は抜擢といえば抜擢な気もするんですが。

大森 そこはもう「できるでしょ!」と。『エグゼイド』をでやってみて、芝居というか感情線を大事に撮る印象が強かったので、そこは『ビルド』向きな気がしたんです。説明が多くなりがちな3・4話ですけど、そこで感情が跳ねないとどうしようもないので。

▲『東映ヒーローMAX 2017 AUTUMN』より、大森敬仁のインタビュー。

 そんなカミホリさんは今回の『ビルド』3話をどう撮ったのか!?
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 なんてーか、派手さが増したねw(まあ田崎監督が地味なんだけど…!)『エグゼイド』40話感想で、カミホリさんは「演出がオーバー」「ハッタリを効かせてる」と書いたけど、『ビルド』でもそれは健在だったね。
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↑このシーンとか「カミホリさんっぽいなぁ~!」とか思ってしまったw

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↑何故か思い出したシーン。実は結構好き。

 まだ序盤と言う事で、沢山のフォームが出てきてない故に、その辺りの見せ方はまだ限られてるけど、今回のゴリラ掃除機フォームのように、「ビルドアップ」と言うアイデアはこれからもどんどん使っていってほしいね(どうやってスーツ着替えてるんだ…?)『エグゼイド』はフォームチェンジが「レベルアップ」だったので、セカンドパイロット版は折角坂本(浩一の方ね)監督が撮ってたのにフォームチェンジラッシュが観れなくて若干残念だったのですよ。自分。まあ要するに、「多彩なフォームチェンジは大好き!」と言う事です(笑)次回も頑張れ。カミホリさん。

 ▼それは必要なのか

 今回も本編内で気になったところが。それは…

万丈「なあ、前から気になってたんだけど、それなんだよ?」

惣一「そいつはな、ベストマッチだ。もう一度言おう。ベストマッチだ。」

万丈「いや、何回言われても分かんねぇし。」

惣一「ボトルには相性があるんだ。例えば、ラビットとタンク。この二本を入れると、相性の良い組み合わせが見つかれば、こうして光る。全組ベストマッチになったらとんでもない事が起こるらしい。けど、これが中々揃わない。」

戦兎「だから、こいつ(ビルドドライバー)が必要なんだよ。これは元々ビルドの変身機能しか無かったのを、俺がベストマッチを探せる検査機にもなるよう改良したんだ。どうよ、俺の発明品。」

▲『ビルド』3話「正義のボーダーライン」より。

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 ならもうそのパネルは必要無いのでは…?

 何で態々、そのパネルを使って実験してたんだ…?ビルドドライバーがあるならそれを使えば良いのに。て言うか「(パネルでベストマッチを探せるが)これが中々揃わない。」→「だから、(ベストマッチ検査機能が付いてる)こいつが必要なんだよ。」って明らかに流れ可笑しくないですかぁ~!?もうそのパネルは御払い箱で良いですやん…!何?それだとパネルが可哀想だから?いやいやいやいや…!…と、ここまで書いてきたが、皆さんお気づきだろうか?ビルドドライバーがある今、パネルは必要無い。これはつまり、

 その設定、必要無いのでは…?

となってしまうのである。ベストマッチの説明をしたかったのなら「このビルドドライバーがあれば、ベストマッチを見つけ出す事が出来るのさ!」で済むんよな…!今後、話に絡んでくるような設定にも見えないし…何だったんだろう?これ。

武藤将吾の「正義」


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 成程、武藤将吾の思う「正義」とは「人を助ける事に見返りを求めない」と言うものなんだな。これについて誰がどう思うのかは知らない。「これぞヒーローの鑑!泣けるわぁ…!」と感動するか、「正義って言葉を軽く使うんじゃねぇ!」と憤怒する者もいるかもしれない。取り敢えず自分が思う事は「ブレずに突っ走って欲しい」と言う事なので、作中ではある程度完成されてる人間(に見える)な戦兎なのでそこは大丈夫そうな気もするけど。

 

ではこれにて。

『仮面ライダービルド』2話「無実のランナウェイ」感想+考察

※以下は、アガサ・クリスティの推理小節『アクロイド殺し』の深刻なネタバレが書かれてるので、「いやだあああああ!!!知りたくない!!!!」と言う人はこのページを閉じてください。…まあ大分有名だけど…!

▼俺は誰も殺してねぇ?

 ミステリー小節の叙述トリックの1つに「実は語り手(又は主人公)が犯人でしたぁ!」と言うのがある。有名なのがアガサ・クリスティ(『オリエント急行殺人事件』『ABC殺人事件』等)の推理小節アクロイド殺し(1926)』。語り手は医師、ジェームズ・シェパードだ。

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↑これはシェパードン。アクロイド殺し』のあらすじは「アクロイドが殺された!」→「犯人を探せ!」と、至ってシンプル。名探偵、エルキュール・ポワロは、語り手のシェパード医師と捜査行動を共にする。様々な容疑者が登場するのだが、捜査の末、ポワロは遂に真犯人に辿り着く。ポワロが「アクロイドと言う男を殺したのは貴様か!!」と指を指したその人物はなんと、語り手であるシェパード医師本人だったのだ。「語り手が真犯人」と言うタブーな種明かしに対し、読者達はフェア派とアンフェア派の二つに分かれ、争ったと言う。
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 なんでこんな話をしたかと言うと、パンドラボックスを起動させたのは主人公たる戦兎ではないか?」と言う予想が多かったから。『アクロイド殺し』のシェパード医師は記憶喪失では無かったが、「ほんとは主人公が犯人だけど、その主人公の記憶はありませんでしたぁ!」なんて展開も今となってはありがちよね。『デスノート』で主人公がノートの所有権を棄てる事でノートを関する記憶を失い、再度ノートに触れるとその記憶が甦って「計画通り(ニタァ)」てなるような感じですよ(?)戦兎はスマッシュの人体実験の「モルモットだァッ!」だった事で過去の記憶が無い(「二十何年間の記憶」って事は戦兎は生い立ちからの記憶が無い?今までスマッシュにされてきた人間達もそうなのかな?もしかして万丈が「全てを話せ」と言われて生い立ちから話始める事が出来たのは何かの伏線?)まぁ、上記の通り、「実は主人公が犯人」と言うのは割とベタな流れだが、果たしてどうなるか?
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 「人体実験を施されると当人の記憶は失われる」と言う設定から「実は万丈も記憶が無いだけでほんとは殺人を犯してる?」なんて予想もしたのだが、二話でその説は没に。本当に仕組まれた事案だったのね。二話にして早くも万丈の恋人、香澄の存在が判明したと思ったら即座に死亡とは…!「セカイデイチバンノカクトウカニナッテ…セカイデイチバンノカクトウカニナッテ…」(デジャビュ)次回からは一話にも登場したスキンヘッドの監守、ナベシマと言う男がキーパーソンになりそうね。

▼二話の感想

 「全部のテンポが速い!」と言うのが二話の第一印象且つ悪印象。や、幾らなんでも要所要所を端折り過ぎじゃあないか…?井上ワープじゃあないんだからw だって…
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戦兎「ゴリラモンドでガーディアン撃破!やったぜ!」
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戦兎「で、さっき言ってた女って何なん?」

だもんなぁ…!展開が速いのは良いが、二話は幾らなんでも詰め込み過ぎでは無かっただろうか…?『ゴースト』や『エグゼイド』でも突っ込んだ「描写不足」を、果たして『ビルド』は克服出来るのか…!それと、『ビルド』が始まる前からずっと言ってるけど、良い加減、東映は各作品の本編の円盤に「未放映カット集」もしくは「ディレクターズカット版」を収録してください。

 あと、描写不足と言えば、今回、結構不可解なシーンが多かった気がする。例えば、
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このシーン。美空の能力はスマッシュから採取した成分が入ったボトルを浄化してビルドのパワーアップアイテムに変化させる、と言ったものの筈だけど、万丈に煽られてレンジ(?)に入れたボトルは(恐らく)只のブランクボトルだったんよな(「エンプティボトル」って言うのね)。只、向になって適当に取り出したボトルでやったとか?んん~…?
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 あと、戦兎がナイトローグに立ち向かう時、なんでベストマッチじゃないハリネズミタンクフォームで挑んだんだろう?確実に倒したいんだったら先ほど判明したパワーバカのゴリラモンドを使っても良かった訳で。ナイトローグにも「闇雲に選んだボトルで私に勝てると思うな。」なんて言われてたし。情報を聞き出したかったから敢えてベストマッチじゃない組み合わせで戦ったとか?んん~…?

 ん~…なんか二話にして一気に不安要素が増した気がする…!ノリで押し切るのも良いけど、矛盾やハテナが少ないのは間違いなく作品の長所に成り得るので、なるだけそこはしっかりして戴きたいところであります。

▼製作発表から何となくそんな気はしてたけど、
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 この人、全く話に絡んできませんねぇ…!

 (「東都政府首相補佐官兼東都先端物質学研究所所長」って、漢字多スギィ!!)

 

ではこれにて。

『仮面ライダービルド』1話「ベストマッチな奴ら」感想+考察

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▼まんま

――仮面ライダーファンの新シリーズに対する受け入れ方も、秋前の発表でちょっと戸惑って、放送がスタートすると受け入れられる――という流れかもしれません。

白倉:僕としては、なぜ放送が始まると簡単に受け入れられているのかがわからないです(笑)。わかりやすいっていうのは、あんまりよろしくないと思ってるんですよ。仮面ライダードライブ』『仮面ライダーゴースト』と続きましたけど、まんますぎるじゃないですか。だから2016年秋からの新シリーズは、名前からは絶対にビジュアルが想像できないようになっています。この先のシリーズでも、「なにそれ!?」というライダーが出てきて、だんだんそれがかっこよく見えるような瞬間が続けばいいですね。

▲animate Times『『仮面ライダーアマゾンズ』シーズン2はどうなる? 東映白倉伸一郎プロデューサーに聞く、これまでとこれからの「仮面ライダー」』より、白倉伸一郎のインタビュー。

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 『クウガ』、『アギト』、『龍騎』、『555』、『剣』、『響鬼』、『電王』、『キバ』、『ディケイド』、うん、確かに平成一期のライダー達は名前を見ただけでは今一ライダーのデザインやストーリーは想像しづらい。『カブト』は直球過ぎるけどw 対して、平成二期ライダーズは結構名前が「まんますぎる」事が多い。『OOO』と『フォーゼ』くらいかな?あまり想像が付かなそうなの。『OOO』はメダル(O)が三枚で「オーズ」、『フォーゼ』は「40(周年)」から「4(「フォー」)」+「0(「ゼ」ロ)」なので割かし簡単な由来ではあるんだけどね。まあそんなこと言ったら白倉作品たる『電王』や『ディケイド』も安直なんだけど…(笑)

『W』→2つ?今回のシリーズは二人で変身するライダー?

『ウィザード』→魔法使い?今回のシリーズは魔法使いライダー?

『鎧武』→鎧武者?今回のシリーズは鎧武者ライダー?

『ドライブ』→ドライブ?今回のシリーズは車に乗るライダー?

『ゴースト』→幽霊?今回のシリーズは幽霊ライダー?

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 そう考えると、『エグゼイド』は割りと捻ったネーミング(「究極の救済」を意味するEX(エクストリーム)-EID(エイド)の略)であるので、あまり内容を予想出来ない。「医者」と「ゲーマー」の組合せなら尚更だ。しかし、それの後続である『ビルド』はと言うと…

黎斗神「誰だお前は!」

ビルド「仮面ライダービルド「作る」、「形成する」って意味のビルドだ。以後、お見知り置きを。シーユー。」

▲『エグゼイド』44話「最後のsmile」より

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 まんまですね…!

 なんでこんな話をしたのかと言うと、『ビルド』はあまりこれまでの平成ライダー(特に二期)よりも「なにそれ!?」と感じれないから。要するに「普通」感がとても大きい。しかし、それ故にこれまで「冒険」を続けてきた平成ライダーに於いては「久しぶり」な事も多い。

▼1.パイロット監督は田崎竜太
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 実は『ドライブ』以来、2年ぶりである(『ゴースト』は諸田敏、『エグゼイド』では中澤祥次郎がパイロット監督)。まあ田崎監督は最近は『アマゾンズ』を撮ってたんだけど。なんと言うか、田崎監督、「無難」な人選よね。パイロット監督としてのキャリアも十分ある安心感のある監督よね。

田崎 とにかく、『フォーゼ』以降も各作品でなんとか1エピソードは撮らせていただけるようにお願いしてはいるんです。『カブト』のときもそうでしたが、他の人が作った庭で遊ばせてもらうような感覚も、それはそれで撮っていて楽しいですから。まだ未定ではありますが、新作の『エグゼイド』でも機械があればぜひ撮らせていただきたく思っております。

▲『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀!』より、田崎竜太のインタビュー。

 結局、田崎監督は『エグゼイド』を撮ることは出来なかった。大森Pの以降なのか、氏が『アマゾンズ』や『科捜研の女』で忙しかったからなのかどうかは知らないが、仮に大森Pが敢えて田崎監督をメンバーに加えなかったのだとしたら、それもまた一種の彼の「挑戦」だったのかも知れないしそうじゃないのかも知れない(どっちだ)

▼主題歌は女性ボーカル

 実は『フォーゼ』の土屋アンナ(『switch on!』)以来、6年ぶりである。『ビルド』のop、『Be The One』を歌うのは「PANDORA feat. Beverly」と言うグループ。「珍しく有名所のアーティストが担当してないな…」と思ったら「PANDORA」と言うユニットはaccess浅倉大介TM network小室哲哉(TK)のコンビなのか。まさか二年連続「仮面ライダー」でaccessが関わるとは…!ボーカルの「Beverly(ビバリー)」も最近頑張っている歌手なんだとか。取り敢えず、『Mステ』に出演して歌ってくれれば何も文句は言いません(笑)

▼○○"フォーム"
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 実は『ディケイド』(コンプリート"フォーム")以来、9年ぶりである。『OOO』以降、「フォーム」と言う言葉が使われなくなっていたのだが(コンボ、ステイツ、スタイル、アームズ、タイプ、魂、ゲーマーetc…)ここに来てまさかの復活。只、フォーム名長いね…!(ラビットタンクフォーム、ハリネズミタンクフォーム、ゴリラモンドフォームetc…)

▼ファーストインプレッション
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 ビルドは「ダサい」と言う評価をあまり耳にしない…!「エグゼイドが異色過ぎた」と言う人もいるが、それにしてもビルドは「格好良い」と大衆からの評判が高いね。普段ライダー作品を観ない一般人でさえ評価してるくらいだからな…!(レイジング野郎の体験談)

▼最初から仮面ライダーなのさ

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 実は『ウィザード』以来、5年ぶりである。成程、今回は1話で変身能力を手に入れるのではなく、最初から変身能力を手にしている状態からのスタートなのか。皆さんはどっちが好みですか?

 と、ここまで書いてきたが、要は何を言いたいかと言うと、『ビルド』にはこれと言った「異端さ」が無い、と言う事。上記の事柄は「久しぶり」ではあっても「初めて」ではない。決して悪い事ではないが、心配なのは大森Pの『ビルド』に対するモチベーションである。

▼「ゲーム」が無くなった今
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 大森敬仁はずっと「ゲーム」をモチーフにしたライダー作品を夢見ていたらしく、しかしそれが『エグゼイド』で果たされてしまった今、彼に「やりたいこと」と言うのは無くなってしまったと言う事になる。氏の「引き出しの少なさ」は自身のTwitterで呟いていたが、これは憶測だが、『エグゼイド』を世に出し、その後『ビルド』と言う企画を担当する事が決まった彼には「視聴者に観て貰う(=売り上げを上げる)」と言う考え(目標)しか残っていないように思われる。

 大森P(というより大森P作品)は、何かと「人を惹き付ける(又は盛り上げる)」のが上手い。『ビルド』でも、「フォーム」と言うワードや田崎竜太パイロット担当は、古参のファンを刺激し、そんな中に新しくライダーに関わる武藤将吾と言う脚本家の参戦は、「新しさ」を求めるファンも惹き付け(因みに、『エグゼイド』での「通り魔事件」は、高橋悠也曰く、「僕あれ書いてないですから!自分以外のライダーの印象下げたくてやったんじゃないですから!」との事)更には特撮ファンなら馴染みの深い赤楚衛二(万丈龍我役)や滝裕可里(滝川紗羽役)の出演はファンとしては見逃せない部分の一つともなっている(チヒルルォ!!ニゲルルォ!!)ビルドのデザインも誰もが受け入れられる「格好良い」やつなので、これは普段観ない一般人のお客さんも狙えそう。只、これ等の事で視聴者を増やす事は出来ても、そこからの一年の中で、作品が破綻してはいけないので、大森Pには頑張って欲しいところ。でも…

大森 来週から新ライダーが始まりますが、『エグゼイド』で「やりきったー!」と思ったところに『ビルド』が来ちゃったんであれなんですけれども…そっちの方もよろしくお願いします。

▲『仮面ライダーエグゼイド 最終回・後夜祭』より、大森敬仁の談(原文ママ)

 大丈夫なのかこれ…!

▼と言う訳で1話の感想
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 「会話のテンポが良い!」と言うのが第一印象且つ好印象。結構難しめの会話が目立つが、それを飽きさせない作りなのは良いね。今後もそれを維持して戴きたい。戦兎くんの言葉の達者っぷりはあまり記憶喪失感を感じさせないね…!ライダー初参加の武藤将吾はライダーオタクみたいね。

きっかけは、息子でした。偶然一緒に観たニチアサに衝撃を受けると同時に、これまで「平成ライダー」に触れてこなかった己を猛烈に悔やみました。
それからというもの、クールかつハードな第一期に酔いしれ、娯楽性を追求した第二期に興奮し、気づけば「平成ライダー」を熱く語るオッサンになっていました。
第19作。「仮面ライダー」の歴史の重みを真摯に受け止め、最大級の敬意を表すとともに、これまで培ってきたノウハウを活かして、子供も大人も燃える作品を志していきます。
一年間、どうぞ宜しくお願いします。

マイナビニュース「仮面ライダー最新作は『仮面ライダービルド』! 天才物理学者が2つのボトルで変身 - 基本フォームと専用マシンを大公開」より、武藤将吾のコメント。

 以下は、最近だと『アマゾンズ』を執筆した小林靖子(と、小林雄次)の(対)談。

雄次 靖子さんは「特撮に詳しくないから」という理由で下山健人さんや毛利亘宏さんを東映に紹介されたんですよね。それ、大事だなって思いました。「特撮、大好きです」って言う人が脚本を書きたがることも多いけど、それはただのマニアである場合が多くて。

靖子 そういう人って、えてして設定ばかりにこだわりすぎますよね。東映にもよくライター志望者が書いたものが送られてくるらしいんですけど、送られてくるのはシナリオじゃなくて設定が多いんですって。個人的には、内容が設定よりも面白ければいいと思いますが。(中略)やっぱり基本は小さい子が見るものじゃないですか、特撮って。あとは、あんまり設定に凝りすぎると「そこ説明してもつまんないでしょ」って思います。確かにライダーは戦隊との棲み分け上、少しドラマが複雑だし、主人公たちも大人っぽいですけど、それでも「この設定は大人が突っ込みそうだから」みたいな意識では書いていないです。むしろライダーもどんどん魔法チックになってきているので、戦隊との差は少なくなってきてるかも。

▲『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』より、小林靖子小林雄次の対談。

  自分には小学校低学年の弟がいる。自分がリアタイで「仮面ライダー」を観る時は、早起きが得意なその弟と一緒に観るのだが、『ビルド』1話が終った後、「この話の意味分かった?」と試しに聞いたら「分かんない」と答えられちゃいました(笑)そう言う意味も込めて、常に「面白く」会話が進んでいく作り方を徹底して欲しい、と言うのが自分の願望。小林靖子の『電王』みたいにね(あれはちょっと違うけど…!)。

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 何はともあれ、これから一年間、頑張れ!仮面ライダービルド

 (唐突にまとめに入ったな…!)

 

ではこれにて。

『仮面ライダーエグゼイド』最終話(45話)「終わりなきGAME」感想+考察+『エグゼイド』最終評

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 『仮面ライダーエグゼイド』、一年間、本当にありがとう。と言う訳で、当ブログでも最終評を書こうと思います。「総括」はその後の展開を見てから書きます。このブログに初めて迷い込んだ方に一つ、警告をしておきます。当記事は『仮面ライダーエグゼイド』の批判からスタートします。まあ、最終的には賞賛はしていますけどね。批判的な意見を見たくない、あと、長文は嫌い、と言う方は下に進んではいけません。それでも読む、と言う方は、ようこそ、レイジング野郎の『エグゼイド』最終評へ。それではどうぞ。

▼高橋一浩は性善説信者
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 『ゴースト』チーフP、高橋一浩は"性善説"の持ち主らしく、それは『ゴースト』を観ててもよく解る。確かに『ゴースト』って「悪い人」っていないよね。大天空寺サイドは勿論、眼魔(ジャベル、イゴール等)やアラン一家、アデルでさえ最後には改心する。『ゴースト』は、キャラクター全員が少なからず、そして必ず「善い心」持っている。

諸田 (中略)あと、作品全体について言うと、思ってたほど人が死ななかったですよね。これは、やっぱり高橋くんがそういう人だからなんじゃないかな。「ジャベルも死なないんだ?」と言ったら「殺せないでしょう」みたいな答え方をされたことがあって。結局、悪い人は誰もいない、ということなんですよ。アデルでも最後の最後は改心してるし、絶対的な悪はいない。それはそれで正しいと思うんです。人はそれぞれに想いがあるから、どんなに悪人に見えてもその人にとっては正しいのかもしれない。

▲『仮面ライダーゴースト 公式完全読本』より、『ゴースト』メイン監督、諸田敏のインタビュー

──そして、タケルとの落としどころがが気になるアデルですが、我に返って仲間になると思いきや、ガンマイザーに取り込まれてしまいました。

福田 融和の道がとれなくなってしまうわけです。死の肯定とまでは言いませんが、倒すことで解放させてあげるということですかね。

──今までは融和の道を選んできたタケルがこういう選択をすることに、また成長が感じられました。

福田 『ゴースト』に限らず、このシリーズ全体に通ずることですが、互いに正義があって戦っていますからね。結局、アデルは悪いヤツではあったんですけど、最終的には完全な悪ではない状態で倒されてほしいという思いがありました。何かのきっかけで悪に堕ちてしまうとか、人間誰しもそういう部分は持ってると思いますし。

▲『仮面ライダーゴースト 公式完全読本』より、『ゴースト』メインライター、福田卓郎のインタビュー。

Q10 ウルティマやパーフェクト・ガンマイザーに変身したことも含め、悪役を演じることについて。

A10 悪役にも悪役なりの正義があるんだなぁと思いました。当たり前だけど、アデルにとってはタケルたちが敵の役。そういう意味では、悪役を演じている意識はそこまでなかったのかもしれません。仮面ライダーたちを圧倒したときは、正直、少し気持ちよかったですが(笑)。演じていくにつれてパーフェクト・ガンマイザーへの愛着も湧いていき、今では誰よりもカッコいいと思っている自信があります!

仮面ライダーゴースト 公式完全読本』より、アデル役、真山明大のQ&A。

 アデルの父、アドニスもこんな事を言っていたね。

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アドニス「アデルは、私の思い描いた理想を実現させようとしているだけ。純粋なのだ。しかし、私に迷いが生じた。アデルはそれが許せなかったのであろう。全ては私のせいだ。」

▲『ゴースト』27話「決死!覚悟の潜入!」より

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 端から見れば悪行でも、それがその人にとっては正しい事なのかも知れない。正義の考え方は人それぞれだからね。「正しい」の有方に定型等無いのだ。

▼高橋悠也は性悪説信者
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 対して、高橋悠也は"性悪説"に測るスタンスらしく、それは大森Pが公言している。

篠宮 大森さん、今まで色んな脚本家の方とお仕事してきはったと思うんですが、どうですか、高橋さんの魅力と言うか、凄さみたいなんは…。

大森 高橋さんはよく性悪説の人間って言うのをよく自分で仰られていて、人間を悪い人として書いている所があって、そこが割と『仮面ライダー』に合っているのかな、と言うのはあって、それと、玩具が多い今の『仮面ライダー』で、それも話にまぶしながらも各キャラクターを上手く描きつつ、しかも速い。速いからこそ今まで全話書いて貰えて、速いからこそ我々にも考える時間を与えてくださってるので、一緒に『エグゼイド』を作っている感覚ですね。

『第二回 東映特撮ファンミーティング』より大森敬仁の談(原文ママ)

 それ故かは知らないが、『エグゼイド』に登場するキャラクター達は少なからず、そして必ず「悪い心」を持っている様に見られる。

・永夢の場合
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 何気に『エグゼイド』で一番まずいキャラクターって永夢じゃないか…?「永夢は医者向きの正確をしていない」と当ブログではよく評するが、

「自身の命を顧みない危険な強行突破」、「仲間に情が移り、患者の命を蔑ろにする行動」はまだ分かる。でもパラドの件は駄目だろ…!結局、最後まで永夢の命の価値観(見方)はよく分かりませんでしたね…!パラドや大我に「自分の命も大切にしろ!」とか言う癖に、自分だって自分の命は蔑ろにしてるし、まあそれだけなら過去のライダー作品にだっていたしまだ許せるけど、場合によっちゃあ他人の命だって見えなくなる時もしばしば。新黎斗(現・黎斗神)の扱いに関しては最早擁護出来ないです。圧倒的ダブルスタンダードドクター、それが宝生永夢と言うキャラクターになってしまったのだ。

・飛彩の場合
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 最近、解決したが、ついこの間まで飛彩はクロノスの右腕として檀正宗に協力していた。理由は「彼女を蘇らせる(もう一度会う)為」なのだが、その為とは言え、人類に被害を脅かすゲーム『仮面ライダークロニクル』を運営する檀正宗に手を貸したのだ。あんとき、飛彩が邪魔せずクロノスをリプロってればここまで面倒な事になってなかったし、大戦犯だよなぁ…!永夢には「私情に引き摺られるな!」なんて何度か言ってたけど、「おまいう」も良いとこである。

・大我の場合
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 光医者とか闇医者(光属性)なんて言われてるけど、大我は医師免許を剥奪されているにも関わらず、今もなお、廃病院でドクターを続けている。「免許が無い、ただそれだけの事だ…。」(by飛彩)「例え免許が無くても…俺は…ドクターでありたいんだ…!」(by大我)いや、免許は無きゃ駄目です。…なんて書いといてなんだけど、まあぶっちゃけ、大我に関しては半分こじつけです(笑)多分、五人ライダーの中で一番善い人(ないしまともなキャラクター)だよね、大我は。まあ、最終回でゲーム病専門医に任命されたけど。

・貴利矢の場合
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 貴利矢なりの考えがあっての行動ではあるものの、彼は嘘吐きである。結果として、彼はその嘘で永夢達を翻弄し、彼自身も信用を失っていく。嘘を吐く事は悪である。44話では消え行くポッピーに「嘘は程々にね」なんて言われてたけど。でもって最近の悪行と言えばやっぱり新黎斗大量殺人ですよ…!

仮面ライダーである前に、僕はドクターです」「命に優先順位なんてつけられない」
永夢らしいこのセリフを皆さんはどう受け取ったでしょうか? 大我がいうようにガシャットを奪うだけでは甘い。そう考える人もいるはずです。しかし、飛彩が言うようにドクターの仕事は人の命を奪うことではありません。毎回、素敵なセリフを書いてくださっている高橋さんですが、この話のキャラたちの価値観のぶつかり合いには作る側としても考えさせられてしまいました。

▲『仮面ライダーエグゼイド』東映公式ホームページ 24話「大志を抱いてgo together!」PRODUCTION NOTE!より

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 ドクターが人を殺してる!7、80回くらい殺してる!「こんな貴利矢は見たくなかった…!」「生きていた頃の貴利矢の方が良かった…!」なんて人もいたのではないか?まあこれは『エグゼイド』キャラクター全員に言える事なんだけど、新黎斗(黎斗神)の事もちゃんと「命」として扱ってあげてください。

・黎斗の場合
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 言 わ ず も が な で あ る 。

 このように、ゲンムは兎も角、メインライダー達は全員、「悪い心」を持っている。それが高橋悠也の意図的な筆なのか氏の筆の癖でそうなってしまってるのかは定かでは無いが、つまりこれはどう言うことかと言うと、

▼振り返らず行こう

 みたいな事である(JUSTICE並感)。上記の5人の悪点、これらは皆、今まであった事が別の事に塗り(摩り)替えられている事が多いのにお気付きだろうか?

永夢、、、命を大切に!→黎斗神?何それ美味しいの?

飛彩、、、私情は捨てろ!→俺は私情に従うけどな!

大我、、、免許を剥奪された!→まあまだドクター続けてるけどな!

貴利矢、、、「ドクターの仕事は人の命を奪うことではありません。」→新黎斗くたばれええええええええ!!!!!

 過去を塗り替え、現在(いま)を変える。これが『エグゼイド』と言う作品の中には余りにも多い。だからこそその数だけ「ツッコミ所」も増えていく。

 しかし、それでもなお、ファンからの指示は多い。何故なのか?それは、そのあらゆるツッコミ所を全て「ノリ」が吹き飛ばしているからだ。

▼相当EXCITEEXCITE


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  物語終盤の「おおっ!?」となるようなシーンを集めてみた。『エグゼイド』は監督の「ノリ」も良かったね。『エグゼイド』はそれまでの積み重ねを捨ててでも、視聴者が相当EXCITEする展開を優先させた。それも、どれもが否が応にも興奮出来る展開。しかし、それだけでは視聴者を楽しませる事は出来ない。何故、ここまで視聴者が『エグゼイド』を持ち上げられるのか、それは『エグゼイド』前半(1話~24話)までの物語の完成度が高かったからだろう。実際、この頃は文句言う奴なんて殆どいなかったしね。…「積み重ねを捨てた」と言う表現もちょっと違うのかな。「過去と言う土台を組み換えた」とでも言っておくか。
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 でも、これって地味に超凄い事だよね。前半は物語の出来で視聴者を楽しませ、後半は「ノリ」だけで視聴者を楽しませる。超力業なのにそれを通せているって言うんだから『エグゼイド』のパワーは計り知れない。…まあ視聴率は例年より下がってるんだけど…!この「数ある矛盾をノリで押し通す」と言うやり方は同年に公開された春映画『超スーパーヒーロー大戦』で白倉Pがやったことだね。もしかすると『エグゼイド』に放たれた「歴史改変ビーム」は大森P(と、高橋悠也)が白倉Pのそれを参考にして撃ったものなのかも知れない。

 余談だが、視聴者が盛り上がる展開の中に、「エグゼイドとパラドクスの共闘」のシーンを入れたが、パラドを演じる甲斐翔真は(恐らく)本意では無かったそう。

甲斐 別に命を落とすこと自体は構わないんだけど……。

岩永 やられ方?

甲斐 そう。味方にはなりたくない。あくまで悪役として終わりたいですね。そもそも人間じゃないし、根っからのクレイジーなヤツなので、改心とか絶対に無理。今後の狙いとしては永夢を倒すことじゃないかな。もし他に永夢を倒そうとする人がいたら容赦しないだろうね。

岩永 基本、永夢のことしか考えてないからね。

甲斐 そう。永夢ラブだから(笑)。

▲『東映ヒーローMAX volume55 2017 winter』より、岩永徹也、甲斐翔真の対談。

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妄想してた終盤「心が踊るなぁ…!永夢、遊ぼうぜぇ!」

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現実の終盤「こ"へ"ん"な"さ"ぁ"~い"…こ"へ"ん"な"さ"ぁ"~い"!!!!」

 現実とは非情である。

▼正解等無い。

 今回の記事は性善説性悪説の話題から入っているのを皆様はお忘れでは無いだろうか?ここからが本題です。

 高橋悠也理論「この世に良い人なんて一人もいない。」と言う考え方は当然、高橋悠也本人も「悪い人」と捉えられる事となる。

 高橋一浩理論「見た目は悪でもその人にとっては正しいのかも。」と言う考え方はその人なりの「正義」の尊重を表している。
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 歴史を変える行為は「悪」だが、それで人を笑顔に出来る、と言う思いが高橋悠也(と、大森P)の「正義」なら、それは「善」なのかも知れない。

なんて事を思ったりもしたレイジング野郎なのでした。…ていうかこの記事、今までの『エグゼイド』感想記事に書いてきた事の寄せ集めだな…!

▼なんて事を書いていたら…?

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 さて、『エグゼイド』のテレビシリーズはエンディングを迎えました。「命」というテーマを軸に構築されてきた物語について、もう語ることはありません。テーマについては既に、登場人物たちによって充分に語られ、ストーリーの中で想いをぶつけられたからです。エグゼイドは“仮面ライダーらしからぬ”という言葉がついて回るシリーズでした。ゲームという荒唐無稽なモチーフを表現した、そのユニークなビジュアルが引き出すイメージによるところが大きかったと思います。しかし、『エグゼイド』というシリーズは“仮面ライダーである”ことがオチであるシリーズで、そのため“仮面ライダーである”ことをひた隠しにしてきたシリーズであるとも言えます。

仮面ライダー」は“悪”とその出自を同じくします。『エグゼイド』の裏テーマは“善”と“悪”は表裏一体である、ということ。敵と思われていたパラドこそが、主人公・永夢に感染していたウイルスであり永夢の分身であること。パラドに感染しているからこそ仮面ライダーとして戦うことができるということがエグゼイドが仮面ライダーである証だったのです。永夢とパラドがお互いに心を通わせ、「命」の大切さを共有するというイベントは“悪”でも“善”になりえるかもしれないという可能性の表現でした。と、いうことは逆も然りで、“善”が“悪”に転がることもあるのかもしれません。“善”と“悪”の表裏一体感は、仮面ライダーというシリーズ独特のヒーロー像です。1年を終えた今、エグゼイドも仮面ライダーの一人として認めていただけたなら幸せです。

▲『仮面ライダーエグゼイド』東映公式ホームページ 最終回を終えて「ご視聴ありがとうございました」EPISODE GUIDE!より。

 そうだったの!?!?

 "善""悪"になる事もあれば、"悪""善"になる事もある。"善"と"悪"は表裏一体。『エグゼイド』と言う作品は、物語やスタッフの動きも含めて、一年間、それを伝えようとしていたのかも知れない(違う)。

 ▼どうせまた一つくらいVシネマが来るんだろうなぁ~…

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!?!?!?!?!?!?!?

 えっ!?なに!?三部作って!?!?その名も…
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 『アナザー・エンディング』…!まさかのトリロジーと来たもんだ…!それと、檀黎斗が諸悪の根元なのは誰も忘れてないと思うんですが…(笑)兎に角、まだまだ『エグゼイド』は終わらないね。て言うか、『鎧武』や『ドライブ』辺りまではあんなに盛り上がってたのに、今やVシネマの一つくらい「普通」になってるの、時代を感じるなぁ…!

 何はともあれ、色々言ってきたけど、ここまで走り続けた『エグゼイド』、お疲れ様。本当にありがとう。これからもよろしくお願いします。
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ではこれにて。

『仮面ライダーエグゼイド』44話「最後のsmile」感想+考察

▼やって欲しい事をやってくれる

 と言う評価を『エグゼイド』はよくされる。高橋悠也は以前、『宇宙船』にて、「1話に一つ、爆弾を落とすつもりで書く」と言っていた。そのスタンスは曲げずに書いているのか、『エグゼイド』には毎話必ず一つはどっと盛り上がる何かが起こる。中には(特に前半は)販促的な事情もあれど。

1話…誕生!仮面ライダーエグゼイド!

2話…登場!仮面ライダーブレイブ!

3話…登場!仮面ライダースナイプ!

4話…登場!仮面ライダーレーザー!

5話…誕生!エグゼイドレベル3!

6話…誕生!ブレイブレベル3!

7話…誕生!レーザーレベル3!

8話…誕生!スナイプレベル3!

9話…誕生!エグゼイドレベル5!

10話…実現!チーム医療!

11話…判明!ゲンムの正体!

12話…退場!九条貴利矢!

13話…誕生!エグゼイドレベルX(XX)!

14話…召喚!バイクゲーマ!

15話…誕生!仮面ライダーパラドクス!

16話…誕生!スナイプレベル5!

17話…登場&退場!バガモン!

18話…宝生!永夢ゥ!

19話…誕生!ブレイブレベル50!

20話…誕生!スナイプレベル50!

21話…覚醒!ゲンムレベルX

22話…全編!檀黎斗劇場!

23話…誕生!エグゼイドレベル99!

24話…登場!シシレッド!

25話…始動!『仮面ライダークロニクル』!

26話…誕生!仮面ライダーポッピー!

27話…告白!大我×ニコ!

28話…改心!ポッピーピポパポ!

29話…誕生!パラドクスレベル99!

30話…誕生!ゲンムレベル0!

31話…共闘!エグゼイド&ゲンム!

32話…誕生!仮面ライダークロノス!

33話…裏切!鏡飛彩!

34話…誕生!仮面ライダーレーザーターボ!

35話…顔出!九条貴利矢!

36話…誕生!エグゼイドムテキゲーマー!

37話…誕生!ブレイブレベル100!

38話…共闘!エグゼイド&ブレイブ!

39話…消滅!パラド!

40話…共闘!エグゼイド&パラドクス!

41話…対決!ブレイブ&スナイプVSグラファイト

42話…誕生!『ドクターマイティXX』!

43話…誕生!大我クロノス!

44話…活躍!5人ライダーレベル1!

 以前、ここの記事でのコメント欄にてこんなやり取りをした。

→そもそも神の力借りれば大我クロノスなんていらなかったという指摘は盲点でした。

 それはある意味当然です。決して可笑しい事ではありませんよ。何故なら、『エグゼイド』は作品内の粗を相殺する事に(一応は)成功しているから。どんな作品にも粗は必ず存在しますが、それでも「名作!」と今も名高いライダー作品が存在しているのは、その作品内の粗を話の完成度やノリで殺せているからです。『電王』でモモタロスが「戦いってのはな、ノリの良い方が勝つんだよ!」なんて事を言ってましたが、この台詞は正に『電王』を象徴するワードですよ。現在もなお人気な『電王』にだって粗や謎はあります(カイってなんだったの…?)。ですが、それでもここまでファンが多いのは『電王』と言う作品のノリがそれらを殺せたからですよ。盛り上がりや完成度と言うのは、人に粗を気にさせない不思議な力があるのです。
 『エグゼイド』もそう言う類いの作品ではあります。例えば大我クロノスの場合、「神の才能で最初から行けるようにしろ。」と言うツッコミの前に「うおおおおおお!!!遂にレベル50までしか強化が無かった大我がまさかのクロノスに!!!!」と言う瞬間的な盛り上がりが前に出る。だからテキトーさんがそこに気付かなかったと言うのは全く変な事ではありません。
 では何故、『エグゼイド』は例年以上に粗が目立つのか?その理由は一つ。多すぎるからです。要するに『エグゼイド』は「粗を出してはそれをノリで殺す」と言うループが延々と繰り広げられています。だからそのノリに「ノレる」人は気付かないかも知れませんが「ノレない」人は気になってしまう。最近、『エグゼイド』の粗の多さに気付いてくる人もちょこちょこ増えてきている中、それでもなお持ち上げる人の方が多数は訳は、『エグゼイド』と言う作品のノリに「ノレる」人の方が一般的だからでしょう。

 自分で書いてて「確かに!」と気付いた(ェ)。『エグゼイド』はあらゆる粗や描写不足を「盛り上がり」で消し飛ばしていたのだ。
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 例えば今回のレベル1無双だって改めて整理すると可笑しな点でいっぱいだ(何故、リセットの影響で檀正宗の手に戻ったプロトガシャットを黎斗神が持っている!?)(何故、エグゼイドレベルXにもバグスター分離機能がある筈なのに態態レベル1で挑む!?)。しかし、そう言ったツッコミの前に「うおおおおおお!!!ここに来て今まで空気と化していたレベル1の活躍が!しかもエグゼイドだけでなくサブライダー四人まで!」と言う心の高ぶりが先に出る事で、上記のツッコミ所を視聴者に「気付かせない(気にさせない)」事に成功しているのだ。コメントのやり取りで「『エグゼイド』のノリに「ノレる」人は気付かないが「ノレない」人は気になってしまう」と書いていたのは、『エグゼイド』製作陣が(恐らく)狙っていた爆弾の爆発に巻き込まれた人はその瞬間の「盛り上がり」「ノる」事が出来るが、間一髪それを逃れた視聴者はあれやこれやと気になってしまう、即ち、「ノレない」と言う事だったのか(自分で書いておいて!)
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 『エグゼイド』を楽しめている視聴者は「ノレる」人、楽しめない人は「ノレない」人、だったんだな。

▼新ライダーの印象を下げるスタイル
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 『エグゼイド』に次ぐ新ライダー、その名も仮面ライダービルド』!9月3日、放送開始!それに先駆け、『エグゼイド』にも一足早くビルドが登場!さあ、果たしてビルドはどんな活躍をしたのか!?
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  なんと、誤って殺人を犯してしまった!!

 ちょっと酷くない!?何度も言ってるけど「コンティニュー出来るからセーフ」「黎斗神だからセーフ」じゃねぇからな!?しかも人を殺しといて「ごめ~んwww」の一言で済ませるとか、サイコパスにも程があるぜ…!変だなぁ…?『ビルド』は大森P続投の筈なのに、自分の作品で自分の作品の印象を悪くしてるぞ…?大森Pの真意とは一体…?
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 「エヘッ。」じゃねぇよ!!!!?!!!?

▼そして遂に、

 『エグゼイド』最終回!8月27日は休みが取れたので、感想記事は当日にupしますよ~!多分!(オイ)それと、自分は新宿バルト9にて行われる最終回後夜祭に参加します。大森Pと高橋氏のトークがあるらしいので、そこで何か気付いた事があればそれは総括に書こうと思います。お楽しみに。
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 最終回の「視聴者のやって欲しかった事」は「再現!1話冒頭!」かな?

 

ではこれにて。

『仮面ライダーエグゼイド』43話「白衣のlicense」感想+考察

▼最初からやれオンパレード
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 リプログラミング、やっぱり使えるんじゃねーか!!

 42話感想に「ムテキ登場以降、リプログラミングは使っていない(使えない?)」的な話をしたのだが…普通に使えたね…!天下無敵のリプログラミングを何故今まで妥協した!?"最初からやれ"!最近の『エグゼイド』は「『出来る』事を『やらない』」のが問題点の一つだったのだけれど、今回はそれがいつもより目立ってた印象。

▼神の才能は遅れてやってくる。

大我 「クロノスの目的は何なんだ!?何であいつが連れていかれた!?」

黎斗 「忘れたのか、『仮面ライダークロニクル』のルールを。全てのガシャットロフィーを集めたライドプレイヤーは、ラスボスへの挑戦権を得る。」

(中略)

永夢 「檀正宗の狙いは…」

黎斗 「西馬ニコの抹殺。」

パラド「クリア間近のプレイヤーをゲームオーバーにして、『ライダークロニクル』を振り出しに戻す気か。」

大我 「どうすればそのゲームエリアに行ける?」

黎斗 「君達には無理だ。君達は伝説の戦士、クロノスに変身出来る資格を手にしていない。」

(中略)

大我「『クロニクル』のガシャットは何処だ。」

永夢「えっ…?」

大我「患者から回収したガシャットがあるだろ!」

永夢「ちょっ…」

(仮面ライダークロニクルガシャットを取り出す大我)

永夢「大我さん…。」

大我「5年前、俺がバグスターを食い止めていれば…こんな事にはならなかったんだ…。」

飛彩「何をする気だ!」

大我「ぶっ潰してやる。檀正宗はこの俺が…!」

永夢「ちょっと大我さん!」

(クロニクルガシャットを起動させる大我)

永夢「待ってください!」

(大我、ゲームエリアへ飛ぶ。)

(中略)

永夢「ニコちゃんも大我さんも、これ以上誰の命も失わせない。」

飛彩「だがどうする?俺達はゲームエリアに行く事すら出来ないんだぞ!」

黎斗「諸君、私の神の才能なら、ゲームエリアにアクセスするチートコードを開発するのに5分もかからない。取引だ。衛生省の許可を取って私を解放しろ。花家先生と西馬ニコを見殺しにしたくなければな。」

(中略)

大我「まだ、終わってねぇぞ…!絶対に死なせない!こいつは、俺の患者だ。(中略)俺はお前の命を守る。例え免許が無くたって俺は、ドクターでありたいんだ。」

飛彩「ならば自分の命を粗末にするな。やっと本音が聞けたな。」

大我「お前ら…!」

正宗「君達、どうやってここに…!」

永夢「ちょっとした神業で。」

黎斗「不可能を可能にする。それこそが神の才能だぁ~~~!!!ヴェハハハハハハ!!!!!」

▲『エグゼイド』43話「白衣のlicense」より

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永夢「ラスボスのゲームエリアに行きたい!」

黎斗「クロノスじゃない君らには無理やで。」
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大我「だったらワイがクロノスになったるで!」

永夢「大我さん、苦しんでまで…!」

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永夢「ワイらは何も出来ないんか…!」

黎斗「ワイの神の才能なら可能やで。」

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 何を勿体振ってたんだよ…!

 「君達には無理だ(私の神の才能を使えば可能だが)」って事!?それじゃあ、あれだけ苦しんでゲームエリアにいってクロノスに変身した大我の頑張りが無駄になっちゃうじゃん…!クロノスもとい檀正宗は黎斗神自身も排除したい存在の筈なのに、随分呑気だな…!大我がクロニクルガシャットを取り出す前からチートコードの事を明かしても良かった訳で、そこを引っ張っても黎斗神には何のメリットも無かった訳ですよ。要するにこれって、製作陣が大我をクロノスに変身させたかったってだけだよね。百歩譲ってそれは許すにしても、こんな簡単に二人が来ちゃうんじゃ、大我が報われないだろ~!!チートコードでゲームエリアに行けるなら"最初からやれ"。

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大我「え、ワイあんなに苦しんでここ来たのに、なんであんたら普通にいるん…?」

▼いつからそんな事を言えるようになった!?

  それと、この後の永夢の台詞も気になった。

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永夢「医者の不養生は良くありませんよ。ドクターは大勢の患者の命を預かる身なんですから。忘れちゃいけないんです。患者の命を救うためにも僕達ドクターこそ生き抜く責任がある事を。」

▲『エグゼイド』43話「白衣のlicense」より

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 や、あんた3話で強行突破に出てたやん…!

 この回(3話)で「仕切り直す判断(変身解除)」をした飛彩が「お前の犠牲等、ノーサンキューだ。」と大我に言ってあげるのはとても「らしい」のだけれど、それと全く逆の行動を取っていた永夢がそれを言うのはとても「らしくない」…!好意的に捉えてこの台詞を「永夢のドクターとしての成長の証」としてみよう。キャリアも腕もある天才外科医の飛彩との付き合いや指導の中で3話での飛彩の行動がようやっと理解出来た、と仮定する。しかしそれでもこの台詞は余りにも唐突過ぎる!積み重ねも何も無いじゃん!永夢がこう言う事を言えるようになったその過程が!葛藤が!成長が!何も無いじゃん!それでこんな事を言われても「永夢…良い事言うなぁ…!(泣)」とはなれません…!もしも元から「ドクターは死んではならない」と言う考えを持っていたのなら、序盤から自分が死なない努力を"最初からやれ"。

▼白衣のlicense?

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話は遡って42話。実は、この話では大我は白衣を纏っていませんでした。不思議に思った方もいたのではないでしょうか。実は、これにはちゃんとした演出の意味があって、免許を持った医者としての過去を捨てたという大我のセリフに説得力を持たせるために山口監督がこの話では大我は白衣を着ないほうがいいと撮影現場で判断され、このような画となったわけです。
もちろん、これも台本には書かれていません。そして、その画の意味を汲み取った中澤監督が、医者としてのアイデンティティーを取り戻すアイコンとして白衣を永夢に持たせたのです。こうして、その白衣に袖をを通す大我の決意が印象的に映し出されたのです。台本に書かれたことが全てではない、まさに「演出」というものの奥深さを感じずにはいられませんでした。

▲『エグゼイド』東映公式ホームページ「PRODUCTION NOTE!」より

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 元から白衣を着てたキャラにその「演出」は苦し過ぎる…!

 それじゃあ今までの大我は「白衣を纏う事で医師の"つもり"になっていた」って事になっちゃわない?や、無免許だからその通りなんだけど…。で、42話(前回)でようやっと「白衣を捨てて医師だった過去を捨てた」、で、次回になって「やっぱり俺はドクターやってたいんや…!」って気持ちに戻ったって事?心中がコロコロ変わり過ぎだろ…!「白衣を着せない」と言う「演出」が山口監督の域な計らいなのは分かるけど、医師としての過去を捨てているキャラクターなら、「大我は白衣を着ない」と言う「演出」を"最初からやれ"。

▼作品の「妥協」

 『エグゼイド』の問題点、「最初からやれ」は回が進む毎にどんどん加速していく…!変な所での妥協が多いんだよな。これは『仮面ライダー』に限らず、作品(お話)と言うのは、それが続いていく中で何かしらの都合の悪い事が起こった時、過去のそれをねじ曲げて都合の良い方向へ持っていこうとする事がざらにある。それは即ち、過去に積み上げた設定や世界観、人物像を崩す事であり、作品の完成度(と、製作陣の作品への拘り)が薄れる発端となる。自分はこれを「妥協」と呼び、そしてその「妥協」には「意図的な妥協」「無意識な妥協」の2つがある。「意図的な妥協」とは、製作陣が意識的に過去をねじ曲げる事である。「無意識な妥協」とは、製作陣が過去を忘れてしまう事で起こるものである。

 『エグゼイド』はその2つの「妥協」が混同しているように見える。分かっていながら行う「妥協」と自分達が築き上げたこれまでの設定(これまでの『仮面ライダーエグゼイド』)が頭に入りきっていない事で起こっている「妥協」。かなりこねくり回して書いたが、つまり何が言いたいかと言うと、
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「最近の『エグゼイド』はスタッフ陣のモチベーションが低い!」と言う事です。

 

ではこれにて。

『劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング』感想+考察

▼妥協する事に一切の妥協無し
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 仮面ライダー風魔/南雲影成よ…

 永夢も仮想現実に飛ばしておけばあんたの計画は邪魔されなかったのではないか…?

 聖徒病院にいなかった大我やニコも襲っておく徹底ぶりを見せておきながら、永夢の事は見逃す舐めプ…。…そっか、娘に見とれて手裏剣投げるの忘れちゃってたのか(←苦しい)

▼何故『エグゼイド』はご都合主義が目立つのか?

 答えは単純且つ明確。「やり過ぎてるから」である。顕著なのがクロノス/檀正宗。…て言うか何か知らないけど、『エグゼイド』のキャラって舐めプ多いよなぁ…!息子の黎斗だってやってたし。
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ゲンム「ドライバーを腐敗させた…。君はもう…変身出来ない…。君の水晶を砕くのは、他でもない私だ!助けてくれたお礼に、命は取らないでやるよ。

▲『エグゼイド』22話「仕組まれたmystery!」より

 これらの記事にも書いているが、『エグゼイド』は幾らなんでも「舐めプ」が多い!そりゃあパラドもクロノスに「舐めたプレーしやがって!」なんて怒る訳ですよ。「こうすれば良かったのに!」と言う案件があまりにも沢山なせいで自分達がピンチに陥るって最早自業自得じゃないですか…!灰化を使わないドラゴンオルフェノクかあんたらは。
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 ドラゴンオルフェノクと言えば、「一人で一年間まるまる執筆した脚本家(作品)」と言われてファンが思い浮かべるのは『仮面ライダー555』を書いた井上敏樹だろう。彼のその痕跡は偉業とも言えるかも知れないが、この『555』と言う作品もひじょ~~~~~に粗が多い。しかしそれを全部書き連ねるととても長くなってしまうので、今回は『エグゼイド』のホンを全て書ききったと言う高橋悠也と井上敏樹、二人の脚本家の相違点を書いていこうと思う。

▼共通点は"速筆"

 「スケジュールで困ったら井上敏樹!」と言うくらい井上敏樹が速筆なのは有名だが(『555』の最終回もほんの1時間半程で書き終えたのだとかw)、大森P曰く、高橋悠也もかなり筆が速い方だと言う。

篠宮 大森さん、今まで色んな脚本家の方とお仕事してきはったと思うんですが、どうですか、高橋さんの魅力と言うか、凄さみたいなんは…。

大森 高橋さんはよく性悪説の人間って言うのをよく自分で仰られていて、人間を悪い人として書いている所があって、そこが割と『仮面ライダー』に合っているのかな、と言うのはあって、それと、玩具が多い今の『仮面ライダー』で、それも話にまぶしながらも各キャラクターを上手く描きつつ、しかも速い。速いからこそ今まで全話書いて貰えて、速いからこそ我々にも考える時間を与えてくださってるので、一緒に『エグゼイド』を作っている感覚ですね。

『第二回 東映特撮ファンミーティング』より大森敬仁の談(原文ママ)

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 性悪説と言う部分はまた別の機会に触れようと思うのでお楽しみに。大森Pは高橋悠也の魅力は「玩具が多い昨今の『仮面ライダー』で、その玩具も上手く話に盛り込みつつ、更に速い」と言う。確かに『エグゼイド』は例年より玩具がフィーチャーされる事が多いよね。そこがオタクを楽しませる理由の一つなんだろうけど。(最近でもマイティブラザーズXXガシャットを使ったパラド救出に皆驚いてたな)
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 対して、井上敏樹はあまり玩具に興味がない。カイザポインターなんか天井から落ちてくるしな…!戦闘シーンなんかもその場の監督に丸投げするくらい、彼は玩具や戦いに興味がない。じゃあ何を書いているのかって?キャラクターですよ。

▼相違点は"キャラ描写"

 『エグゼイド』はギミックやそれの出し方が変わっている事はあっても、話の展開(キャラの行動)は「予想通り」であることが多い。
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視聴者「貴利矢、クロノス側にいるけどきっと裏切るんだろうなぁ~!」

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視聴者「飛彩、早姫と大我の命を天秤に掛けられたけど、きっとドクターとしての道を選ぶんだろうなぁ~!」

なんて予測を視聴者がして、実際、その通りになる。『エグゼイド』の話ってかなりベタよね。「王道」とも言い換えられるか。でもこれだと人に寄ってはそのキャラ描写が「薄く」感じてしまう事もあるかも知れない。
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 対して、井上敏樹作品は劇中のギミックよりもキャラクターを重視して書く事が多い。そう言えば井上敏樹のアニオタwikiにこんな事が書いてあった。

一応シナリオの骨子自体は王道ではあるのだが、それを彩る枝葉末節が非常に濃く、王道に疑問を投げ続けるのが特徴。
ヒーロー物としては異色のシナリオを書くことが多く、人格に問題を抱えたキャラを生み出すこともある。
友情や信頼について冷笑的、あるいは懐疑的な話を作ることが多いが、
声高に「友情」「友達」などといった単語を使うことに疑問を投げかけている、ということであり
ジェットマンの竜と凱を筆頭に、男の友情や絆といったものを濃く描く傾向が強い。
また、作中では馬鹿にされがちなアギトの氷川や555の啓太郎といった生真面目なキャラクターが最後には報われることも多く、
本人の言動もあいまって偽悪的な印象も強く与えるが、やはり着地は王道というよりオーソドックスな結論になる場合が多い。

一方でスラップスティックコメディも好み、アニメではギャラクシーエンジェル、特撮ではゴウライガンといったハチャメチャな作品も書いてる。

料理好きな為かほぼ毎回食事シーンを入れ、ギャグ回では丸々一話料理番組にしたことも。

ハードなシナリオやアンチ王道を好む視聴者の支持を集める一方、
ドロドロした昼ドラ展開
伏線ばら撒き→放置→消化不良のまま最終回を何度かやらかす
戦闘シーンにてヒーロー側がピンチに陥る→その後の余韻を描かず場面が唐突に変わる
などの作風から、特撮ファンの中には彼を毛嫌いする人もいる。
特に一部には親の仇のように氏を憎んでいる人間もいる。

 なんか敏鬼作品は「アンチ王道」を好む人に人気があるらしいw でも、敏鬼アンチのブログもちょこちょこ見掛けるんだけど、大半の言い分が「正義の味方がいない」とかそう言うのなんだよね。要するに、彼らは自身の中で「ヒーロー像」と言うのが確立されている、と言う事なのだろう。

 でもそう言われると、『エグゼイド』が批判される理由の一つにはそれもあるような気がする。永夢はダブスタだし飛彩は彼女の為に裏切るし貴利矢は嘘吐きだし黎斗はアレだし…
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 あれ?もしかして一番ヒーローしてるのって無免許医の大我じゃね…?

▼王道(シンプル)・イズ・ベスト

 しかし、人と言うのは時に「王道」を求める事もあるもので。例えば上記の「貴利矢さんは実は味方だったんだよ!」って展開も視聴者は「うおーっ!"やっぱり"か!俺は信じてたぜ!貴利矢さん最高ォーーーーッ!!」と言って喜ぶし、飛彩が彼女と決別し、ドクターとして歩みだすと「うおーっ!"やっぱり"か!俺は信じてたぜ!流石は世界で一番のドクターだ!神回ィーーーーーッ!」と言って持ち上げたりする。注目して欲しいのは「やっぱり」と言う部分。アニメ然り、ドラマ然り、特撮然り、「視聴者」とは自分の予想する展開が実際のものになる(そう言う展開になる)と問答無用に悦に浸る生き物である。でもって、上記の展開は比較的予測がし易いもので、大半の視聴者が「こうなるんだろうなぁ~!」と予め仮説を立てる事が出来、それがその通りになると「うおーっ!やっぱりか!俺の予想は当たった!気持ちィーーーーー!!」となる。「分かる!」と言う方もいるのではなかろうか?
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 例えば今も尚、名作と名高い『ドライブ』46話「彼らはなぜ戦わなければならなかったのか」を見てみよう。(以下、『ドライブ』のネタバレあり!未視聴者は注意!)チェイス蛮野天十郎/ゴルドドライブに粉々にされた。その事に怒りを見せる剛は、その時、初めてチェイスを「ダチ」と呼び、「一緒に戦ってくれ!」とシグナルチェイサーをマッハドライバーに差込み、チェイサーマッハへと進化を遂げる。そして、チェイサーマッハがゴルドドライブを葬った後、剛はボロボロになったバンノドライバーへシンゴウアックスを降り下ろし、木端微塵にする、と言うのが46話前半の流れ。
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 何故こう言った内容のこの回が人気なのか、それは『ドライブ』本編内で視聴者が「こうして欲しい!(こうなって欲しい!)」と願う展開を叶えているからに他ならない。「剛とチェイスにダチになって欲しい!」「デッドヒートしか強化フォームがないマッハに新しい形態を与えて欲しい!」「蛮野とは進兄さんではなく剛に決着をつけて欲しい!」「て言うか蛮野はクズだから盛大にぶっ壊して欲しい!」これらの視聴者の望む展開を『ドライブ』46話はやった。だから46話は大衆からの評判が高いのだ。
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 『エグゼイド』も最近は視聴者が求めているもの(こと)をやる傾向にある気がする。それ事態は良いのだが、『ドライブ』との違いは余りにも視聴者の求めるものに答えすぎて、話が破綻している所。例えば貴利矢の復活は「貴利矢さんに戻ってきて欲しい!」と言う視聴者の声に答えた結果だ。

― 今回、反響を受けて復活ということですが、いかがですか?

小野塚:消滅したあとに、もしかしたらまた戻ってくるかもね、という話が出たんですけど、1回花束をいただいてクランクアップしていたので、どうなるか分からない状態で。でも、視聴者の方からたくさんのご意見をいただいたみたいで、それがきっかけになり復活が決まったのはすごく嬉しかったです。すごく珍しい形で再登場ということなので、光栄でもあります。
▲モデルプラス『「仮面ライダーエグゼイド」反響受け異例の復活!劇団EXILEの“注目株”小野塚勇人を直撃「役者冥利につきる」<モデルプレスインタビュー> 』より、小野塚勇人のインタビュー

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 仮に『エグゼイド』製作に高橋悠也なりの「perfect puzzle(計画)」があったとしても、そこに「テコ入れ」を入れ込んでしまったが為にそのパズルが崩れてしまっているのはいけない事だね。「生きてた頃の貴利矢さんの方が好きだった…」って人、意外と多いんじゃない?

 かなり話が逸れたな…。要するに何が言いたいのかと言うと、『トゥルー・エンディング』は本編よりも丁寧さが伺えたな、と言う事です(冒頭で「永夢にも手裏剣投げとけよ!」なんて言っといてなんだけど!)今回の映画は特別盛り上がる展開や一風変わった要素等は無いものの、かなり「無難」に作られていた印象。「ガチの最終回の後日談を描きます!」と言うコンセプト事態はインパクトあるのだけれど。
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 …まあそれでも他にも「!?」な事はあって、例えばまどかちゃんの手術シーン。オペの途中、彼女はゲーム病を発症してしまったけど、黎斗神のプロトマイティアクションXガシャットオリジン(←長い!)を起動させただけでなんか普通に治ったね…!「レベル0の能力でウイルスを抑制した」んだろうけど、だったら本編でもそれやれよ…!ニコちゃんがゲムデウスウイルスに苦しんでたのが馬鹿みたいじゃん…!(貴利矢さん、あんたその場にいたなら治してやれよ!?)

…と、言いたい事は色々あるものの、

▼ハッピーエンドの大団円

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 『トゥルー・エンディング』、もとい『エグゼイド』のエンディングが「ハッピーエンド」だったのは素直に良かったと思う。結局、バグスター勢もドクター勢も誰も死なずに終わったね。永夢の「誰も死なせたくない」と言う思いを尊重するならばこの「誰も死なない」と言うエンドはある意味アリなのかもしれないね(こんな締め方で宜しいでしょうか…!)

 

ではこれにて。